「もういちど読む山川哲学」その9 | さかえの読書日記

さかえの読書日記

琴線に触れたことを残す備忘録です。

「私の重みは私の愛であり、それによって私はどこへでも運ばれるのです。」(アウグスティヌス『告白』)

「愛は引力のように、我々を様々なものへと誘因する。何に引き寄せられるかは、我々の抱く愛の質による。未熟な愛は、つまらないものに引き寄せられる。つまらぬものが魅力的に見えるのは、心の中の愛が未成熟だからであろう。素晴らしい人と出合い、大自然の美しさへの感動、学問や芸術やスポーツなどの体験が、我々の愛を磨き、心を育てる。磨かれた愛は、おのずから素晴らしい人物やものごとへ我々を引き寄せる。アウグスティヌスは、世俗の滅び去るものごとへと誘う愛を超え、永遠の神へと向かう純度の高い愛を求めた。自分は何に引き寄せられているのか、自分の心の中の愛の質を確かめてみよう。素晴らしいものごととの出合いは我々の愛の質を高め、同時に質の高い愛は、我々を素晴らしいものへと誘う。」