白い沈黙感想アトム・エゴヤン監督ライアン・レイノルズ主演。美少女行方不明のエゴヤン流迷宮で胸騒ぎ | 映画時光 eigajikou

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世界の色々な国の映画を観るのがライフワーク。
がんサバイバー。
浜松シネマイーラの会報にイラスト&コラム連載中。
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『白い沈黙』

原題:The Captive
2014年製作 カナダ映画
TOHOシネマズシャンテで鑑賞

浜松シネマイーラでも上映されます!







↓『白い沈黙』予告動画


↓The Captive トレーラー




監督・製作:アトム・エゴヤン

脚本:アトム・エゴヤン
デヴィッド・フレイザー
撮影:ポール・サロッシー
音楽:マイケル・ダナ

出演:ライアン・レイノルズ
スコット・スピードマン
ロザリオ・ドーソン
ミレイユ・イーノス
ケヴィン・デュランド
アレクシア・ファスト
ブルース・グリーンウッド

カナダの名匠アトム・エゴヤンによる
サスペンス・ミステリー。
ある日突然失踪してしまった9歳の娘を捜し続ける父親が、
8年後に、何者かから突きつけられた
娘の生存を示す手がかりに翻弄されていく姿を描く。
体を張ったアクションからコメディまで
幅広い役柄をこなすライアン・レイノルズが
娘を捜し続ける父親を熱演する。
(Movie Walkerより)


アトム・エゴヤン監督の作品は、
90年代は遠征もして見ていましたが、
近年の作品は機会がなく見逃しているので、
いずれ見たいと思っています。

白い沈黙は、
原題はThe captive
監禁されている人。です。

冒頭は、
私がエゴヤン作品で一番好きな2回劇場鑑賞した
『スイート・ヒアアフター』(1997年)
を連想する雪景色。
フィギュアスケートのレッスンの後、
父が車を止めてパイを買いに行ったほんの数分の間に
後部座席からいなくなってしまった娘を巡る物語。
クライム・スリラーですが、
犯人捜しの謎解きミステリーではありません。
時間が交錯するし、
回収されないこと、
解決してないこともあるので
分かりやすいのが好きな人には
向かない作品とは思います。
私はエゴヤンの過去作、
『エキゾチカ』(1994年)
『スイート・ヒアアフター』(1997年)
『フェリシアの旅』(1999年)
などが想起される
スリリングなエゴヤン・ワールドに
引き込まれて満喫しました。
パズルのように時間が交錯して、
セリフや視覚的な仕掛けもあるので
目も思考も刺激されて緊張感が途切れませんでした。
エゴヤンの90年代の作品からの
テーマ性は続いていました。
「覗き」「美少女」
「フェティシズム」「喪失」は重要な要素。

子どもを監禁して利用する犯罪も
IT技術の進歩により高度化しています。
捜査している警察にもリサーチの上で描かれています。
エゴヤン監督(エジプト出身で両親はアルメニア人)
と同じカナダが地元の
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作、
『プリズナーズ』(2014年)
も子どもの行方不明が描かれ、
父親の行動が暴走していくスリラーでしたが、
『白い沈黙』は暴力シーンは殆どなく、
目を背けたくなるような描写もありません。
余談ですがどちらも
主人公がハリウッドスターで
アメコミヒーローを演じていていますね。
ヒュー・ジャックマンはウルヴァリン。
ライアン・レイノルズはグリーンランタンとデッドプール。
そしてこの2人『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』で共演してます。
(ライアン・レイノルズがデッドプール)






『白い沈黙』は、
救いのあるラストですが、
単純にハッピー・エンドとは受け取れず、
画面に描かれていないもっと奥深い闇の世界に
思いが巡り、
胸のざわつきが収まらず後を引きました。

芸達者な俳優たちの的確な演技、
ずっとエゴヤン監督作品を撮っている
ポール・サロッシーのカメラ、
常連マイケル・ダナの音楽が、
スリリングな世界を構築。
エゴヤンワールドをしっかり支えています。

