桜の代紋(1973年) | 勝手に映画紹介!?

桜の代紋(1973年)


  勝手に映画紹介!?-桜の代紋

東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響で、節電を心掛けている人も少なくないだろう。加えて、今日一日は、東京電力の煮え切らない対応の計画停電で一日振り回されてしまった。被災地で苦しんでいる人に比べれば、停電の一つや二つ、なんとか乗り切れると思うのだが、情報提供だけは正確に行ってもらいたいものだ…。といいつつ、オイラは映画観賞を少しずつ再開している。一応、アンプの電源は落とし、BDレコとTV接続だけで。もともと11日の最初の地震で、スタンドを使って設置しているサラウンドバックスピーカーが、落下の危険にさらされたので…一時的に取り外していた。なもんで、当分の間は…アンプ&スピーカーの利用を控えようと思っている次第だ。些細な事だが必要最低限のAV機器以外は、コンセントを抜いた(あとTV視聴中はもともと部屋の明かりはつけない事が多いし)。

さて、本日の鑑賞は…16日間お試し視聴を利用中のe2スカパー、日本映画専門チャンネルでエアチェックしておいた「桜の代紋 」。勝新太郎のおにーちゃん、若山富三郎主演による1973年製作の刑事アクションドラマ。本作は、現在DVD化されていないようなマニアックな作品に焦点をあてた“ハイビジョンで蘇える 日の当らない名画・名作たち”という特集放送の中の一本で、映画監督の黒沢清、推薦で選ばれた作品なのだとか…。VHSのビデオソフトはかつてリリースされていたものの、さすがにAmazonのマケプレでも検索できず、楽天で探したら中古ビデオの取り扱いショップが一軒だけ見つかった(在庫は少ない)。日本映画専門チャンネルを視聴できない人は、あとはヤフオクなんかで探すのがよろしいかと…。

捜査四課のベテラン刑事・奥村たち警察組織は暴力団・西神会の撲滅を目指していた。そんな中、拳銃取引に関わった西神会組員が、職務質問をした警察を射殺して逃走するという事件が発生。奥村は、血気盛んな若手刑事・加藤と組んで捜査に当たり…若頭の杉山が実行犯であることまで突き止めたのだが、西神会を揺さぶってもなかなか居所がつかめなかった。そこで奥村は西神会と対立している、昔堅気の橋田組を動かし、杉山の情報を得ようと考える…。しかし、橋田組の組員が今度は杉山に襲われてしまい、橋田組二代目の宮川は、けじめをつけようと単独で西神会へ乗り込む!奥村は、宮川に大きな借りをつくってしまったのだが…。

人相も悪く、ヤクザともつるむ悪徳刑事っぽいんだけど、本当は正義感がやたら強い、実直な刑事。ただそれが、悪党相手に行き過ぎてしまう傾向があり…正義を貫くためには、悪も必要だと、今、テレ朝で放送している高橋克典主演の刑事ドラマ「悪党」みたいな内容ですね。西神会と対立する昔堅気のヤクザ、橋田組二代目との男の絆、小林昭二扮する同僚の刑事と、“兄弟”と呼び合うなど…どこかヤクザ映画のようなノリも少なくなく、そういったところも本作の魅力かも。若いチンピラにからまれた時、「何組だ?」と聞かれ、「桜組だ」と答える若山富三郎に、クスリとさせられてしまう。桜組=桜の代紋=警察ということで、それを知ったチンピラが慌てふためくと。

警察官が、自分の職場の事を“会社”と呼ぶ…「踊る大捜査線」あたりでもこういう表現がよくされるようになり、今では警察ドラマファンの間では当たり前になっている事柄のひとつけど、本作でも若山富三郎がそういう言葉を使っており、やはりこういうところが作品のリアリティも生んでいるのかなと。家族をも巻きこんでしまったことへの怒り、憎しみ…後半は和製ブロンソンみたいな方向へ話は進む。刑事の職務を逸脱しながらも悪を許さないという気迫で徹底的に悪と対立していくんだけど、ハリウッドのアクション映画のようにやりっぱなしで終わるわけではなく、物事の顛末、後始末までしっかりと描かれているところが良かったですね。ポリシーを貫く主人公のラストカットに心が熱くなった。


監督:三隅研次
出演:若山富三郎 松尾嘉代 関口宏 渡辺文雄 小林昭二 大滝秀治 石橋蓮司


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