地獄の警備員(1992年) | 勝手に映画紹介!?

地獄の警備員(1992年)

地獄の警備員

大杉漣さんの急死に、芸能界、ファンのみならず日本中に激震が走ってるようだ…あらためて放送中の「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」を振り返ってみると、第一話から、漣さんたちが行方不明になり“死んだことにされてしまう”という、なんだか今となっては、現実とダブるシーンがいっぱい出てくる。劇中で“大杉漣の代役”役に選ばれた小日向文世が…"いい供養になるよう、精いっぱい頑張ります”と茶化し 北香那演じるジャスミンが“大杉死んでないよ!みんなの心の中にいるよ”というやり取りが、余計に涙を誘う。

オイラも漣さんの追悼を一人で勝手に行おうと…色々とコレクションを物色。自宅での鑑賞は当分、この路線が続くかもしれない。印象に残っているのは、最近のものよりは、やっぱり古い作品…ということで、まず最初に選んだのは黒沢清監督の「地獄の警備員」。報道でも伝えられている、最期を看取った“バイプレ”仲間の松重豊の出世作でもある作品で、漣さんは…久野真紀子(現・クノ真季子)演じるヒロインの嫌味で変態な上司を演じている。オイラが所持しているのはVHS…DVDも既に廃盤で、VHS、DVD共にAmazonのマケプレでは高額になっている。

成島秋子は総合商社・曙商事に新設された、絵画取引の専門部署“12課”で働くことになり、初出社の日を迎える。ちょうど同じ日に…巨漢の警備員、富士丸も勤め始めていたのだが、とにかく不気味な存在で、社員の間でも噂になっていた。ある日、古参の警備員・間宮が、ロッカーの中で無惨に惨殺された同僚の死体を発見!直ぐに富士丸の仕業だと悟るが…。一方、秋子は、社内で落としたイヤリングを、富士丸が身につけているのを目撃し恐怖にかられる!人事部長の兵藤哲朗に相談するが、解決しないまま富士丸の行動がエスカレートし…。

漣さんはそんなにメインのキャラクターではないものの…いちいち“癇に障る”言動で周囲から嫌われ、ヒロインにセクハラまがいの行動もするお馬鹿な上司を演じていて、印象に残る。そして…中盤以降、殺人鬼の本性を現し、次々に人を殺めていく警備員・松重豊にとっ捕まって、ボコボコにされ、最終的に殺されてしまう役でもある。松重さんは…それこそ“バイプレ”でも頻繁ネタにされている“見た目のデカさ”を武器に…警備員を怪演。警備員の制服に外套のようなものもまとっており…さながら嶋田久作が「帝都物語」で演じた加藤保憲のような不気味さ。

変な人ばかり出てくるし、そもそも話も変なんだけど…黒沢清特有のシュールさは既に垣間見れ、予定調和でない物語を楽しめるのも魅力。ほとんどのシーンをビル内で撮影しているのも、低予算作品ならではだが、そのあたりを逆手にとり、薄気味の悪い警備員を跋扈させることで…外に出れない不自然さをカバー。同じような理由からだろうけど、見せないことで観客・視聴者の恐怖を煽るのも巧い…掃除用ロッカーに閉じ込めた女性を惨殺するシーンも、ただロッカーをぶん殴って、破壊するだけなんだけど、中の人が殺されるという説得力に繋がる。

間違ってもテレビドラマの「バイプレイヤーズ」シリーズのような“オジサン萌え”ができるような作品ではないが…ファンだったら、松重さんと漣さんの共演シーンはおさえておきたいところだろう。松重さんが“病院に付き添った”というあの話を知ってしまうと余計、昔の2人の共演シーン(といっても、一方的に漣さんをぶん殴ってるだけだが)に熱い視線を送りたくなった。DVDは廃盤になってるだろうと予想してたが、VHSまでマケプレで高額になってるとは思わなかった…VHSを処分しないで良かった。どこかで配信でもやってれば、皆さんにも見て欲しいなぁ…。


監督:黒沢清
出演:久野真紀子 松重豊 長谷川初範 由良宜子 大杉漣 緒形幹太 諏訪太朗 田辺博之 洞口依子


【DVDソフトの購入】
DVD 地獄の警備員





VHSだけど持ってて良かった…「地獄の警備員」


地獄の警備員(1992年) VHS







人気blogランキング 参加中 -クリック- ご協力ください!