沈まぬ太陽(2009年) | 勝手に映画紹介!?

沈まぬ太陽(2009年)

勝手に映画紹介!?-沈まぬ太陽


【鑑賞日:2009年10月27日】

先週から始まっている「沈まぬ太陽」を近所のシネコンで鑑賞してきた…いつものようにレイトショーで見ようと思ったんだけど、先週、上映スケジュールを確認したら、レイトショーだとフィルム上映で小さいスクリーン、昼間、見に行くとデジタル上映で一番でかいスクリーン(明日からはマイケル・ジャクソンの映画に奪われちゃうらしいが)ということだったので、あらかじめコンビニで前売り券を購入しておいて、朝一番の上映回で見てきました…予想してたけど、平日の朝だったので、シニア割引で見に来ているようなおじさん、おばさんばかりで、けっこう混雑。3時間ちょっとで、インターミッションなんかいらねーよとか思ったけど、年配客がターゲットだとそれも無理ないか…「劔岳 点の記」を見に行った時も上映中に、やたら出たり、入ったりが激しかったもんなぁ~。

群馬県の御巣鷹山で国民航空が起こした未曾有の航空機墜落事故…ベテラン社員の恩地元も、現地で犠牲者遺族の対応に追われていた。責任を追及し、憤る遺族たちと、保身に走る会社側との間に阻まれ苦悩の絶えない恩地…。恩地はかつて、労働組合の委員長を務め、職場環境改善のために会社と闘った後、懲罰人事で、長い期間、海外赴任を続けてきたという過去がある。日本に戻ってきてからも逆境の日々は続き…この事故が起きてしまったのだ。事故後、遺族との補償交渉に東奔西走する恩地…その頃、内閣総理大臣の要望で、関西紡績での労務対策の実績を買われた国見正之が、国民航空の会長へ就任する事が決まった。その国見の誘いで、恩地は新設された会長室の室長に抜擢される!いよいよ国民航空の再生がスタートするのだが…。

原作は未読…日航機墜落事故等をあくまでモデルにしたフィクションということではあるが、JR西日本の脱線事故の責任問題に、最近の日本航空のゴタゴタなど…ダブってしまうような出来事が満載。責任のなすり合い、出世争いに、政治家まで色々と絡んできて…きっとあの当時も、あからさまに表に出てこないような事でも…こういうことは実際にあったんだろうねぇという説得力のある話にはなっています。はっきり言っちゃうと、3時間でも物足りない印象…物語の方は連続ドラマか何かでじっくりと堪能したいところだが、それでも久しぶりに、ちゃんと日本映画らしい作品と出会えた感じで嬉しい限り。

主人公の娘役を演じた戸田恵梨香と、犠牲になったスッチー松下奈緒くらいしか、若手と呼べるような役者は出てなくて(お兄ちゃん役の柏原崇だってもうそこそこ芸歴長いし)その二人も違和感なく役柄にハマっていた。それ以外の役名があるような登場人物はほとんど、ベテランか中堅どころの役者さんばかり…それぞれが少ない出番ながらも、きっちりと印象を残す存在感があり、役者探しをしているだけでも…3時間以上の長丁場もあまり苦もなく、飽きずに鑑賞できる。もちろん、作品のメインとなる…恩地と家族のドラマ、三浦友和演じる行天との…長い長い確執。真っ直ぐすぎる恩地と、出世のためにはあくどい手段を使いつつも、上手に立ち振る舞う行天の静かなる戦いは見ごたえあり。恩地を応援したいけど…社会で生きていくためには、ある程度、行天のような臨機応変さも身につけなきゃいけないよなぁとか思いながら見てしまう。

恩地の妻を演じた鈴木京香と、行天の愛人を演じたスッチー松雪泰子の、主役級女優二人の存在も、作品を楽しむポイントか?鈴木京香…さすがNHKの朝ドラ出身、義母の面倒とかも率先してみる、日本の良き妻みたいな役が似合う、似合う。時々は気持ちを吐露し、抗ってもみるけど…基本、旦那の意見に従いますみたいな感じ。海外赴任へ同行する時の頭にスカーフをかぶった姿が、またなんとも古風で、ちょっと「君の名は」を思い出すね。個人的には、京香ねーさんの喪服姿にちょっとクラクラしちゃいました。で、対する松雪泰子は、やっぱりエロイっす。三浦友和と、仲間に隠れてこっそりチューするシーンなんて、あの足のひらき方とか、妙にセクシーじゃね?しかもスッチーの制服だし…スッチーも陰ではっしうことしてるんだという、妄想がどんどん膨らむ、膨らむ。行天と関係がこじれた時の、あの冷たい流し目とかゾクゾクしちゃうよ。

気になる点といえば…こういう題材だからこそ、大手航空会社の協力が得られてないってことだよね。去年あたり公開されたスッチーが活躍する作品なんかは、名前も実名だったけどねぇ~。だからなのか、飛行機の離発着シーンとか、CGでしょ(他にも一部CGはあるけど)…俳優の演技がやたら重厚なのに…そこだけ急に映像が軽くなるのが残念で仕方がない。だったらいっそうの事、事故直後のシーンとかも映像はバッサリとカットしちゃっても良かったんじゃないかなぁ。娯楽映画じゃないんでね、墜落シーンをリアルに見せたりするわけじゃないんですよ…そこは音響だけで、事故の壮絶さを印象づけることに成功していた。だったら、機内の映像、乗客たちの芝居なんかで…離陸したというのを観客に伝えても良かったはずだ。CGじゃなくてさ、まだ模型を使った、昔の特撮みたいな方がそれっぽく見えたんじゃないだろうか?


監督:若松節朗
出演:渡辺謙 三浦友和 松雪泰子 鈴木京香 石坂浩二 香川照之 柏原崇 戸田恵梨香  大杉漣 西村雅彦  


【関連書籍】
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