「自分探しか?」
今作の元になった『インファナル・アフェア』公開当時、リメイク権をブラッド・ピットが獲得し大ニュースになり、ブラピ主演で話が進んでいたが年齢の問題でディカプリオ主演にチェンジした。
監督はアカデミー賞では無冠の帝王だったマーティン・スコセッシ。
スコセッシは歴史に残る傑作『グッドフェローズ』で何故アカデミー賞を受賞できなかったのか、ファンの間では今も議論されている。
しかし、ついに今作で作品賞と監督賞を含む4部門を受賞した。
とにかく全体的にカッコいい場面が多く、とても当時66歳の監督が撮ったとは思えないほど現代的でスタイリッシュ。
特に2人の主人公が対照的な人生を歩み始める時に出るタイトルと音楽と、そのタイミングが鳥肌ものの素晴らしさ。
少年がギャングのボスに悪の道へと引き込まれ始める冒頭も『グッドフェローズ』と全く同じ構成で、スコセッシ流ギャング映画の雰囲気が漂いゾクゾクさせられる。
そして本作は、放送禁止用語の発せられる回数が『パルプフィクション』や『スカーフェイス』に匹敵するとも言われている。
巧い役者だらけの本作の中でも、追い詰められた時の泣きの演技や怒りの表現がディカプリオはずば抜けて巧く《若さゆえの心の弱さ》の表現にも鬼気迫るものがある。
クライマックスのどんでん返しとバイオレンスの連続は、オリジナル版を知っていても度肝を抜かれるくらいショッキング。
突然に訪れる《死》が良い意味でとてもスコセッシ的であり、とてつもなくリアル。
スコセッシはインタビューでこう明かしている・・・「TVゲーム感覚で血も出ずにあっさりと人が死ぬ映画が多過ぎるから、徹底的にリアルに表現している」と。
「男は、死ぬまで正体を明かせない」
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