私はこの映画が公開されることを知って、非常に不安でした。
過去の栄光にすがった二番煎じの作品というのは、ほとんどの場合失敗するイメージがあるからです。
CGで作られたマジンガーZの、ひび割れだらけのデザインも気に入りませんでした。
装甲が分割されていることの意味が感じられなかったからです。
ヨーロッパにおいてこの作品は昨年に先行上映され、大反響を受けたということを公式サイトでは伝えていました。
しかし、お世辞で言われているのだろうと取り合う気になりませんでした。
今思うと、「マジーンゴー!」とキラキラした表情で言っていた少年は演技でもなんでもなく、あれこそがこの映画の真実を伝えていたのです。
映画を見始めて最初の戦闘でいきなり度肝を抜かれてしまいました。
そしてそこから映画に強く引き込まれていくのを感じました。
難しいような話や映画限定のキャラクターの存在なども全く気になることもありません。
戦闘シーンでは、痛くなるほど手を握り締めて画面を見ていました。
そして泣きました。
なんとか涙をこらえて最後まで見て、エンディングでまた泣きました。
パンフレットを買おうとしたら売り切れでした。怒りました。
二番煎じな作品などでは全くなく、これは過去の栄光をさらに素晴らしいものにする、現在のアニメ技術を使ったマジンガーZの物語の続きです。
ひび割れたCGの外見も、ちゃんと意味がありました。
かつてのアニメの登場人物も余すことなく登場していて、非の打ち所は全くないと言えるでしょう。
製作に携わった全てのクリエイターに感謝を伝えたいと思った映画はこれが初めてです。