小室直樹「日本人のためのイスラム原論」その2 | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「キリスト教もイスラム教も、ともに唯一にして絶対の神を信仰する一神教である。しかも、マホメットに大天使ガブリエルが訪れたことでもわかるように、その信仰の基盤にはともに聖書がある。ガブリエルはキリスト生誕の様子を記した宗教美術にしばしば現れてくる。マリアに受胎告知をしたのも、この大天使である。」


「キリスト教でもイスラム教でも、旧約聖書に書かれていることはすべて真実であると見なす。神がこの世界をつくりたもうたことも、アダムとイブの楽園追放も、ノアの洪水も、はたまた古代イスラエル人のエジプト脱出もすべて真実。またシナイ山でモーセが神に十戒を下されたことも、キリスト教もイスラム教の歴史的事実であると考える。」


「このように共通点が多い二つの宗教だが、決定的に違うところが一つある。その答えは、規範(ノルム)の存在である。規範とは、わかりやすく言ってしまえば、『これをしろ』『あれをするな』という命令(禁止)である。キリスト教には、この規範が全く存在しない。これに対してイスラム教は規範だらけ。規範なくしては、イスラム教ではない。この大きな違いこそ、われわれは注目しなくてはならない。」


 小室直樹の文章はわかりやすいが要約しないと長くなる。