ダイ・ハード/ラスト・デイ | 愛すべき映画たちのメソッド☆

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映画感想家・心理カウンセラー・芸術家のNatsukiです☆

『映画にどんなに素晴らしいメッセージが含まれていようと
「娯楽性」がなければ作品としては失敗だ』/レオナルド・ディカプリオ



「ニュージャージー生まれの007か?」

脚本が映画の教科書に載っても良いくらいの完成度だった『ダイ・ハード』は、その後のアクション映画の歴史を完全に変えた。

シリーズ5作目の本作は、全編アクションの「これぞエンターテインメント」という、サービス精神に溢れた快作。

100台以上の車を破壊しまくる怒涛のカーチェイスを始め、「嫌な予感」を勘で察知するマクレーンの臭覚など、胸騒ぎのする「雰囲気」がいかにも『ダイ・ハード』らしくてゾクゾクする。

原題の「A Good Day to Die Hard」は「死ぬにはいい日だ(It's a good day to die)」のもじり。

3作目から続く「バディムービー」のスタイルは今作も健在で、今までは「戦闘経験の無い一般人」とのコンビばかりだったが、今作は二人の「マクレーン」が反発しながらも協力し合いパワフルにテロリストをなぎ倒すという新機軸。

1作目が偉大過ぎる為に、2作目以降は必ず「1作目へのオマージュ」のネタを軽く入れるのが恒例だが、今作はオープニングからラストまで《ダイ・ハード愛》に満ちたネタで溢れている。

何度も観てきたファンだけに判る「シリーズ全作」のパロディがギッシリ詰まっていて、どれくらい気付いたかでマニア度が判る。

逮捕された息子を助けに「休暇も兼ねて」ロシアまで来た時、運悪くテロリストの襲撃に遭遇し、息子を助ける為に「しょうがなく参戦」する展開は、ちゃんと「巻き込まれ型ヒーロー」になっていてシリーズのお約束通り。

他にも・・・オープニングでさり気なく流れる「第九」、激しいカーチェイス中の携帯電話、フランク・シナトラ、タクシーがらみの笑い、絶体絶命の状況で「大笑い」しながら敵の意表を突く、ガラスの天井を銃で破壊、ヘリコプターとの対決、ガラスを突き破ってビルに入る、車の屋根に悪者が落下、悪役が「カメラ目線で」スローモーション落下、ビルからの大ジャンプ、白いシャツで狭い空間をほふく前進、被害者のフリをして演技する悪者、政治犯と見せかけて実は現金目当てのテロリスト、「なんて休暇だ」などの愚痴とボヤキ、恒例の名セリフ「Yippee-ki-yay, motherfucker」・・・と、特に1作目の「再現」の連発には何度もニヤリとさせられる。

1作目の悪役のセリフ「本当に我々に勝てるとでも思っているのか、ミスター・カウボーイ」から判る様に、『ダイ・ハード』には《西部劇》のスピリットがベースにある。

古き良きクラシック・ムービーの保安官と悪者の対決が現代に再現されている。

シリーズを通してシンプルで熱い男の孤立無援の戦いを描いている。

勧善懲悪の娯楽映画に少々の「ご都合主義」や「小さな嘘」は必要不可欠で、観客を驚かせる「やり過ぎ感」こそ拍手で楽しむもの。

シリーズ作品ならではの「エスカレート」っぷりと「セルフパロディ」の数々を心から楽しめる作品は意外と多くはない。

そして、《善》が《悪》を倒す瞬間こそが「エンターテインメント」に許されたマジックであり、映画の醍醐味なのだ。

「子供に尽くすのが親だ。」




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