「ねえ、これが本当の復讐であり、あなたの更生の第一歩だと思いませんか?」
湊かなえのベストセラー小説を、下妻~嫌われ松子~パコ~の中島哲也監督が映画化。
過去の監督作品とは全く雰囲気が変わり、ダークで陰湿で嫌悪感を感じる人も多いだろうが、オープニングからクライマックスまで完璧に釘付けにさせるパワーがある。
超現代的な《病める日本の家庭》と《不安定な十代》を正面から切り裂いたストーリー展開と、裏腹なPOPさとのギャップと合わせ技に、とにかく驚かされる。
人間の恐ろしさや醜さ、集団の強さや一人の脆さ、何が《罪》で、誰が《罰》を下せるのか。
ある日、胸が張り裂けそうになる程の悲劇に直面した主人公は、どのようなプランで心のバランスをとるのだろうか。
誰が正義で、誰が悪なのか。
それすらも判らなくなるくらいに、世の中は複雑になってしまった。
今作はそんな《社会》の表と裏を我々に赤裸々に見せつける。
『ファイトクラブ』を観た時の《眩暈》や、『エレファント』の《やるせなさ》が同時に蘇り、「どっかーん」で締めくくられる映像と音響のショックは強烈なインパクトで、原作を軽く超えてしまった《映画ならではの》奇跡的瞬間。
炎の中をスローモーションで表現する場面は、壮大な恐ろしさのカタルシスに満ちていて、まるで天国と地獄を同時に見せ付けられた感覚。
あの破壊力とインパクトで、エンドロールまで放心状態のまま放置させられる。
そして、それ以上に強烈な印象を残す、ただならぬ狂気の名演、松たか子。
「な~んてね」
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