鉄 くろがね 極道・高山登久太郎の軌跡(2004年) | 勝手に映画紹介!?

鉄 くろがね 極道・高山登久太郎の軌跡(2004年)

鉄 くろがね 極道・高山登久太郎の軌跡

近所のブックオフにて、今から約14年前の小沢仁志アニキ主演のVシネマ「鉄 くろがね 極道・高山登久太郎の軌跡」の中古DVDが108円で円で投げ売りされていたので購入してしまった!他にももう1本、小沢アニキのVシネが同じ値段だったので買ってきたのだが、旧GPミュージアム(現オールインエンタテイメント)の作品だったので…タイトルには特に表記がないものの、前後編全2作で完結の前編部分にあたる作品というパターンでして、きっと前編だけ見ても、悶々とした気分になるに違いないので、鑑賞をとりあえず保留にしている状態です(笑)

平成5年、京都地方裁判所…四代目貝津小越会々長・高山登久太郎は施行されたばかりの暴対法“暴力団対策法”によって、大津会が指定されたことに異を唱え、訴訟を起こす。その原告として裁判に出廷した高山は、検事の松平と激しい論争を繰り広げる中で、暴対法を差別法と揶揄し、自分の主張を通すため、在日韓国人である生い立ちから語り始めることに…高山の本名は姜外秀(カン・ウエス)だった。幼い頃から高山は朝鮮人であることで、周囲から蔑まれていた。その後、中学生になっても状況は変わらず、遂に高山はドロップアウトしてしまう…。

暴対法に異を唱えたヤクザの大親分が…裁判で昔話を披露する実話ベースの内容(最後に、裁判の進行は実際の内容とは違うよというテロップが出る)。ヤクザを肯定する、しないはとりあえず横に置いておいて、いかに日本人の差別意識が強いかというのを切々と語る前半部分。それを踏まえ、後半での“お上”の横暴さは“ヤクザと何が違うんだ”という問いかけにも繋がっていく。いいように法律を捻じ曲げ、人を縛り、それが正しいとする“お上”への批判…14年前の作品だけど、今の日本も変わってない、いや、もっと酷くなってる気がするよね。

裁判官や検事にメンチきりまくりな会長を演じるのはもちろん小沢アニキ…その幼少時、青年期を語る回想シーンで会長の実の父親を演じるのが、“バイプレ”な俳優、遠藤憲一、エンケンさん…在日韓国人の悲哀、哀愁がにじみ出た秀逸な演技が見事で、国に帰る決意をした父親と、日本に残ることにした会長、小沢アニキが別れるシーン、煙草を吸うエンケンさんの表情にグっとくる。また、会長の任侠道上の父親である、故・峰岸徹も迫力あり。シャブに手を出した小沢アニキに失望し、日本刀で自分の腹を切ろうとするところは、けっこうドキドキしたよ。

他にも山田辰夫さんや、松方部長(松方弘樹)など既にお亡くなりになっている俳優さんが、ご健在の頃でもありまして、懐かしい気持ちにもなれます。“裁判とどういう関係があるんだ!”というヤジにも屈せず…任侠道がどういうものであるかを語って聞かせる小沢アニキ。裁判長までが“出来レース”をにおわす中で、会長に少しずつシンパシーを感じてく真面目な検事、渡辺裕之の素直な態度がなんとなく救いだった。最後は、“負け戦”と確信しながらも、玉砕覚悟で挑まなければならない“裁判”の意味をちょっぴりだけ解った気がして終了となりました。

もちろんヤクザが主人公のVシネなんで…切った張ったの見せ場や盃を交わすお馴染みのシーンなんかもあるんですけど、全編を通じて、裁判での証言という構成が、意外と新鮮で面白かったです。本作も旧GPミュージアム(現オールインエンタテイメント)の作品ですが、これ1本でちゃんと話は完結しますのでご安心を。たった108円(Amazonのマケプレでも100円代で買えます…送料は別途かかるけど)でエンケンさんも見れたし、若い頃の会長となんどもぶつかり合うチンピラ、本宮泰風アニキのヘタレな演技も面白かった…オイラ的には大満足です。


監督:辻裕之
出演:小沢仁志 遠藤憲一 本宮泰風 天宮良 山田辰夫 峰岸徹 張本勲 松方弘樹 渡辺裕之


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DVD 鉄(くろがね) 極道・高山登久太郎の軌跡







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