ゼロ・グラビティ (IMAX-3D版) | 愛すべき映画たちのメソッド☆

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映画感想家・心理カウンセラー・芸術家のNatsukiです☆

『映画にどんなに素晴らしいメッセージが含まれていようと
「娯楽性」がなければ作品としては失敗だ』/レオナルド・ディカプリオ



「宇宙では、生命は存続できない。」

「3D映画の新時代」を感じさせる、3Dの為に生まれた、3Dならではの映像体験。

その「目前への飛び出し」と「無限の奥行き」は、ジェームズ・キャメロンでさえも認めた様に軽く『アバター』のインパクトを超えていて、緻密に計算された立体設計をリアルに具体化した数百名のスタッフの努力の結晶である。

宇宙服という究極の閉所、宇宙という究極の息苦しさ、不自由さ、本来「人間」が行くべきではなかった「場所」自体が足かせとなり人間の精神面の崩壊も含めて「空間」が計り知れない恐怖を生み出し容赦なく襲いかかる。

とても映画的なエンターテインメントの「無重力アトラクション」に何度も振り落とされそうになる91分。

これは、文字や言葉では決して伝える事の出来ない「究極の映像作品」であり娯楽映画の革命だろう。

『トゥモロー・ワールド』で世界中を驚かせたアルフォンソ・キュアロン監督の特徴である「ワンカット超長回し撮影」が本作では限界まで推し進められ、まるで「91分の長回し」かと錯覚するくらいに映像が途切れない感覚。

しかもカメラは「無重力」の宇宙空間を縦横無尽に飛び回るどころか「第三者の視点」から「主観視点」にリアルタイムで、しかも「シームレス」で移行したりもする。

これほど自由なカメラワークの作品を観るのは長い映画の歴史の中でも初めての体験で、オープニングからラストまで全く心拍数が下がらない。

主人公が「胎児」のようなシルエットで浮かぶ場面は映画史に残るであろう美しさであり、同時に「生命誕生」のメタファーでもあり、本作の「再生」というテーマを映像だけで完璧に表現している。

この様な歴史的傑作が「ほぼ二人」だけのキャストという点も驚きだし、予想もしなかったクライマックスの盛り上がりには意表を突かれて涙した。

まさか「絶叫アトラクション」のゴール目前に心を鷲掴みにされる感動が待っているとは思ってもいなかった。

「希望を捨てるな」という力強いメッセージが溢れる数々のエピソードが今も脳裏から離れない。

母と娘の間にある「絆」という名の「重力=グラビティ」は決して「ゼロ」ではなかった。

「あんなに探していた赤い靴は、ベッドの下にあったって伝えて。」



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