滝本誠さんの
「<覗き>のカメラと捕らわれの<少女>
―アトム・エゴヤンの危うい執着」
ヒッチコック、エゴヤン、
デヴィッド・リンチを結んだ
パンフのコラムが名文です。
滝本誠さんが褒める映画が好きな人には
おススメです。
え~?どういうこと?
って人にはおススメしないし、
面倒なので説明も省略。ごめんなさいネ。
監督の作家性やキャリアは
無視してるのか興味がなさそうで
自分の感性に合う合わない、
分かった、分からない、
自分が共感できる、できない、
そういうところで映画を評価する方にも
おススメしません。
すみません、エラそうなこと言って。(^o^;)

ライアン・レイノルズ、ミレイユ・イーノスの夫婦は、
娘の失踪後別居します。
2人とも時の流れを感じさせる素晴らしい演技です。


もう1人の主役とも言える、
未成年者の性犯罪が専門のダンロップ刑事の
ロザリオ・ドーソンも活躍します。


ちょっと間違った正義感を発揮してしまう
コーンウォール刑事役スコット・スピードマン


ミカ役のケヴィン・デュランドの不気味さも上手いです。


デヴィッド・フィンチャー先生の『コズモポリス』
ケヴィン・デュランドが背が高い(198cm)ので、
手前のマチュー・アマルリックが子どもみたいでした。
『コズモポリス』ではケヴィン・デュランドは
衝撃的かつ大変な目に遭いましたが、
『白い沈黙』でも...


9歳の娘役キャスのペイトン・ケネディちゃん。
とても可愛らしいです。


美しく成長した
17歳のキャス役アレクシア・ファスト


ミカの会社の社長ヴィンス役
エゴヤン映画常連の
ブルース・グリーンウッドの言葉も謎のが残る。




キャスのフィギュアスケートのペア、
アルバートもずっとキャスを待っていて可愛い少年に成長。
Mark Gorodnitsky


『白い沈黙』は2014年のカンヌ映画祭コンペ部門出品作品でした。






ライアン・レイノルズがサイコキラーの
マルジャン・サトラピ監督
『ハッピーボイス・キラー』
も9月に観て面白かったのだけど、
まだ記事を書いていません。(;^_^A

売っ子のライアン・レイノルズ。
待機作もたくさんあります。



11月27日(金)日本公開の
『黄金のアデーレ 名画の帰還』
サイモン・カーティス監督ヘレン・ミレン主演

↓『黄金のアデーレ 名画の帰還』予告動画






死期が近い大金持ちの
ベン・キングズレーが
若い男(ライアン・レイノルズ)の身体に
自分の意識を移植するビジネスを利用する
ターセム・シン監督のSF映画
「Self/less」(原題:セルフ/レス)
共演マシュー・グッド。

↓「Self/less」トレーラー





主演のベン・メンデルソーンと
相棒のライアン・レイノルズが
一発逆転を狙うギャンブラーコンビの
「Mississippi Grind」(原題:ミシシッピ・グラインド)

↓「Mississippi Grind」トレーラー





『グリーン・ランタン』はコケちゃったから、
続編はないみたいだけど、
「Deadpool」(原題:デッドプール)
ティム・ミラー監督
は2016年2月12日に全米公開。

内容(ゴア表現)が過激ってことで、
レッド・バンドトレーラー(18禁)と
通常版があります。
レッド・バンドは暴力描写が
『キック・アス』『スーパー!』くらいかな?
エロの18禁じゃないみたいですよ。(笑)
(ちなみに私は『スーパー!』の方が好き)

↓「デッドプール」レッド・バンドトレーラー


↓「デッドプール」トレーラー通常版





「Criminal」(原題:クリミナル)
『THE ICEMAN 氷の処刑人』の
アリエル・ヴロメン監督のアクション・クライム映画
2016年4月15日イギリス、アメリカなどで公開。
主演:ケビン・コスナー
ゲイリー・オールドマン
トミー・リー・ジョーンズ共演。






ライアン・レイノルズは
スカーレット・ヨハンソンと離婚した後、
ブレイク・ライヴリーと結婚して
昨年12月に娘が生まれてパパに。
セクシー美女の
才能ある女優にモテていいですね。





アトム・エゴヤン監督の新作は、
今年9月のヴェネツィア国際映画祭
コンペ部門に出品された
「Remember」(原題:リメンバー)

