私の男 感想 二階堂ふみ濡れ場期待の軽い気持ちで見ると火傷するかも。浅野忠信も新境地。熊切会心作 | 映画時光 eigajikou

映画時光 eigajikou

世界の色々な国の映画を観るのがライフワーク。
がんサバイバー。
浜松シネマイーラの会報にイラスト&コラム連載中。
今は主にTwitterとFilmarksに投稿しています(eigajikou)

『私の男』
日本映画 
2014年製作
新宿ピカデリー
舞台挨拶付プレミア上映で鑑賞

6月14日ロードショー

浜松シネマイーラでも順次上映











↓予告動画


↓メイキング映像


監督 熊切和嘉
編集 堀善介
製作総指揮 永田芳弘
製作 藤岡修
    由里敬三
    分部至郎
    木村良輔
    宮本直人
    西村信次郎
    西ヶ谷寿一
原作 桜庭一樹
脚本 宇治田隆史
撮影 近藤龍人
美術 安宅紀史
音楽 ジム・オルーク

出演:
浅野忠信
二階堂ふみ
高良健吾
藤竜也
モロ師岡
河井青葉
山田望叶

三浦誠己
三浦貴大
広岡由里子
安藤玉恵
竹原ピストル
太賀
相楽樹
康すおん
吉本菜穂子
松山愛里
奥瀬繁
吉村実子
細谷隆広
高島恵美
高橋篤行
五十嵐陽子
諏訪陽子
佐藤友美
伊藤尚美
磯村カイ
川崎代気子
我孫子正好
松浦伸二
和田裕美
柳川英之
池田宜大
関寛之
ルビー
ダニエル・アギラル

40万部も売れてるベストセラー、
直木賞を受賞した桜庭一樹の原作。
読んでいる方も多いでしょう。
私は読んでいません。
映画観ても原作を読みたいとは思いませんでした。

熊切監督は、
「日本では小説は今でも挑戦的な作品が書かれているのに、
映画は挑戦的な作品がないから、
文学に負けない挑戦的な映画作品にする。」
という意気込みで撮った作品です。

とても有名な小説だし、
映画のあらすじも、
公式HPや、映画サイトなどで、
たくさん紹介されていますから、
ネタバレにならない程度に書いておきます。

原作はインモラル、タブーを描きながら、
最後の「決別」から始まり、
時系列を遡っていく構成。
完全なインモラル小説ではないからこそ、
直木賞も取れたのでしょう。

映画は時系列は逆ではなく、
時代の流れに沿って進みます。
淳悟と花が出会った
奥尻島の地震(北海道南西沖地震)と津波の被害の所から始まります。
そして、ラストも違い、
ここが監督の大きな「挑戦」でもある、
原作を越えたインモラル性を持った映画であることの、
大きな意味がある所です。

浅野忠信演じる腐野淳悟は、
家族を持つことに異様な執着がありますが、
その心理の背景については軽く触れられるだけです。
二階堂ふみちゃん演じる花は、
淳悟の実の子でもありますから、
近親相姦のタブーが描かれるのは原作と同じです。
原作では花はメガネっ子の
普通の目立たない少女という設定ですが、
映画ではふみちゃんは伊達メガネかけていたって、
やっぱりすごく可愛いですよ。
どう見ても萌えられちゃうタイプのメガネっ子ですよ(笑)



ふみちゃんは熊切監督とはこの映画のオファーがある前に、
会っていて、いつか監督の現場に参加したいと思っていたので、
このオファーはとても嬉しかったそうです。
浅野忠信は30代では克服しないといけなことなど、
自分の中で色々大変な時期だったけど、
40になったら演じてみたいと考えていた役に、
淳悟役はぴったりだったそうです。

浅野忠信はどこか現実離れしたキャラクターを、
飄々と演じるのが上手いし、
この世をリアルに生きていないような雰囲気が、
観ていてちょっと救いな感じ。
狂気を孕んだ人物を抑えた演技で表現し、
彼の新境地でしょう。

ふみちゃんは濡れ場を含めて、
大胆な演技と、
普通な女の子感の落差も上手く出しています。
フルヌードにはならないですが、
少女の中にある危険な色気、
妖しい母性感なども出しています。
氷点下10度という寒さにも慣れたそうですが、
流氷の海を泳いだり、
命懸けの体当たり演技も迫力です。
主演女優賞候補には必ず上がって来るでしょう。
将来、原田美枝子、桃井かおり、大竹しのぶのような、
存在感のある女優になれる資質は、
若い女優の中ではナンバー1じゃないでしょうか。
映画では肉感的に感じるふみちゃんですが、
実際はホントに細くてびっくりでした。
満島ひかりといいふみちゃんといい、
沖縄出身の女優は根性ありますね。

プレミア上映会でのトークの様子は、
TVでも大分流れたそうで、
面白い所が編集してあったのかな。

藤竜也さんが、
さすがの上手なトークで盛り上げていましたから。
「良いじじいの需要ばかりなので、
悪いじじいもやりたい」というのは本音でしょう。
若い人達との仕事はとても勉強になった。
まだまだ僕は伸びますからね、と語っていました。
映画では藤竜也さんが、
道徳的、良心的な人物の代表です。



