「6発の銃声、5人の死体。隠された秘密。」
40の言語に翻訳され、96か国で出版、映画化が決定した時には「誰がリーチャーを演じるのか」世界中で論争を巻き起こした本作は、リー・チャイルドの全米ベストセラー小説「ジャック・リーチャーシリーズ」9作目の『アウトロー』(原題:One Shot)の映画化。
昨今主流の「007」や「ボーンシリーズ」の様な派手な演出とCGを極力抑えたクラシカルなクライムサスペンスで、静かなるトム・クルーズの存在感が際立っている。
軽いユーモアとサスペンスと謎解きのバランスも良く、スタント無しで危険なアクションに挑むトム・クルーズの「映画」に対する情熱とアグレッシブな姿勢は今作も健在。
事件の発端となる「狙撃」の場面を違う角度から何度か見せる展開も映画的に洗練されているし、「犯行→捜査→逮捕」の流れをセリフ一切なしで見せる冒頭は特に演出のセンスが光る。
ラブシーンに発展しそうでしない焦らし方や、狙撃手にまつわる「プロフェッショナル」な会話や仕草を所々で垣間見せるところも巧い。
アウトロー=無法者に通じる日本の「浪人」の逸話や神話に、とても興味を抱いているという原作者のリー・チャイルド氏は、映画にも警官役でカメオ出演している。
これは、目の肥えた大人だけがじっくり味わえる「熟成されたワイン」の様に上質なハードボイルド作品。
「彼の名前はジャック・リーチャー。世界で最も危険な流れ者。」
Android携帯からの投稿