LEGO®ムービー (3D版) | 愛すべき映画たちのメソッド☆

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映画感想家・心理カウンセラー・芸術家のNatsukiです☆

『映画にどんなに素晴らしいメッセージが含まれていようと
「娯楽性」がなければ作品としては失敗だ』/レオナルド・ディカプリオ



「他人は気にするな。自分の力を信じて動きなさい。」



レゴ(LEGO)は、デンマークの玩具会社&プラスチック製の組み立てブロック玩具の名称で、「よく遊べ」を意味するデンマーク語「Leg Godt」からきている造語 。

ちなみに「LEGO」はラテン語では「組み立てる」の意味がある。

レゴブロックは、毒性が無く、変色・変形が少なく、熱、酸、塩、その他の薬品に強いという特性がある材質「ABS樹脂」で出来ている。

1934年、レゴブロックが世に出て以来、数千ものセット商品が販売されて来た。

その題材は宇宙、ロボット、海賊、中世の城、恐竜、街、郊外、西部開拓時代、北極調査隊、船艇、レーシングカー、鉄道、スター・ウォーズ、ハリー・ポッター、スパイダーマン、バットマン、インディ・ジョーンズ、トイ・ストーリー、パイレーツ・オブ・カリビアン・・・など多岐に亘る。

レゴブロックの平均生産量は、一年間におよそ200億個、一時間におよそ230万個もあり、世界最高レベルの金型で成形されたレゴブロックは人間が一つ一つ慎重に検査し、色や形に目立ったばらつきが無いように確認している。

さらに、使い古した金型は他社の手に渡らないように建物の基礎に入れられる。

特殊な金型により成形処理は非常に精密で不良品が少ないので、標準規格に適合しない数は、なんと《100万個中たった18個だけ》だそうだ。

世界トップクラスの高品質への拘りのおかげで、30年前に製造された部品とでも現在の部品はしっかり結合させることが可能になっている。

このペースだと「地球」がレゴブロックで埋め尽くされる日もそう遠くはないだろう。

このレゴブロックの歴史を踏まえて本作を鑑賞すれば、より感情移入でき、ラストでの感動も増すだろう。

本作は、そんな「高品質」のレゴブロックで構築された無限に広がるカラフルな世界を舞台に、ひょんなことから世界を救う羽目になってしまった主人公のドタバタぶりを描くアニメ作品。

本作は完全にレゴブロックのみで構成されている世界なので、驚くことに煙も水も全てがレゴブロックで表現されていて、なんと15,080,330個ものブロックが使われている。

しかも、ストップモーションでレゴを動かして撮影しているように見えて、実は全編超リアルなCGアニメーションで作られている。

そして、エンドクレジットだけは本物のレゴブロックをコマ撮りした素晴らしい映像がサプライズで披露される。

監督は、ギャグが冴えてる傑作CGアニメ『くもりときどきミートボール』や『21ジャンプストリート』のフィル・ロード&クリストファー・ミラー。



「人違いだよ。僕に世界なんか救えない・・・。」



本作は世界の批評家や映画好きから絶賛され、映画監督のエドガー・ライトが「2014年トップ10映画」の1本に選出し、映画監督のジェームズ・ガンが「2014年のお気に入りの映画12本」の1本に選び、米Facebookが発表した「2014年にFacebook上で話題になった映画トップ10」で第5位にランクイン、英ガーディアン紙が選ぶ「2014年映画ベスト10」の第9位を獲得した。

本作は日本語吹替版も素晴らしく、森川智之、沢城みゆき、山寺宏一、矢島晶子、羽佐間道夫、玄田哲章、岩崎ひろし、間宮康弘という日本が誇る8人の声優陣で、150以上登場するキャラクターたちの全てを吹き替えるという企画にも挑戦している。

本作の主人公は、『レゴ・CITY』及び『街シリーズ』で組まれた世界「ブロック・シティ」で建設作業員として平穏に暮らし、何から何まで「マニュアル(レゴに付属している組み立て説明書風)」通りの暮らしを送っていて、マニュアルが無いとパニックを起こすくらいの臆病者で「マニュアル君」のエメット。

どこにでもいる普通のデザイン、普通のパーツの男エメットは、あるキッカケでレゴの世界を救う「選ばれし者」と勘違いされ、表向きは「おしごと社長」として街の大企業の社長を務めているが、ブロック・シティの全てを陰で牛耳る邪悪なビジネスマン「おしごと大王」に立ち向かう壮大な戦いに巻き込まれる事になる。

作中のレゴは実際に売られている物で構成され、『レゴ・ウェスタン』で組まれた西部開拓時代を再現した町や、『レゴ・キャッスル』『レゴ・お城シリーズ』または『ロード・オブ・ザ・リング』で組まれた世界「中つ国」など、レゴで作られた様々な世界を冒険する。

その中で『レゴ スーパー・ヒーローズ』『レゴ 海賊シリーズ』『レゴ 宇宙シリーズ』・・・などの数多くの有名なキャラクター達が活躍する。

本作のテーマは「親子共通」の素晴らしいもので、子供の《発想・想像・表現力》の尊さ、それを最大限に引き出してあげれる鍵は「親」が握っている、というもの。

それは、子供も大人も想像力を働かせて好きなように組み立て、思いのままに脳内のイメージを表現できる「レゴブロック」の持つ《自由さ》《楽しさ》にも通じている。

子供の為の映画でありながら、子を持つ親の為の映画でもある。

これらのテーマを完璧にバランス良く両立させている奇跡のストーリー展開は、子供の「教科書」と、親の「育児書」にそれぞれ載せれるレベルにある。

無限に広がるイマジネーション全開で壮大な冒険の後に訪れる「着地点」の意外性と素晴らしさには、本作の主題歌のタイトルと同じく『すべては最高!!』と泣きながら、そして笑いながら歌いたくなる。

子供の持つ《無限の想像力》に「組み立てマニュアル」なんかはいらない。

誰もが世界でたった一つの「アイデア」を持った、世界でたった一人の「クリエイター」という名の《選ばれし者》だから。



「この街が悪い奴に乗っ取られそうなの。あなた伝説のヒーローなんでしょ。一緒に戦って。」