ティム・バートンとジョニー・デップのコンビ作は「シザーハンズ(1990)」「エド・ウッド(1994)」「スリーピー・ホロウ(1999)」「チャーリーとチョコレート工場(2005)」「スイニー・トッド(2007)」「アリス・イン・ワンダーランド(2010)」など数多いが、個人的にはこの「スリーピー・ホロウ」がもっとも面白かった。次点が「シザーハンズ」か?
<ストーリー>
1799年。ニューヨーク北方の寒村スリーピー・ホロウで首なし連続殺人事件が発生。科学捜査に賭ける下級巡査イカボッド(ジョニー・デップ)は事件の捜査のため同地に派遣され、宿を提供した大地主バルタス(マイケル・ガンボン)ら村の長老から、南北戦争時に悪名を馳せた首なし騎士(クリストファー・ウォーケン)が殺人を続けていると聞かされる。にわかには信じがたい話だったが、首なし騎士はイカボッドの前に姿を現して村の重役連を血祭りにあげていく。一度はおじけづく彼だったが、バルタスの娘カトリーナ(クリスティーナ・リッチ)と殺された父の復讐を誓う少年ヤング・マスバスの協力を得て首なし騎士を探すべく、森へ踏み込み、ついにその棲み家である怪木を発見。イカボッドは誰かが騎士を操り、特定の人間を殺していると推理した。調べを進めるうちにバルタスが村の長たるヴァン・ギャレット家の遺産を狙っていたことを知るが、その彼もカトリーナの前で殺された。カトリーナは気絶するが、床には魔術の“呪いの眼”が書かれていた。イカボッドは彼女が犯人だと思い、村を立ち去ろうとするが、真犯人は別の人間だった。
豪快に首が飛ぶ北野武監督の「首」を観て本作を思い出し鑑賞。
こちらも北野映画に負けないぐらい首が飛びまくる。
市川崑の横溝正史シリーズ的な世界
映画全体はゴシック調のホラーテイストと、犯人捜しのミステリーと、過度にならないユーモアのバランスが絶妙で結構面白い。
おどろおどろした田舎の村の雰囲気や伝説、遺産相続にともなう殺人事件といい、横溝正史の小説みたい。
ちょっとビビリな捜査官というジョニー・デップのキャラクターも石坂浩二の金田一耕助だし、ちょっとグロイ描写や、後半の展開が複雑でごちゃごちゃして結局、最後に犯人がすべてを告白する展開も市川崑監督の横溝作品っぽい。
科学捜査が得意で二枚目なのにちょっとビビりなデップのキャラクターが秀逸。
(失神寸前)
(ヒーッ!)
そして、けっして美人顔ではないけれど色白で丸顔のチャーミングなクリスティーナ・リッチ。
首無し騎士を演じるのはクリストファー・ウォーケン、顔が映る首があるシーンはわずかだが牙状の歯や逆立った髪の毛などインパクト強し。
(首無し状態)
(牙のような歯とブルーの目、逆立った髪の毛でインパクト強し)
他にも「ハリー・ポッター」の二代目ダンブルドアのマイケル・ガンボンや「スターシップ・トゥルーパーズ」では主役のリコを演じたキャスパー・ヴァン・ディーンが脇を固めている。
マーティン・ランドーやクリスファー・リーのゲスト出演も嬉しい。
マーティン・ランドー
クリスタファー・リー
全編にわたって冷え切ったブルーのモノトーンに近いカラーの撮影が美しい
村の建物や大木のビジュアル、何のためにどうやって使うのかイマイチ解からないゴテゴテした科学捜査の道具などの美術も良い。(アカデミー美術賞受賞)
冷え冷えとした街の風景
ひねり具合が絶妙な大木
なんだか効率が悪そうな科学捜査の器具のあれこれ
首をはねるグロ描写が多いが不快になるほどではなかった。
死体の解剖
「マスク」状態
1999年 アメリカ カラー111分
【鑑賞方法】配信(字幕)U-NEXT
【英題・原題】SLEEPY HOLLOW
【制作会社】 スコット・ルーディン-アメリカン・ゾエトロープ作品
【配給会社】 日本ヘラルド映画
【監督】ティム・バートン
【脚本】アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
【原作】ワシントン・アーヴィング
【制作】スコット・ルーディング アダム・シュローダー
【撮影】エマニエル・ルベツキ
【音楽】ダニー・エルフマン
【編集】クリス・レベンゾン
【美術】リック・へインリックス
【衣装】コリーン・エイトウッド
【特撮】ジム・ミッチェル
【出演】
ジョニー・デップ: イカボッド・クレーン
クリスティーナ・リッチ: カトリーナ・ヴァン・タッセル
ミランダ・リチャードソン: ヴァン・タッセル夫人
マイケル・ガンボン: バルタス・ヴァン・タッセル
キャスパー・ヴァン・ディーン:ブロム・ヴァン・ブラント
イアン・マクディアミッド: トーマス・ランカスター医師
マイケル・ガフ: ジェームズ・ハーデンブルック書記
ジェフリー・ジョーンズ: スティーンウィック牧師
クリストファー・リー: ニューヨーク市長
クリストファー・ウォーケン:首無し騎士