『MY HOUSE』 観る価値ありの日本映画  | 映画時光 eigajikou

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浜松シネマイーラの会報にイラスト&コラム連載中。
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残念なことに日本映画は観る価値のある作品が少ない状態が続いているけど、
『MY HOUSE』は観る価値ありです。
堤幸彦監督が、いつもの凝った映像処理や、過剰なギャグ、音楽の使用を封印して
モノクロでシンプルに制作した作品です。
舞台も堤監督の育った名古屋。
だけど、描かれている人々は、ホームレス(でも、本当の意味でのホームもハウスも持っている)と、きちんとしたハウス(建物)はあるけど安らげるホームはない家族や人々で、普遍性のある設定。
堤監督は、社会派に転向したわけではないけど、50代後半になって、そろそろ自分の棺桶に入れたい作品を撮りたいと思ったそう。
私は観ていてダルデンヌ兄弟の、『ロゼッタ』、『ある子供』を思い出しました。
観る側に簡単に感情移入させないで、思考を促す作品です。

観る前でも後でも良いので、PRESIDENT Onlineで、堤監督と三浦展(社会デザイン研究者)の対談『MY HOUSE』を語る。を読まれると作品をより楽しめると思います。

そして、この作品を観て考えると、モデルの鈴木さんや原作者の坂口恭平さんは、この作品でカテゴライズされている世界をもっと軽やかに超えたところで生きているということも解るのではないでしょうか。