高良健吾くんは4日間だけの参加だったそうだけど、
熊切監督の作品には前から出たかったので、
とても嬉しかったそうです。
現場で熊切監督は湯気が立っていて格好良かったって、
この発言も放映されたでしょうね。
高良君も凄く細かった。
夜中にカップめん2個食べちゃうことがあるなんて言ってたけど。

高良くん演じる尾崎美郎の役は、
原作とは変えてあるようです。
原作では尾崎は花の婚約者ですが、
映画では高良くんと三浦貴大くんが、
それぞれ違う人物として演じていています。
原作では尾崎は女癖も悪い男のようですが、
映画ではおぼっちゃんだけどまともな人物で
「救い」になってる。
インモラルで濃密なラブシーンや、
熊切監督得意な血しぶきどば~な
ヴァイオレンスシーン、
生理的にかなり苦手なリアルに見える汚い部屋など、
もう、そろそろお腹一杯ですわ~(^o^;)
って時に「普通の人間」として出て来て、
「普通」を自然に演じて好演です。



この作品熊切組常連俳優、
個性的な脇役俳優など、
大勢出てきます。
上記の三浦誠己さん以下のみなさんは、
それぞれ芸達者に支えていますが
みなさんほんのちょこっとの出演です。

最近の子役はみんな上手ですが、
花の子ども時代を演じた
山田望叶(やまだ もちか)ちゃんも上手かったですよ。
将来の花を感じさせる怖さも出していてさすがでした。



今、NHK朝ドラ『花子とアン』で、
吉高由里子(安東はな)の子ども時代を演じているんですね。







21日に公開の行定勲監督
『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』で主演の
芦田愛菜ちゃんや、
リメイク『おしん』の濱田ここねちゃんとか、
みんな上手いですね。
でも、顔も似てる!?
ちゃんと見分けがつくか自信ない。
3人とも2004年生まれだし。


芦田愛菜ちゃん




濱田ここねちゃん


河井青葉さんはしっかりフルヌードで、
濡れ場も熱演だし、
大人の女性としてふみちゃんと対決も。
河井青葉さんアメブロやってみえます。
インディー映画にも積極的に出てる女優さんです。
今年公開された『共に歩く』にも出演





モロ師岡さんは、
大変な目に遭いますよ((>д<))












前回の記事にも書きましたが、
脚本、カメラ、照明、美術、編集、録音、音楽などの
スタッフの仕事もそれぞれ素晴らしく、
熊切監督の約1年をかけたこの作品のレベルを、
高いものにしています。
流氷の場面で撮影助手の方が
カメラごと海に落ちたりもしたそうです。
大変な仕事だったことが画面からも伝わってきます。
ひとつ残念なのは、
北海道が舞台の時も、
言葉は標準語のところです。


役者もスタッフも素晴らしい仕事で、
ハイレベルな作品ではありますが、

ふみちゃんのセクシー演技目当てとか、
映画に自分との共感性を求める方とか、
軽い気持ちで観ると火傷するかもです。
簡単な感動なんて全く与えてはくれないし、
見た後良い気分になる映画では全然ないですから。
好き嫌いは分かれる作品だと思います。


監督は、
「理屈でなく感覚的に観る人を巻き込みたいと思って
作った」と言ってみえたので、
軽い気持ちで観る人も巻き込みたいでしょうから、
こんな解説不要ではありますが...


私は自分の感覚的な好き嫌いで、
映画を語ろうとは考えていませんが、
今回はあえて書いておきます。
私はこの映画は「好き」じゃないです。
インモラルへの挑戦は好きなんですよ。
『かしこい狗は、吠えずに笑う』を応援している
理由の一つがそうですから。
でも『私の男』のインモラルな世界への挑戦については、
この作品のテーマのインモラルさに対して
探究心がありませんので。
興味がある人には味わいのある作品となるのではないでしょうか。

一緒に観た娘も結構熊切作品観てきていますが、
「音楽はとても良かったけど、
それ以外は気持ち悪かった」と言いました。

熊切監督の挑戦は、
評論的には高く評価されることは間違いなさそうです。
普通の観客にどう受け止められ、
ヒットするのかどうかが、
映画の観られ方の現実を、
表してくるのではないでしょうか。



『かしこい狗は、吠えずに笑う』


東京での上映情報 
オーディトリウム渋谷で、
7月3日(木)4日(金)21:00~上映します
ビックリマーク
どちらかで主演のmimpi*β(ミンピ)のミニライブ予定。
渡部亮平監督日プロ大賞新人監督賞受賞記念クラッカー
まだ、ご覧になってみえない方はこの機会をお見逃しなく目
何回でも観たい方もぜひご覧くださいね
合格


400表


400裏


25歳衝撃の才能ビックリマーク
渡部亮平監督応援していますビックリマーク
ぜひ、お近くの映画館にリクエストして下さいビックリマーク




カチンコ読んで下さってありがとうございましたビックリマークランキングに参加してます映画にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへこれをクリックしてもらえたらうれしいです音譜