二流小説家 シリアリスト(2013年) | 勝手に映画紹介!?

二流小説家 シリアリスト(2013年)

二流小説家 シリアリスト

WOWOWでエアチェックしておいた「二流小説家 シリアリスト」を鑑賞…これも気になっていたけれど、レンタルで借り逃がしていた作品だな。WOWOWの放送も初回放送で録り逃して、何度目かのリピートでようやく録画したものの、ディスクに焼いてしばらく放置してしまったので、今年中に見ておこうと思った次第。何年か前のこのミスなど、ミステリーの人気投票で1位を獲得したという洋モノ小説が原作…古典ミステリーを現代日本に置き換えるみたいなのはよくある話だが、新しい作品を本国を差し置いて映像化するのは珍しいのでは?

赤羽一兵は…官能小説で生計を立てている二流小説家だ。何年も前に、母親名義を借りて出版した女性向けライトノベルが唯一のヒット作である。そんな一兵のもとに、世間を騒がせたシリアルキラー死刑囚、呉井大悟から手紙が届く。なんと一兵に告白本の執筆を頼みたいというのだ。呉井の弁護士、前田礼子を通じて真偽を確かめると、その手紙は本当に呉井本人が書いたものに違いがなかった。礼子からの申し出で、死刑が執行されるまでは本の出版は辞めてほしいと打診されるが…とりあえず一兵は呉井に面会することに…。

売れない作家の元へ死刑囚から怪しげな手紙が届く…告白本の執筆依頼だ。半信半疑で、死刑囚本人に面会すると…ある条件をのめば、今まで誰にも語ってこなかった事件の話や、生い立ちを語るという。で、その条件というのは…外にいる、死刑囚の信者(ファン)と面会して、それを題材にして官能小説を書くという事だった。まぁ、本職なんでそれはお安い御用なわけだけど…そんな死刑囚からの頼み事を素直に聞こうとすれば、関係各所から抗議も出てくるわけで、どうしたものかと悩んでしまう。でも、結局…欲に目がくらんで、引き受けてしまうわけで…。

そこから先は案の定…事件が発生!かつての殺しの手口にそっくりな事件が起きまして、あろうことか主人公の作家が第一発見者となる。それどころか、同時に複数の事件が発生中でして、全ての被害者に、死刑囚の指示で会っていたのが主人公…もう、これは完璧にハメられたでしょうって感じ。でも、死刑囚は塀の中…どうやって事件を起こせる?こっそり刑務所を抜け出したのか、いやいや共犯者がいるに決まっているだろう…もしくは捕まっている死刑囚が冤罪で、真犯人は野放しのままだったのだろうか?…と謎が深まっていく。

このミスで1位を獲ったミステリー…ということで、ハードルを上げ過ぎちゃったのがいけないのか、終わってみればそんなに大した“謎”ではなかった印象。現在で事件が起きる前から、真犯人なんかも、第一印象で“この人かな?”って見当がついてしまったところがあり…新たな事件発生後は、なぜ?とか、誰なら犯行が可能か?なんてあたりを考えていくと…最初のあてずっぽうの推理がどんどんと確信に変わっていった。一応、どんでん返しな展開も用意してあったりするんだけど…そっちの真相に関しても、棚ボタ感ありありで、拍子抜けであった。

ただし…死刑囚を演じた武田真治のエキセントリックな演技はそれなりに見ものであり、そんな武田の言動に翻弄されてしまう、情けない上川隆也が、ガラス越しの面会室で幾度となく対面を繰り返すうちに、いっぱしの探偵のようになっていく様はなかなかスリリングに描かれていて面白く見れた。まぁ、川井憲二さんの音楽に助けられているところもあると思うけどね…。川井さんの音楽って、押井映画とか香港、韓国のアクション系映画以外に…こうしたミステリーにもよくハマる。先日までTV放送していた「すべてがFになる」でもいい仕事をしていたよね。

事件よりも、一番“謎”だったのが…主人公の作家につきまとう女子高生の存在。やたら馴れ馴れしく“君付け”で呼んだりして…身内らしいんだけど、娘じゃなさそうだし、歳の離れた妹でもなさそう…まさか援助交際?なんて思いつつ、色仕掛けにも弱かった主人公にそんな甲斐性はなさそうだし…いったい何者?って思っていたら、ようやく途中で“姪っ子”だったことが判明して、溜飲が下がった。って…もっと最初の会話とかで、そのくらい理解しろって?すんません、想像力が足りなくて。でも…もうちょっと、解りやすく描写してもよかったんじゃ?

あと…もう一つ謎なのが、なぜか作家の今野敏センセイの登場!(役名も今野センセイ)しかも…主人公が依頼を受けるきっかけになった(ちゃんと仕事をしていると見栄を張りたかった)元カノらしき人物・黒谷友香の旦那の役。まぁ、黒谷友香といえば…「ハンチョウ」シリーズの水野真帆役なわけでして、ミステリマニア向けのファンサービス的な意味合いもあるのかななんて勘ぐってみるが…これまたキャラの詳しい説明がないだけに、まるで原作者(この作品のじゃないですよ)がドラマの出演女優を口説いたようにも見えてしまい、妙におかしかったです。


監督:猪崎宣昭
出演:上川隆也 片瀬那奈 平山あや 小池里奈 賀来千香子 高橋惠子 本田博太郎 伊武雅刀 武田真治


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