「アベンジャーズ」のアイアンマンについて【ネタバレ有り】 | 映画の夢手箱

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 映画の鑑賞記録です。基本的にネタバレ有り。

 「アベンジャーズ」の予告篇で、

 

「パワードスーツを脱いだら、君に何が残る!?」

 

 と社長(アイアンマン)に詰め寄るキャップ(キャプテン・アメリカ)に、社長がちょっと肩をすくめて、

 

「天才と、金持ちと、プレイボーイってところかな!」

 

 などとしれっと答えているシーンがあります。

 

 この部分を見て、ものすごく「映画見たい心」が燃え立ったのも事実です!

 

 「ぬけぬけと」とか、「しれっとして」とか、「いけしゃあしゃあと」といった言葉は社長のためにあるのかと思うくらい!

 

 この小面憎さを愛さずにはいられないでしょう。:)

 

 

 実際に映画を見てみると、社長の毒舌は猛威を振るっており、上記の予告編のシーンでは、キャップに対して、

 

「で、君は実験台だろ。」

 

 などとかましているし、ソーに対しては、兄弟の話し合いに思いっきり妨害を入れた上で、

 

「シェイクスピアの野外劇でもしていたの?」

 

 だし、ハルクに至っては微弱な電気ショックを与えてイタズラするなど、やんちゃっぷりに周囲も手の付けようがない感じ。

 

 最も鼻持ちならなかった(笑)シーンは、彼がエネルギー理論に関して一席ぶつときに、

 

「いつから君は専門家になったんだ?」

 

 との質問が出ると、

 

「昨夜から。セルヴィグ教授の本や論文が置いてあったから読んだ。」

 

 と答え、それから一拍置いて、

 

「みんな読んでないの!?(読んだのは僕だけか!?)」

 

 と、心底びっくりしたように声を上げます。

 

 フツーの人間には、読んでもわかるわけねーっつぅの!

 

 もうこのときの鼻持ちならないことって言ったら、いつか体育館裏に呼び出してボコボコにしてやりたい勢いですよね。

 

 スーツを身に着けていると、神(ソー)でも手を焼くくらいなので簡単にはボコボコにできないわけですが…。

 

 

 と、このようにチームをまとめるには絶望的な人望レベルの社長ですが、頭のいいもの同士で学術的に話が合うハルクことブルース・バナーと、ラボで過ごす時間が多く、会話のなかにはハルクの秘密に関する重要な部分も含まれます。

 

「資料を読んだが、あれほど大量のガンマ線を浴びたら普通は死んでる。」

 

 という社長に、ブルースが、

 

「彼が僕を救ってくれたということか? しかし…、何から?」

 

 と問いかけ、社長は、

 

「それを探す。」

 

 というように答えます。

 

 アベンジャーズのなかで、ハルクの秘密に深くアプローチする可能性を示すのは天才を誇る社長だけだし、社長には、電気ショックを与える悪ふざけをするときですら、ブルースに対する親愛の情と共感を覚えます。

 

 社長が「食べる?」と勧めるブルーベリーを、素直にもらって食べるブルースと、断って食べないキャップというシーンもありますが、ここも少し象徴的なシーンに思えます。

 

 社長とブルースは、頭が切れる者同士、いちはやくシールドの胡散臭さ(隠していることや嘘がある)に気づきますが、キャップは骨の髄からソルジャーなので、たとえシールドに欺瞞があるとわかったとしても、自分のできる範囲で任務を遂行することしかないわけです。

 

 当然のことながら、立場が違いすぎるキャップと社長はことあるごとに対立し、舌戦に至ることも多いわけですが、印象深いのは、

 

「俺たちは兵士だ(だからシールドの指令に従うのが正しい)。」

 

 というキャップに、社長は珍しく心の底から真剣な顔で、怒りすらはらんで、

 

「俺は兵士じゃない。」

 

 と、反発します。

 

 残念ながらわたしはまだ「アイアンマン」及び「アイアンマン2」という、最も人気の高かった先行作をまだ鑑賞していないのですが、パンフレットの説明を熟読して社長の個人的歴史(なぜアイアンマンになったか)を読むだけでも、ここは絶対に否定したい、社長の大切な部分なのだとわかります。

 

 社長は、もともと父から続く兵器産業で財を成した人です(第二次世界大戦中、当時、軍に所属していたキャップのスーツや盾を開発したのは、社長の父親です)。

 

 しかしテロリストの襲撃を受けて死ぬ目に遭い(もはや一度死んだも同然と言うべきかも知れない)、そこから九死に一生を得て、自分の生み出した兵器がどのように使われているかを知り、兵器産業から撤退してアイアンマンとして悪と戦う決心をするわけです(ちゃっかりエネルギー産業に転向してやはり財を築いているわけですが…)。

 

 兵士、と言われることに強い反発を持つのも道理と頷けます。

 

 一見、チャラ男ですが、固い信念を抱いている点では、キャップと変わらないのです。

 

「君は仲間のために鉄条網に身を投げ出せるのか?」

 

 というキャップの問いに、社長は、

 

「俺なら鉄条網を切る。」

 

 と答えますが、ラストのミサイルを異次元に捨てに行くという捨て身のシーンは、この鉄条網の問いに対する社長の答えのようにも見えます。

 

 戻って来られるという保障はない。

 

 それでも、社長はそれをしたのです。

 

 あの場合、それができるのが社長だけだったから。

 

 

 そういえば、それ以前にも、一度、身体を張っていましたね。

 

 シールドの空中要塞のエンジン部分に入っちゃうシーン。

 

 ガッ、ゴッ、ギッ、ゴン!

 

 とか音がして、か細い声で

 

「タスケテ。」

 

 って!

 

 キャップが赤いレバーを必ず下げてくれると信じていなければ、あんなまねできないですよね。思い出しても爆笑シーンなのですが…。LoL

 

 

 ところで、社長を演じるロバート・ダウニー・Jr は、父親が映画監督で5歳のころから映画に出演したというサラブレッドですが、父親から与えられたマリファナを8歳当時で常用していたなど、薬物の問題がつきまとい、拘置所から映画の撮影所に通っていた時期もあるほど。


 演技派として知られていた一方で、私生活ではこの薬物問題に苦しみ続けた彼ですが、2003年に「きっぱりと止める時がきた」と直感し、所持していた麻薬を全て海に投げ捨て、それ以後ドラッグには手を出していないとのこと。

 

 復帰後の彼の活躍を見れば、このときの直感が神の啓示に近いものであったことが窺えますね。


 実のところ、私がロバート・ダウニー・Jrに注目したのは、劇場で「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(2008年公開)を見たときなのですが、このとき、インタビューに応えて、彼は、


「ハリウッドのバカ映画やヒーロー役が楽しくて、メソッドや演技派(と呼ばれること)にはもう飽きた。」


 と答えています。

 

 本当に、「アベンジャーズ」を見ても、全身全霊で撮影を、映画を、お話を楽しんでいることがよく伝わってきます。

 

 存在感たっぷり、ユーモアたっぷりの、最高の役者さんの1人ですね。

 

 「アベンジャーズ」では、社長の顔のアップも多いので、あの睫毛ビシバシの濃い顔が存分に鑑賞できます。LOL

 
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