ポテチ | 愛すべき映画たちのメソッド☆

愛すべき映画たちのメソッド☆

映画感想家・心理カウンセラー・芸術家のNatsukiです☆

『映画にどんなに素晴らしいメッセージが含まれていようと
「娯楽性」がなければ作品としては失敗だ』/レオナルド・ディカプリオ




「僕、すごいことに気付いちゃったんです」

ニュートンが落下するリンゴを目撃してから300年。同じく《万有引力の法則》に気付いた空き巣の青年は、またしても新たな法則と真実を発見する。

斉藤和義の音楽、伊坂幸太郎の原作、役者の濱田岳と大森南朋が再結集。

『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』『ゴールデンスランバー』といった伊坂作品を演出してきた中村義洋監督は東日本大震災を受け、撮影でお世話になった仙台へ恩返しをしたいという思いで本作を制作することを決意した。

監督はヒッチコックの様に役者として出演もしている。

大森南朋が演じる男は『ラッシュライフ』『重力ピエロ』『サクリファイス』とリンクしている。

伊坂幸太郎作品は鑑賞後にタイトルの意味がジワジワ来るパターンが多い。

今作のポテチというタイトルも実は深い。そして主人公の母への親孝行の仕方が実に《変化球》で切ない。

彼の言動を思い出すと本当に泣けてくるし、大なり小なりのコンプレックスを持っている誰もが勇気づけられる。

相手役の木村文乃の熱い好演と、エンドロール中のダイハード的《トラウマ克服》の伏線回収も拍手もの。

68分の中編でも伊坂ワールドを存分に堪能でき、本作にピッタリの斉藤和義の主題歌『今夜、リンゴの木の下で』と合わせてずっと忘れられない物語。

地上で物体が地球に引き寄せられるだけではなく、この宇宙においてはどこでも全ての物体は互いに引き寄せ合っているという万有引力の法則。

この広い世界の中の小さな街で引き寄せられた二つの小さな絆は、300年前のリンゴと地球の様に巡り逢い、大きな奇跡を生み出す。

「野球ヒーローだったんじゃないのかよ!!」


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