イン・ザ・ヒーロー(2014年) | 勝手に映画紹介!?

イン・ザ・ヒーロー(2014年)

イン・ザ・ヒーロー

【鑑賞日:2014年9月4日】

PassMarketで募集していたYahooプレミアム会員向けの試写会「イン・ザ・ヒーロー」が当選…小田原のTOHOシネマズまで行ってきた。映画館のあるダイナシティへはちょこちょこ行ってるけど、ここで映画を見たことがなかったので、ちょうどいい。まぁ、車で行くので、いつものように1人で鑑賞するのはガス代が勿体ない…といっても、周りに一緒に行けるような知人も見つからず、70代前半のオカンに「唐沢寿明と“あまちゃん”の種市センパイが出てる映画行く?」って誘ってみたら、興味を示したので、一緒に連れて行った…ついでに買い物もできるし。

特撮作品のスーツアクターとして活躍するベテランの本城渉…同業者からは“リーダー”と呼ばれて、信頼も厚く、慕われている。ある日、劇場作品で顔出しの仕事が入った本城だったが、撮影直前で新人俳優の一ノ瀬リョウに役を奪われてしまった。そんな時に、顔見知りだった一ノ瀬のマネージャーから、「一ノ瀬を鍛えてほしい」と頼まれる。実は、一ノ瀬にはハリウッド映画のオーディションに参加中で、あと一歩で役が掴めそうだったのだ。スーツアクターやスタントのイロハを必死に教える本城だったが、一ノ瀬は「所詮、子供向け」とあまり真剣にならず…。

いきなり劇中作品の“特撮番組”、オープニング主題歌から幕開け…けっこう本格的に作り込んであって、この劇中作品の歌を「太陽戦隊サンバルカン」の主題歌などでお馴染み串田アキラが担当している。本当に特撮映画が始まったかのような錯覚に陥る導入部…横に座った70代のオカンがかなり面喰ってるのがわかった。ヤバイ、このまんまのテンションで作品が続いたらどうしようと…けっこう心配になったのだが、その後は、業界内幕もの的なドラマになっていくので、特撮にそんなに興味がなくても楽しめるような作りになっていたのでご安心を。

本格的なヒーローもの映像で、ちびっこの心を掴んだように(けっこう子連れのお客さんも多かったんですけど、みんな食い入るように見ていた)…本編が始まって、かなり早い時間に松方弘樹が本人役で登場したりするので、年配者もテンションがあがるはずである(笑)普段は縁の下の力持ち的存在、スーツアクター、スタントマンという職業…そのベテランの職人たちが、パッと出のアイドルになめられて、「ざけんじゃね!」って、業界のしきたりなんぞを厳しく教えようと奮闘する姿を描くと、こういうベタなドラマも、わりと年配者好みだろうと推測する。

きっと、ジャニーズとか今時の若手アイドルなんて、こんなのが多いんだろうなぁって想像しながら見ていると…なかなか面白いですよ。つーか、芸能界、映画業界だけでなく、若者全般にマナーがなっちゃないヤツが多いですからね。年配者、年寄の不満が…この映画からよく伝わってきます。若い世代の人たちは、この映画を見て、「お前らこういう風に思われてるぞ」っていうのを少しでも感じてくれればいいんじゃないかな?若者への不満を吐き出す一方で…日本映画の意地や、ハリウッド映画への皮肉なんてのも面白おかしく描いてるんだよね。

笑っちゃうくらい…絵に描いたような、日本人がイメージしている“我儘なハリウッド監督”っていうのが出てきてですね、無理難題をふっかけて現場を困らせる。資金面ではハリウッドに敵わないかもしれないけど、日本映画は職人技や現場の結束力で対抗するんじゃいと…思いっきりハリウッド映画を小馬鹿にしてるんですね。まぁ、その辺のドラマがちょっと安っぽかったりもするんだけれども…二つを対比させて、映画の作り方が根本から全然違うっていうのを、一般人の人にちょっとでも伝わればいいんじゃないかな?邦画だって色々と頑張ってるんだよって。

でですね、その我儘ままなハリウッド監督が…ワンカットでとんでもないアクションを撮りたいとか言い出すわけですよ。そのくだりを見てて…ああ、これって大部屋俳優を、スーツアクターに置き換えた、現代版「蒲田行進曲」なんだねって思った。きっと唐沢寿明演じるベテランのスーツアクターが、平田満演じるヤスなんだよ。「蒲田行進曲」の階段落ちのシーンを想像すると、だいた展開が読めちゃうわけだけど…冒頭の特撮シーン同様、クライマックスは思いのほか本格的なチャンバラとなりまして…もしかしたら“るろ剣”に匹敵するんじゃないかとも思った。

というか、“美味しすぎるぞ!松方弘樹!”って感じでして…すげー、チョイ役で最初と最後しか出てこないのに、あの場をかっさらってしまう貫録って、なんなんでしょうかね?唐沢寿明なんかもね、舞台経験も豊富なんで…年齢を感じさせない、キレのあるアクションなんかをけっこう見せてくれるんですけど、二人が刀を交えた瞬間なんかは、松方さんの迫力に圧倒されてしまった。あのクライマックスは、爺婆のみなさんもけっこう満足するんじゃないでしょうか?何年か前に千葉真一と一緒にやってた「新・影の軍団」とか、久しぶりに見なおしたくなったし。

まぁ、“CGやワイヤーを使わない、ワンカット撮り”に拘ると、劇中キャラが豪語していたわりには、実際はカットも割ってたし、CGも使ってたし、ワイヤーも使ってたしっていうシーンがいくつかあったので…あそこで本気のアクションを見せてくれたら(無理なのは百も承知)、大満足だったんですけどね。まぁ、そのあたりを差っ引いても…アクション映画としての満足度もありました。エンディングロール中も色々と映像が流れ、最後にはもう一発ギャグもかましてくるので…決して場内が明るくなるまで席を立ってはいけません…鑑賞予定の方は肝に銘じておくように。


監督:武正晴
出演:唐沢寿明 福士蒼汰 黒谷友香 寺島進 草野イニ 小出恵介 加藤雅也 松方弘樹 和久井映見


【小説が出ているそうです】
イン・ザ・ヒーロー







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