タイガー&ドラゴン | 愛すべき映画たちのメソッド☆

愛すべき映画たちのメソッド☆

映画感想家・心理カウンセラー・芸術家のNatsukiです☆

『映画にどんなに素晴らしいメッセージが含まれていようと
「娯楽性」がなければ作品としては失敗だ』/レオナルド・ディカプリオ



「裏原ってすごいセンスの良いお店ばっかりだから、逆にこーいうどっちに転んでもダサいぞっていう、明日も明後日もダサイぞっていう、時代に流されない感じって逆に貴重だと思う。私とかダサいっていう感覚つい忘れがちだから、逆にこれ見て思い出すね。着ないけど。」

「誰もが知っている話」をいかに噺家の個性を織り交ぜて、面白可笑しくアレンジし、観客をどれだけ笑わせるか、という落語の真髄をベースにしたストーリー展開にグっとくる。

人から聞いた面白い話を、いかに面白く第三者へ伝えるか、という場面は普段の生活の中にも多々あって、それが上手い人は本当に上手い。

それを常日頃から意識しているのが、プロの噺家やお笑い芸人なのだろう。

タイトルの「タイガー&ドラゴン」 は、オープニングテーマとして使われているクレイジーケンバンドの楽曲に由来していて、2人の主人公、 長瀬智也=「虎児(小虎)」と、岡田准一=「竜二(小竜)」の名前にも掛かっている。

本作は、古典落語の演目をベースにした「一話完結」の形式で「落語の世界」の厳しさを見せながら、落語家一門、ヤクザ一家、一般家庭など、悲喜交々の人間模様を通して「家族」や「人」との繋がり、そして「人情・師弟愛・家族愛」の素晴らしさを、笑いを交え、時にシリアスに、ちょっとシニカルに、良い意味であえて「ふざけて」描いている。

「うちの師匠はなぁ、人情噺が出来ねぇんじゃねぇんだよ。やんねぇんだよ。何でだか分かるか?あんたみてぇなふん反返ってる野郎がいるからだよ。泣ける噺の方が笑える噺より上だって威張ってる野郎がいるからだよ。」

三枚の起請文(誓約書)を軸に、「一人の女」に翻弄される「三人の男」を描いた、古典落語の演目の一つである「三枚起請」を軸にした2時間スペシャル(実質の第一話目)から起承転結や役者が素晴らしい。

古典落語の世界を現代社会にダブらせる巧さは拍手もので、このまま映画館で上映できるレベルかもしれない。

メインから脇に至るまで、それぞれの役者が立っていて素晴らしいのはもちろん、現実世界のドタバタ喜劇がそのまま「古典落語」にリンクしていくスタイルを築き上げた「宮藤官九郎」の脚本が特に秀逸で、このクオリティで連続ドラマを書き上げた点も含め、彼の代表作として永遠に記憶されるだろうし、いつか「古典」として歴史に残り、語り継がれるだろう。


「ウゼェんだよ、やりてえと思ってる事、他人からやれって言われんの、すげえウゼェんだよ。」



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