クソすばらしいこの世界(2013年) | 勝手に映画紹介!?

クソすばらしいこの世界(2013年)


 クソすばらしいこの世界 


ツタヤの準新作&旧作100円セールにて借りていた最後の1本も無事に見終わり…返却してきた。ということで、「クソすばらしいこの世界 」を鑑賞…特にツタヤの限定ソフトってわけでもなく、これ新作で借りたかったんだけど、GEOで見つからなかった。もしかしたら、どこかにあったのかもしれないけど、わざわざ店員に訊ねるのもアレなタイトルなんでそのままにしていた。全編LAロケ、日韓米のスタッフ、キャストが入り混じったインターナショナルな作品なんだけれども…出資は日本(監督も日本人)なので、邦画という括りでいいんだと思います。

ロサンゼルスに留学中の韓国人アジュンは、日本人の留学生グループから誘われて、車でキャンプへでかけることに。しかし、メンバー内にまともに英語が話せるのは一人しかおらず、なかなか意志疎通がはかれないアジュン。アジュンは、旅費をワリカンさせるための人数合わせ程度にしか思われていなかったのだ。一方、メンバーが向かう目的地の近くには、強盗を繰り返すホワイトラッシュの兄弟がいた。弟が車で殺しの後始末をしている時に、近くに留学生たちが!正体がバレたのではないかと考えた2人は留学生たちが滞在するコテージへ向かう!

若手の日本人女性監督の長編デビュー作なんだけど…いきなり全編アメリカロケ、インターナショナルなキャスト、スタッフ陣という、一般的な邦画とは違った撮影環境であったということでも話題になった作品、中身はスラッシャー系のホラーです。ちなみに、レンタル版のジャケット は、登場人物の一人をフィーチャーした、いかにもホラーなデザインでインパクト大。まぁ、レンタル版のジャケットだとある意味、ネタバレになってしまってるところもあるので…本編を見て驚きたいと思ってるような人には、逆にセル版のジャケデザインの方がいいのかもしれんが?

話の内容は、ボンクラな若者と、たまたまその中に交じってしまった真面目な女の子が、山奥で殺人鬼と遭遇してしまうという…アメリカのB級ホラーにありそうな定番設定。でも、日本人が撮ってて、邦画なのに…アメリカ映画っぽく見えるっていうミスマッチ感にセンスがでてるわけですよね。普通だったら、日本人のキャラクターをいい奴にすればいいのに、出てくるのがクズばかり。で、一番主人公っぽい女の子の韓国人を色々と言葉で責めてイジメまくる。その韓国人が、こいつら馬鹿じゃねーのと、一人冷めた目線で、呆れて見てると…そんな構図です。

そこに非日常な“殺人鬼”が入り込んでくることで…女の子の感情にも変化が!でも、日本人のボンクラは、どこまでいってもボンクラなんだよね。確かに、韓国人少女を演じているキム・コッビは一人違ったオーラが出ていて可愛いと思った。今の日本が反韓に傾いていなければ…もっとプッシュしたくなったと思うよ(笑)途中まで、この人が主人公っぽいわけですけど…実はという。既に色々なところで“ネタバレ”が書かれちゃってるんですけど…ある名作邦画ばりの、仕掛けが施してありまして、そんな方向へいっちゃうのというドッキリが味わえるんですね。

オーディオコメンタリーなんかで、監督やプロデューサーが公にそれを認める発言をしてまして、オマージュだよと。アメリカンな定番スプラッターが、パロディのようなオマージュを入れたことで邦画独自のカラーになったとは思います。ここでノレないと…多分、作品を楽しめない?韓国人少女が日本人の若者を蔑んでいたように…殺人鬼の白人兄弟もまた、日本人を毛嫌いし「イエローぶっ殺す!」と息巻く。韓国人の少女が「私は韓国人よ!」と反論するんだけど…アイツらには区別がつかないと…こういうところはアメリカ映画のパロディを感じて面白い。

その場に応じて、主人公っぽい人物がスイッチしていくので…“殺人鬼兄弟”が全員ぶっ殺すのか、“留学生グループ”が生き延びるのかというのが意外と読めなくて良かったですよね。それこそ、レンタル版のジャケットを見ていたので、どこかであのキャラクターが、ああいう格好をして、バイオレンスな動きを見せてくれるのだろうとは、薄々思ってたんですけど。最後のオチもホラーらしい余韻が出ていいです…もうちょっとどっちなのか、あやふやでも良かったかなって思うけど。あのキャラの後姿を見て「悪魔を憐れむ歌」とか、あの辺をちょっと思い出した。

WOWOWで放送するようなエロVシネで、よくウザキャラの脇役を演じているしじみって女優が出てまして…留学生グループの中で一番最初に殺人鬼に捕まり、いたぶられる役でした。過去の出演歴から考えて、案の定といいますか…作中、唯一のオッパイ担当だったりもします。コメンタリー出演者に、「ヤラれる役がうまい」と妙な太鼓判を押されてるだけあり、顔をボコボコにされ、片乳出して横たわってるとか、他の殺されるキャラクターよりも、痛々しい感じがよく出てましたね。その後の扱いを見て、ここまでヤルのかこの映画と…方向性を再確認。

監督の長編デビュー作ということですが、本編は1時間18分と意外と短い。でも、おかげでレンタルソフトでも特典のオーディオコメンタリーまでちゃんと全部聴ける余裕があるという利点があったりします。アメリカの警察は怖い、信用できない、多くがなんか悪さしてるとか…アメリカ人の多くが、劇中登場のホワイトラッシュ殺人鬼みたいだとか、クソ真面目に語る監督のトークがなかなか愉快です。朝倉加葉子って、そのまま自作に出てもいいくらいな、それなりに綺麗な顔したねーちゃんなんだが、頭の中が血みどろで、今後の活躍に期待が持てます。


監督:朝倉加葉子
出演:キム・コッビ 大畠奈菜子 北村昭博 しじみ 甘木ちか 阿部友保


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