エッカーマン「ゲーテとの対話」その12 | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「私は、ゲーテの前で朗読しようと思って、『パリへの旅』の第一章を一緒に持ってきていた。だが、彼はそれをひとりで読むことを望んだ。そこで彼は、読書の難しさに触れ、多くの人は、愚かにも、まったく予習もせず、予備知識も持たずに、いきなり哲学書や科学書を、まるで小説同然に読もうとする、と言ってからかった。」


「『みなさんは』と彼はつづけた。『本の読みかたを学ぶには、どんなに時間と労力がかかるかをご存知ない。私は、そのために八十年を費やしたよ。そして、まだ今でも目的に到達しているとはいえないな。』」


 ゲーテにして然りか。