【映画】パラレル・マザーズ | おきらく映画ファンクラブ

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パラレル・マザーズ

(2021・スペイン仏・123分)

監督:ペドロ・アルモドバル

主演:ペネロペ・クルス

第78回ベネチア国際映画祭 女優賞受賞

第94回米アカデミー賞

主演女優賞ノミネート

*大阪・シネリーブル梅田で鑑賞

 

同じ日に出産した2人の母親の物語

 

アルモドバルの世界ですね。

スペイン版赤ちゃん取り違えから

起こるヒューマンドラマです。

是枝監督の「そして父になる」と

設定は似ていますが、そこには両親がいて

家族として積み重ねた時間がありました。

今ではDNA鑑定が事件だけでなく

親子関係の確認に多用され

日本でも珍しい話ではなくなりました。

 

一方、主題のテーマに並行する形で

スペイン内戦で殺され合同埋葬された

土地を掘り起こし遺骨を家族に

返還する活動も描かれます。

2つの話がアルモドバルの魔法で

見事にリンクします。

 

アルモドバル作品の特徴である

強烈な母性への憧れは健在。

そして今回は戦争で理不尽に

引き裂かれた家族と

父親の不在も描いています。

若い世代が祖父母の年月を経ても

死後は同じ墓に入りたいという

願いをくみ遺骨採掘の活動を

する姿は胸を打ちますね。

 

沖縄ではいまだ遺骨収集を

している方がいますが

遠く離れたヨーロッパでも

そういう活動があるのは初耳でした。

 

アルモドバル映画のミューズ。

ペネロペ・クルスが素敵です。

大人の女性としての貫禄と美しさを備え

この映画の中でも一層輝いています。

彼女の凛とした姿と迷い悩む姿が

とてもナチュラルで共感できました。

 

スペインのキャリアウーマンの暮らしや

ベビーシッター事情なども新鮮でした。

ジャニス(ペネロペ・クルス)の

終盤の決意や覚悟は安易に見えますか?

それは彼女自身やパートナーそして

若きママ友アナを救う術だったと

私は思います。

 

ラストシーンの女たちの立ち姿の

力強く美しいこと。

カッコ良かったですね。

スッキリしました。