7月21日となった。もう選挙運動は一切できない。「投票に行きましょう」とは言えるが、特定の政党や団体、個人に投票しましょうとは言えない。
だが、現状分析や政治の問題について書くことはこの限りではない。
この選挙戦において戦術家・山本太郎は今まで誰もやったことのない戦い方をしてきた。
戦略家としての彼も凄いが、戦術家としても歴史に名を残す名将となるかもしれない。
まず、山本太郎参議院議員一人で旗揚げした「れいわ新選組」であったが、彼は前回の東京選挙区ではなく、全国比例区からの出馬を選んだ。
しかも特定枠という、得票数に関わらず優先的に当選させることのできる自民党のお家事情で作られた制度を逆利用し、ALS患者で全身が動かせず、直接しゃべることもできない「ふなごやすひこ」さんを特定枠の1位に、全身麻痺の重度身障者、「木村英子」さんを特定枠の2位にした。
山本太郎はその次にしか当選することができず、前回東京選挙区で66万票で当選した彼が当選するには300〜350万票が必要となる。まさに背水の陣。
事前の予測ではうまくいって1議席だろうとの見方が大半だった。
だが、他の政党の人たちも、マスコミも、選挙の専門家も、表面的なものの見方しかしていなかった。
彼は国会でタブーなしの全力の仕事をし続けてきた。それを見てきた我々のような人の思いを、それらの人たちは知らない。
そしてまた、彼は常に現場に行って人の話を傾聴し、常に真摯になんとかして困っている人、苦しんでいる人を助けようとしてきた。その当事者の人たちの心を彼らは全く知らない。
山本太郎が自身の落選の可能性があるのに頑張っている。その状況はそういった彼を強く応援してきた人たち、または彼の演説に心揺り動かされた人々の心に火をつけた。「何が何でも太郎さんを落とすわけにはいかない!」
この思いをマスコミや他の政党の人たちは全く理解していない。
組織によって指示系統で動かされたわけでは全くない。一人一人が個別で全力で選挙運動を始めたのだ。そう、これこそSTAND ALONE COMPLEXである。
そのうねりは日増しに大きくなっていった。以前の選挙でもネットや演説会で大盛り上がりになって、もの凄い期待されたのに票が全然伸びなかったということがある。
でもそれを経験してきた人たちはリアルで動かなければ社会には決して浸透しないということを痛いほどよく知っている。
選挙運動など全くやったことがない、人に何かを伝えるのもすごく苦手というような人たちが、勇気を持って一歩前に踏み出した。
自らチラシを巻き、公選ハガキを書き、家族や知り合いに何故山本太郎やれいわ新選組が良いのかを必死に説明し、TwitterやFacebookに書き込み、LINEで知り合いに動画を見せ、近所にポスターを貼り、電話掛けを続けた。
自ら警察に許可を取り、たった一人で街頭に立ってチラシを巻き、投票を呼びかけた人さえいる。
それは水面下で急速に広がっている。予測ではれいわ新選組は1〜3議席がやっとと言われている。だが、蓋を開けてみなければ本当のところはわからない。
警察をも勝手に動かして声すら上げさせない安倍政権が、裏の手を使う可能性だってあるが、果たして大衆の革命を止められるだろうか。
山本太郎の戦術はそれだけではない。10人の候補者には政治家も芸能人も太郎を除いて一人もいない。
無難に評価をもらうのならば、以前議員だったが今は落選して再起を狙っている人とか、広く一般に名前や顔を知られている芸能人やスポーツ選手を使ったほうが票は集めやすい。
だが、あえて彼は様々な問題の当事者たちを集めた。政治経験があれば良い政治ができるわけではない。逆に問題の当事者であるがゆえに何をすれば良くしていけるのかを誰よりも知っている。
それが今までの政党に最も欠けている部分でもある。何にもわからない、何にもできない、無能で人間的にも程度の低い候補者・議員を我々は何度見てきたことだろう。
そして彼の今回の戦術で最も刺激的で、おそらく最も効果的なのは、現役の創価学会員を東京選挙区に立てたという驚愕の作戦だろう。
山本太郎が抜けた穴を誰が埋めるのか? 半端な人では選挙の勢いも尻すぼみになる。
彼が選んだのは沖縄の現役創価学会員であり、辺野古の新基地建設に反対し続け、地元の選挙で公明党の押す基地容認派の候補ではなく、反対派の候補を先頭に立って応援し続けてきた「野原ヨシマサ」であった。
無論政治経験などなく、素朴な沖縄のおじさんといった雰囲気の方なのだが、気骨は凄まじく、公明党の山口代表の選挙区である東京から正面きっての真剣勝負を挑んだのである。
今のところ予測では山口代表の当選は固く、野原さんは当選圏外とされている。だが、本当にそうなのか?
