ありがとう。

感謝の意味をあらわすこの言葉。
広東語には、2つあります。

多謝 (do1je6)
唔該 (m4goi1)

特に唔該は、香港で一番多く使われている言葉といってもいいと思います。



香港に住んで、言葉がほとんどわからなかったときのこと。
スーパーで買い物をして、レジを通って、店員さんに「多謝」と言ったら「ん?」と苦笑いをされました。
疑問に思って学校で聞いたら、使い分けをしなければいけないとのこと。


何かプレゼントをもらったり、ごはんをご馳走になったり、褒められたりしたときは、多謝。
店員さんにお礼を言ったり、道を教えてもらったりとかは、唔該。

そうなんだとは思いつつ、
腑に落ちた感じはせず。


多謝は、「ありがとう」という意味だけですが、唔該は「ありがとう」だけでなく、「すみません」の意味もあります。例えば、道が混んでて人を避けて通るときも、外食中に店員さんに声をかける時も、唔該。
日本語じゃ「ありがとう」と「すみません」はひとつの言葉じゃないのに、唔該はオールマイティ。語源は何なのかとぼんやり考えていました。
でも、何人かに聞いたけど、ふんわりした答えだし、そんなもんかなと思い、無理やり納得させてました。
広東語を勉強して、2年が過ぎ、今日、やっと腑に落ちることに。

今日の広東語のマンツーマンレッスンでスッと腑に落ちた答えを先生からいただいたのです。

「広東語は、言葉を省略することが多いです。
ex.佢嘅先生係做乜嘢嘅(人)?

唔該もそう。
なにが省略されていますか?」

と聞かれました。

そうか。その発想はなかったと思い、考えましたが、何も出ず。
先生が答えを教えてくれました。

唔()該 

その途端、全てが繋がったような衝撃が走りました。
應該ying1goi1 は、應該+動詞(V)で「Vすべき」と使われます。
つまり、唔該というのは、
「本当はあなたはそんなことすべきではないのに、ありがとう」や「すみません」ということ!
香港人である先生は香港人は日本人と同じように人に迷惑をかけたくないと、話してくれていたからピンときました。
なるほどーーー!
そういうことかーーー!!


言葉は暗記すればそれまで、ということもあるかもしれませんが、語源、由来など遡れば、「なるほど!」と納得してとてもワクワク、楽しくなるのです。

小さなことだったけど、
私はとても大きな衝撃を受けました。

1回2時間のスカイプレッスン。
その間は祖母が子どもをみてくれていて、
その間もチョコチョコ先生に待ってもらって、子どものオムツを替えたり、授乳したりしています。

レッスン中は頭をフル回転させるので、とても楽しいです。スピードは亀の歩みだけど、無理なく続けていくうちに、軌道に乗って、楽しくなってきたらしめたもの。

広東語は中国語の普通話と違って、マイナー言語ではあるものの、日本語と共通する漢字や意味も多くて、興味深い。

点が繋がって、線になって、わかっていくのは刺激的で面白いなぁ。