イチかバチか 感想 川島雄三監督の遺作。舞台が自分の故郷の蒲郡でした。伴淳三郎、ハナ肇、高島忠夫 | 映画時光 eigajikou

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『イチかバチか』
1963年製作 日本映画(東宝)
「没後50年映画監督川島雄三」
新文芸坐で5月に鑑賞



監督 :川島雄三
脚色 :菊島隆三
原作 :城山三郎
製作 :森田信 、 角田健一郎
撮影 :逢沢譲
美術 :育野重一
音楽 :池野成
録音 :増尾鼎
整音 :下永尚
照明 :小島正七
編集 :兼子玲子
衣裳 :坂尾幸
製作担当者 :眞木照夫
助監督 :清水勝弥
記録 :木村靖子
スチル :荒木五一
合成 :泉実

出演:
島千蔵   伴淳三郎
大田原泰平   ハナ肇
北野真一   高島忠夫
星崎由美子   団令子
星崎和子   福田公子
田沢トミエ   水野久美
芸者〆子   横山道代
松永   山茶花究
田代   二瓶正也
後藤   小川安三
安川   田武謙三
総務部長   村上冬樹
水島専務   安達国晴
お志保   塩沢とき
横山   千石規子
柳田   沢村いき雄
大田原の運転手   中山豊
島の運転手   坂本晴哉
政治家風の男   若宮忠三郎
地方の役人   堤康久
若い医者水野   宇野晃司
東山市市議会議長   松本染升
大東銀行支店長   石田茂樹
看護婦   古池みか
洗濯屋   古川緑九
芸者A   清水由記
芸者B   村松恵子
芸者C   芝木優子
屑屋   羽柴久
女アンマ   村上美重

「没後50年映画監督川島雄三」
新文芸坐で5月に鑑賞して、
2本立ての1本
『喜劇とんかつ一代』←クリック
は、書きましたが、こちらがまだでした。

南海製鋼のシブチン社長、
島千蔵が二百億の全財産をブチ込み、
世界一の大工場建設という大バクチに出た。
企画室長に迎え入れた北野真一は頼もしい好青年、
千蔵の秘書星崎由美子と意気投合した様子である。
早くも工場誘致に六県が名乗りをあげ、
なかでも東三市のハッタリ市長大田原は自ら乗込んで来、
ズバリ適した五十万坪の土地があると執拗に追っかけてくる。
北野が東三市視察に出かけたが、
五十万坪の土地はどこにもないし、
市会議員の松永は、工場誘致は市長の独り芝居だという。
大田原は千蔵を無理矢理東三市へ誘拐、
峠を切り開いてバイパスを作り
その土で海を埋めれば五十万坪が出来ると力説した。
千蔵は呆れると同時に大田原の熱意にうたれ、
その夜二人は飲みあかした。
その頃、由美子のアパートを訪れた北野は、
姉の和子が大田原の二号であることを知った。
大田原がいつも先手先手と出ていたのは
由美子がスパイしていたからだ。
しかし、東三市の市議会が大田原の追放をはかった時、
千蔵や北野、由美子は彼を応援し、
逆に松永ら悪徳議員を追放した。
市長室に山と積まれた二百億の札束、
千蔵一世一代の大バクチもこれからだ。
北野は由美子との再出発を誓い、
大田原は市長をやめて和子と結婚、
これからは鉄鋼界をバックに参議員に乗り出すという。
(MovieWalkerより)

伴淳三郎さんが南海製鋼の老社長役。
当時55歳なので老け役です。
工場を誘致しようとする東三市市長がハナ肇(当時33歳)。
高島忠夫さん(当時33歳)が、
工場移転までを担当する若き企画室長。

この中心人物3人ともが善人とも悪人とも言えない、
相当クセのある人物。
原作は城山三郎さんの小説です。
イチかバチか (角川文庫)/城山 三郎


読んでいませんが、内容紹介が、
「男の勝負は一生に一度か二度、どんとやることだけや」―南海製鋼社長・島千蔵は、新入社員の北野真一にいった。茶はぬるいのが経済的という徹底的合理主義者千蔵の一大計画、それは200億円の資金を予定する大工場の建設である。その工場を東三河市に誘致しようと画策する変り者市長太田原恭平。イチかバチかの大仕事をめぐる虚々実々の駆け引きをユーモラスに描く、傑作小説。」
と、ありますので原作もユーモアがあるようですね。

ハナさんが伴淳さんに
大きな地図を広げて見せるシーンで、
これ蒲郡じゃん!
と、思いました。
私の故郷の愛知県蒲郡市です。
ロケもされてました。
(私が生まれる前ですが...)
最後の集会のシーンは、
蒲郡市役所の屋上で撮られていました。
その建物は今の新しい市庁舎の後ろにまだあります。

ハナさんはじめ東三市の人たちが、
「のんほい、あんた、そうだら~」などと、
べたべたの三河弁を話しています。
三河弁は語調がキツイとよく言われるのですが、
なんだか聞いていて可愛らしかったのです。
こんなふうに聞こえてるならいいのになあ。
と思いましたが、
きっとこれは俳優さんたちが話しているからで、
現実はもっとキツく聞こえるのかもしれません。
三河弁話してる同志は普通に会話してるだけなのに、
よその人が聞くと
ケンカをしているように聞こえるみたいなんですよ...(゚_゚i)

ひとクセもふたクセもある人物たちの
駆け引きドラマの面白さの中で、
俯瞰撮影が効果的に使われています。
(なので、今の蒲郡との様子の違いも分かりました。)
特に最後の屋上での市長リコールの集会シーンでは、
大胆な構図でカメラがどんどん切り換わって、
とても斬新なカメラワークでした。
撮影は大変だったと思います。
このシーンには谷啓さんも登場しました。

この作品が公開される5日前に川島監督は45歳で急逝されました。
若い頃から筋萎縮性側索硬化症を患ってみえましたが、
出発は松竹、その後、
日活、東京映画、東宝、大映などで撮っています。
高島忠男さん演じる北野は、
最後に誘致が決まったところで、
自分の仕事はここまでだと辞表を出します。
一つの映画会社には収まり切らなかった、
川島監督自信の投影、
また、もしかしたらこれが最後になるかもしれないという、
気持ちも込められていたのかもしれません。


川島雄三監督関連の書籍はいろいろありますが、
私はこれを買いました。

川島雄三 乱調の美学/カワシマクラブ


川島雄三監督の聞き書きをされた白井佳夫さんが、
川島監督にはなかなか取材できなかったのに、
亡くなる年の1963年(昭和38年)になって、
急に取材ができて、
回顧の聞き書きができたのだそうです。




『かしこい狗は、吠えずに笑う』


400表



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