水の花(2005年)
ツタヤの旧作半額レンタルで借りてきた「水の花
幼いころに母親に捨てられ、父と二人で暮らしている中学生の美奈子は、母が父とは別の男との間に儲けた娘の優を連れ、二人で自分の家の近くに住んでいることを知ってしまった。ある日、母親にかまってもらえない優が、一人で町をふらついているのをみかけ、声をかける美奈子。母親の待つ家に帰りたくないという優に「海を見に行こうか」と誘い…深夜バスに乗り込む。
カメラワークや構図、照明の使い方など映画の基本をしっかりと勉強していますみたいな、正攻法な演出術でやたらと淡々とした物語展開だったが、そういうオーソドックスさが、いかにも映画的で良かった。対象となる人物と一定の距離間を感じ、顔のアップとかはほとんどない。引きの画が多く、肝心なところで顔が陰になっちゃって、表情も見難かったりするんだけれども…そういうところで見ている側でいろいろな解釈を入り込ませる余地があったんだと思う。
おかーちゃんが不倫して出て行っちゃったことに、憎しみを抱きながらも、長い年月をかけてようやくそれを受け止めた中学生の娘の話で、生活環境で身につけた大人びた雰囲気と、中学生ならではの幼さが同居しているところが魅力的。中学生の主人公が中心になって、彼女が母親に見えるし、妻にも見える…そして腹違いの妹が、昔の主人公に見えると…二重、三重に意味が含まされているようで、けっこう奥が深いです。
結果的に血の繋がった妹を誘拐してしまったのだけど、母と娘のような関係になっていく。無邪気という武器で美奈子を攻め続ける優の存在感も大したもので…美奈子のしぐさに母と似たものを感じとるところとか、ドキっとさせられた。また、優が無邪気に振る舞う姿を見て、自分の行いを振りかえり泣き崩れる美奈子の後姿なんかも、美奈子が憎んできた駄目な母親の姿とオーバーラップしまくって、本当にゾクゾクさせられた。
親父の方も、嫁さんに逃げられたということをだいぶ引きずってるようで、酔っぱった勢いで、嫁さんと間違えて、娘を襲っちゃいそうになたりするシーンはかなり痛々しい。その後、事件を介して、元妻と再会してしまった時の言動なんて見てると、未練たらたらな心情がはっきりと伝わってくる。一方、嫁さんの方は元旦那には全然、興味はなさそうなんだけど…愚かにもまた同じように、母親失格という失敗を繰り返しているわけで、なんだか複雑な気持ちにさせられます。
監督:木下雄介
出演:寺島咲 小野ひまわり 田中哲司 黒沢あすか 津田寛治
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DVD 水の花
