百日紅~Miss HOKUSAI~(2015年) | 勝手に映画紹介!?

百日紅~Miss HOKUSAI~(2015年)

百日紅~Miss HOKUSAI~

WOWOWでエアチェックしておいた「百日紅~Miss HOKUSAI~」を鑑賞…葛飾北斎の娘で、父親と同じ浮世絵師だったお栄という人物にスポットをあてたアニメ映画。「クレヨンしんちゃん」「河童のクゥと夏休み」の原恵一が監督を務め、アニメ制作は毎回安心クオリティのProduction IG。杉浦日向子の同名漫画が原作らしいが未読…そもそも杉浦日向子も名前くらいしか聞いたことがなく、オイラのまったく読まないタイプの漫画家。既に故人で、荒俣宏センセイの元嫁さんだったなんていうのも…さっきググって、Wikipediaを見て初めて知ったくらいだもん(笑)

江戸時代…23才の若い女浮世絵師・お栄は、母親や生まれつき目の見えない妹・お猶と離れ、父親である葛飾北斎と一緒に長屋暮らしをしていた。その長屋にはもう1人、池田善次郎という絵師が転がり込んで、同居していた。お栄も父親譲りの才能で、代筆を頼まれることもしょっちゅう。しかし、まだまだ北斎に及ばず、そのことでお栄自身も悩んでいた。暇ができると、お猶を外に連れ散歩に出かけ…父親の弟子である初五郎には密かに想いを寄せるお栄。ライバル歌川一門の売れっ子絵師・国直とも知り合いになるなど、人生を謳歌していたが…。

原作を知らないどころか、葛飾北斎だって“富嶽三十六景”を描いた人だよねという人並み程度の知識しか持ち合わせていなく、娘なんていたんだ…その娘も絵師なんだと、そこからして“へぇ~、へぇ~”状態。映画を見る前は…お栄って若い娘は、てっきりロダンの弟子、カミーユ・クローデルみたいに愛人か何かなのかとばかり思っていた(笑)そんな浮世絵知識、江戸知識の乏しいオイラでも、特に身構えるようなことはなく、自然と物語に入っていける優しい語り口は好感。劇場アニメらしい安定感のある緻密作画と相まって、非常に堪能できた。

映画としては、細かいエピソード(どこまで本当か知らないけど、あの有名な浮世絵の創作の原点がこれだよみたいなことが色々と出てくる)の積み重ねが多く、いささかダイジェストっぽさが拭いきれなかったりもするが、最後の最後にわりと大きな出来事が起き…それを経て、そういう劇的で大変なことがあっても、人間はみな日常へと戻っていくという、メッセージ性が逆に浮き彫りになったかなと…エンディングまで見ると納得できます。婚姻関係は続いてそうだが嫁さんと別居する北斎、そんな北斎を本名(鉄蔵)で呼び捨てにするお栄…妙に親近感も沸く。

それこそ美術の教科書、歴史の教科書くらいでしか接していない(あとはNHKのドキュメンタリー番組とか?)…葛飾北斎も、オイラたちと変わらない人間なんだなと。それどころか、江戸時代の人も、現代人の感覚とそう変わらないのかもしれないなと…そんなような錯覚も起こしてしまう作品でしたね。一部では、劇場アニメお得意の有名人起用に批判が出ており、特にお栄役の杏がやり玉にあがっていたりするんだけど(Amazonで)…オイラはけっこう嫌いじゃないかも。声を聴いただけでは女優・杏の顔が浮かんでこず、この声誰よ?って一瞬思ったもん。

さすがに…最初の方でチラっと出てきた藤原啓治さんとか巧いですよ!あのレベルの人と比べちゃうと、確かに拙い。でもね、もっとろくでもない洋画吹替えとか最近は多いじゃない?ああいうのと比べると、メインキャラを担当した役者さんたちはそんなに悪くなかったですよ。ああ、母親役の美保純だけは…声を聴いただけで美保純だって思っちゃって、頭の中で、タコ社長の娘とか「あまちゃん」の海女姿を思い浮かべちゃったけどさ(笑)。そういえば啓治さん病気休養だってね…放送中の「マクロスΔ」にも出てたけど?早く元気になって帰ってきてほしいな。


監督:原恵一
出演:杏 松重豊 濱田岳 高良健吾 美保純 清水詩音 筒井道隆 麻生久美子 立川談春 藤原啓治


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