スリー・ビルボード(2017年) | 勝手に映画紹介!?

スリー・ビルボード(2017年)

スリー・ビルボード

【鑑賞日:2018年2月10日】

もっと早くに、109シネマズのシネマポイントカードの“6ポイントにつき1回無料”を使って見に行く予定だったんだけど…なかなか行く暇がなく、だったら1100円で見れる“109シネマズの日”に公開初日を迎える作品があったので、同じ日に2本ハシゴしちゃおう、ポイントはまだ温存しておこうと判断…ということで、109シネマズ湘南まで遠征。本当は公開初日の別の作品を先に見たかったんだけど、そうすると次の上映までの待ち時間が約4時間もあり、逆だと20分、上映開始15分前の開場だから実質5分で済んだので、「スリー・ビルボード」から先に鑑賞した。

ミズーリ州の田舎町エビング…車を運転中のミルドレッドは、道路わきに立つ3つの寂れた大きな看板を見て、ある事を思いつく。実は、7か月前に娘が殺されてしまったのだが、いまだに犯人が捕まっていなかった。それに腹を立て、警察への抗議のメッセージを掲載しようとしたのだ。看板の管理をしている会社に出向き、無事に契約を済ますミルドレッド…そして、実際に広告が掲げられることになった。しかし、捜査を担当した警察署の署長・ウィロビーを名指しで批判するメッセージだったことから、彼を慕う部下や町民たちから反感を買ってしまう…。

最初、タイトルだけ見た時は“ビルボード”なんていうから、有名なアメリカの音楽業界誌のことだと勘違いし、てっきり音楽映画だと思った。そんなに興味がない、オイラの苦手系だろうなぁ~なんて思っていたら…劇場で流れた予告編をちゃんと見たら、クライムサスペンスらしいというのがわかって俄然、興味がわいた。主演が「ファーゴ」のフランシス・マクドーマンドというのも鑑賞の後押しになったかな?3月に発表される今年のアカデミー賞の作品賞や主演女優賞にノミネートされており、アカデミー賞で盛り上がるためにも見ておきたいかなって思った作品だ。

フランシス・マクドーマンド演じる主人公が、自分の娘が犠牲になったものの、全く進展しない捜査に“業を煮やし”…道路沿いに立っている看板(ビルボード)に、警察宛のメッセージをのせようと決意、広告会社へ依頼に訪れると、本編が始まってわりとすぐのシーン、またはその後、警察署へ乗り込んでいくようなシーンもあるんだけど…やたら堂々とした佇まいの主人公と、バックにながれる音楽が相まって、まるで西部劇でガンマンが酒場に立ち寄るシーンみたいだなって思った。マクドーマンドの何考えてるかわからないオバチャン感にまず惹きつけられる。

そして、主人公に名指しで批判される警察署長ウディ・ハレルソン…看板の一報が入った時に、家族の前で汚い言葉を使ったり、はたまた広告を管理してる会社に主人公同様乗りこんでいって、依頼主が誰か調べようとするときの不遜な態度から、“悪徳署長”または“無能な署長”なのかななんてイメージを抱くのだが、ぜんぜんそんなことなくて、正義感があるナイスガイだってことがわかってくる。若い頃のハレルソンって、連続殺人鬼や有名なポルノ雑誌の編集者など破天荒な役のイメージが強かったが、こういう渋い、善人もうまく演じるようになったよな。

対照的だったのが、署長の腰ぎんちゃくのような部下のサム・ロックウェル…コイツが“アメリカって国は、こんな馬鹿でも警官になれるのか”ってくらい駄目なヤツでして…日頃から差別的な発言をし、一般市民への暴力行為も厭わない。だいたい、この3人がメインキャラで…他にも重要な脇役がいっぱいいるんだけど、特にこの3人の駆け引きや、心境の変化というのが物語を左右、話を面白くする。全体的には地味で、テーマが重く、暴力もある…なんだけど、ふとした拍子にニヤっとしちゃうブラックな可笑しさがあり、油断してると意外な急展開が何度もある。

一応、娘殺しの真犯人を見つけるという目標はあるものの…先の展開がなかなかよめない。終わってみれば、最初に感じた“西部劇”って印象も遠くないかなってオイラは思ったり。なんというか…クライムサスペンスである前に、けっこうなハードボイルドでもあったな。表情が乏しく、最後までブレない感じのフランシス・マクドーマンドが、段々とクリント・イーストウッドに見えてきたんですよね、まさに女イーストウッドだよ。作品全体の雰囲気はマクドーマンドが出ている影響もあり、それこそ勢いがあった頃のコーエン兄弟の映画も彷彿とさせるよね。

主要キャラたちの関係性の変化、そして成長ぶり…とくにサム・ロックウェルが、警官というのを通り越し、男として、人間として成長していく(成長しすぎ?)姿がマクドーマンドの演技、存在感と同じくらい見せ場である。現段階で、今年のアカデミー賞の主要部門にノミネートされている作品を全部見てるわけではないので、余計に鑑賞したばかりの本作を贔屓したく…作品賞や主演女優賞、助演男優賞を獲ってほしいななんて思っちゃう。もう1本見てきた作品の感想もこの後、書くつもりだけどアップするのは明日にズレこんでしまうかも…では、また後程。


監督:マーティン・マクドナー
出演:フランシス・マクドーマンド ウディ・ハレルソン サム・ロックウェル アビー・コーニッシュ ジョン・ホークス


【サントラはこちら】
スリー・ビルボード (オリジナル・サウンドトラック)







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