沖縄では党を挙げて全力で選挙支援してきた公明党の押す候補が勝つものと思われていたし、そのように票読みされていた。
ところが蓋を開けてみると完全に逆転。選挙の集票マシーンであった沖縄創価学会員が、「公明党の候補に入れた」といいながら、実は反対派の候補に入れていたことがわかった。
それが東京でも当然起こるだろうが、創価学会の本部のある東京では当然締め付けも厳しいだろうし、沖縄の割合よりもそれが多いのか少ないのかは開票されてみなければわからない。
ただし、正面から公明党と創価学会を厳しく批判し続けた野原さんの影響力は確実に広がっている。
おかしいことをおかしいと言ったがゆえに村八分にされ、大変な迫害を受けている創価学会員が前に出て学会や公明党を批判するようになり、公明党ではなくれいわ新選組に入れようと公然と言うようになった。
その結果、面従腹背の学会員が燎原の火の如く広がっているのは間違いなく、そればかりではなく、正面から学会批判をして「支持政党の自由」をハッキリと言う学会員も出始めている。
さらにF票(フレンド票)と言われる、あの電話掛けでの集票作戦も、現役創価学会員が「公明党」ではなく「れいわ新選組」に入れて下さいと公然と言って選挙運動している人たちも増え始めている。
そりゃあそうだろう、平和と福祉の党として旗揚げし、自民党と組んで与党となった時も自民党の暴走を止める役割と自ら言っていたのが、今では一緒にアクセルを踏んで暴走しており、選挙ではただの集票マシンとなっている。
元公明党副委員長 二見伸明氏も応援に駆けつけ、公明党が、創価学会が、如何に言ってることとやってきたことが違うかということが広く一般に認知されるようになってきた。
消費税を上げ、生活保護を切り下げ、年金が目減りするマクロ経済スライド導入に賛成した。辺野古の基地を強引に推し進め、自衛隊の海外派兵に道を開き、現代の治安維持法である共謀罪法案を通してしまった。どの口が「福祉と平和の党」というのかということだ。
もう、「公明党の歴史的役割は終わった」と野原ヨシマサは言っている。さらにこんな発言もある。
「池田先生は公明党が将来もし、政権に擦り寄るようなことになったら、大衆をいじめるようなことをしたら遠慮なく潰して良いと言いました」
彼は創価学会員に呼びかけた「いつまで善人の沈黙を続けるつもりでしょうか?」
「この社会の閉塞感、息苦しさ、これを打ち破る、手っ取り早いひとつの良い方法があるんです。それは公明党を連立政権から下野させればいいんです。公明党の議席を減らせばいいんです。公明党の勢いを弱めればいいんです。はっきり申し上げます。公明党を潰せば日本の社会は良くなるんです。」
彼は創価学会員だが、初めにこう言っている「私は宗教は人を幸せにする宗教ならなんでも良いと思っています。」
さあ、面白くなってきた。公明党が今後どうなっていくのか? 今の時代は何が起こってもおかしくはない。