主人公のゼヴ(クリストファー・プラマー)
は高齢で認知症もあるが、
アウシュビッツ生存者の仲間と、
手書きの手紙を頼りに、
かつて彼の家族の命を奪った、
今も身分を偽って生きている
アウシュビッツの監視人たちを探し
復讐を試みる。

共演はマーティン・ランドー、ディーン・ノリス
ブルーノ・ガンツ、ハインツ・リーフェン
ユルゲン・プロホノフといった
渋すぎる人たち。

↓「Remember」トレーラー



ヴェネチア映画祭で
ハインツ・リーフェン、アトム・エゴヤン監督
ブルーノ・ガンツ、ユルゲン・プロホノフ




今週観た映画は、
シネマヴェーラ渋谷の
「ロード・ムーヴィーの世界」で
『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』
アキ・カウリスマキ監督。
懐かしくて嬉しくて楽しくて2回見ちゃった!
私はやっぱり音楽映画は
上手くできた『ジャージー・ボーイズ』より、
こういうヘンなロック映画の方が好きだなァ。
と思った次第。f^_^;

『憂鬱な楽園』
侯孝賢監督。
こちらも気だるいロックな作品。
若い頃の高倉健さんがATG映画に
出たらこんなじゃない?
って雰囲気なんですョ。
リー・ピンビンのカメラが凄い。
音楽も斬新で今観ても格好イイ作品。
こんな侯孝賢映画もあります。


『ヒトラー暗殺、13分の誤算』
オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督は、
やはりドイツ映画では
手腕を充分発揮できるのか。
ヒトラー暗殺未遂事件を単独で行った
家具職人ゲオルク・エルザーが主人公の
ガチでストレートな歴史物。


『沖縄うりずんの雨 
(戦後70年、沖縄は問いかける)』

ジャン・ユンカーマン監督。
沖縄戦で生き残った元日本兵、
元アメリカ兵、
現地徴用された人たちの経験談。
日米双方の戦争経験者の貴重な話。
戦争時の性暴力の実態から
現代のアメリカ軍内の
性暴力の実態までが浮き彫りに。
本土の人間が知らな過ぎる沖縄の歴史、
基地問題の実態。
戦争に翻弄され続けた沖縄の近現代史。
本土の人間の無関心が
沖縄の人たちを傷つけています。
綿密に取材された長編ドキュメンタリーの力作。


『ベル&セバスチャン』
ニコラ・ヴァニエ監督は本物の冒険家でもあるため、
『狩人と犬、最後の旅』も迫力あったが、
本作も想像以上に雪のアルプス越えなど
冒険映画としてスリルがあった。
フランスで大ヒットしてもうすぐ続編封切も納得。
舞台も時代も原作から変えられたが、
上手い脚色。
これは自然を捉えた映像が素晴らしい
スクリーン鑑賞向けの映画。
子ども向けということでなく、
全年齢感動できる見応えある作品です。


『ベルファスト71』
北アイルランド紛争が激化した1971年に
ベルファストに派遣された新兵が
戦場のような危険地域に1人取り残され、
兵舎に戻ろうとするサバイバル。
これも予想以上にスリリングで、
リアリティーのある凄い作品だった。
これが長編映画デビュー作だなんて、
ヤン・ドマンジュ監督の手腕に唸る。

で、今回の記事の『白い沈黙』

観た映画の短評は「なう」とツィッターに投稿して、
月曜に「なう」のまとめがUPされるけど、
これってなかなか読んでもらえないですね。
だから、記事にちょこちょこ書くようになりました。
自分の過去記事観ると観た本数の
15%くらいしか書けてないくて
これじゃダメだな~(><;)
なんとかしたい!と思うのですが、
レビューだけの記事書くのは
自分でつまらない...(^_^;)
困ったもんだヽ(;´ω`)ノ


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前売り券もまだこれだけ未消化ヽ(;´Д`)ノ
ニキ展は美術展だけど。昔名古屋でも見ている。
ドキュメンタリー映画
『ニキ・ド・サンファル/美しい獣〈ひと〉』
も浜松時代に名古屋へ遠征して観た。










ライアン・レイノルズとワンコU。・ェ・。U