佃祐世「約束の向こうに」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「私はすでに41歳。年齢的には、働き盛り、ベテラン弁護士といえる年齢。でも、私の場合、弁護士としての経験はこれから、若い20代の新米弁護士と同じスタートライン・・・・・そう考えると、私の年齢は仕事をするうえで不利な要素なる。41歳でのチャレンジ・・・・。新しい仕事を始めるには、たしかに早くはない年齢。でも、41歳なりの、若い人たちとは違う何かがあるはず・・・。私だからこそできる何かが必ずある。」


「そうなんだ・・・。私には、母子家庭の母親としての経験、主婦としての経験など、私なりの経験がある。私の経験は私にしかない貴重な財産だ。そのことに気づかされた私は、こう思うようになった。」


「私だって、この40年、私なりに精一杯生きてきた。弁護士としてはこれからだが、人としての経験は40年分ある。40年生きてきた経験、これはかけがえのない財産。私だけしか持てない財産。私には、この財産を元にした洞察力、会話力、説得力など、私ならではの力がある!41歳であることをマイナスに考える必要などない。私は、この40年分の経験をもとに、私なりに頑張ればいい。この時から、41歳という年齢が私の引け目から前向きな要素に変わった。


 

 壮絶な夫の闘病生活、司法試験を受けるという夫との約束、合格までのみちのり。昔読んだ千葉敦子の本の雰囲気を思い出した。