リチャード・ニクソン「指導者とは」その3 | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「シェークスピアによれば『人間には生まれつき偉大なのと、生まれてから偉大になるのと、死んでから偉大と呼ばれるのがいる』そうだが、チャーチルは長い人生と政治生活の中で、それを三つながら体現した。権力のために権力を欲せず、権力の中に自己充足を求めなかった。チャーチルが権力を求めたのは、他の誰よりも自分がそれを巧みに行使できると、心から信じたからにほかならない。彼は、時代の危機を処理する能力と性格と勇気を持つのは自分一人と信じた。そして、その信念は正しかったのである。」


「チャーチルの判断の大部分は、正しかった。それに長寿が加勢し、1940年という英国が最も彼の経験と指導力を必要とした瞬間に、居合わせることができた。チャーチルについて書いた良書は多いが、わずか39ページのイザヤ・バーリン(オックスフォード大学教授)の著書の最後の一節ほど、みごとに彼を定義した文章は例がないと思う。」


「チャーチルは人間の規矩を超え、常の人より大きく明快な資質を持ち、生前すでに巨大な歴史的人物だった。超人的な豪胆な力と想像力に恵まれ、英国が生んだ二大行動人の一人であり、比類まれな雄弁家、教国の英雄、伝統とともに現実に属する神秘な勇士だった彼は、われらが時代の最大の人物である。」


 チャーチルはひとまず終わり