ウォルフレン「日本という国をあなたのものにするために」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

 「日本の普通の人びとがなすべきことは、未完の事業を完成させることだ。明治の寡頭体制の指導者たちはこの事業を未完のままにし、戦後占領期のアメリカ人は、そういうものがあることさえ理解していなかった。私がここで述べていることは、一部の人の耳には奇異に感じられるかもしれない。『日本はすでに、れっきとした国家じゃないか。これ以上国家になる必要がどこにあろう。日本という国家の、いったいどこが未完なのだ』と、反論されるかたがあるかもしれない。まさにそうした反論こそが、問題の在処を指し示しているのである。ほとんどの日本人は、日本の政治に何が欠けているのか気づいていない。それはとりもなおさず、日本の政治のどこを変えなければならないか、十分に理解していないということだ。私がこのテーマについて本を書きはじめてから14年ほどになるが、私はその間ずっと、日本人のこの奇妙な無自覚に驚かされてきた。日本人は、自国が国家として完成していないという現実に気づいていないのである。しかし、それもわからないでもない。日本の経済的成功が、何十年ものあいだ国際社会の賞賛を集め、日本人自身もそれに浮かれていたのだから、多くの人がこの基本的事実に目をやるひまがなかったのだろう。」


 久しぶりのウォルフレンの著作である。先ずは問題提起から。基本的事実を読み解いていく。