「相田みつを」その2 | さかえの読書日記

さかえの読書日記

琴線に触れたことを残す備忘録です。

「忍土とは、この世のことです。娑婆とか忍界ともいいます。それがこの現実社会だというのです。私たちが毎日生きているこの現実社会は、どこへ行ってもガマンをすることばかりです。自分の思いのままになるところなど一つもありません。電車に乗れば人波にもまれるし、職場に行けば様々な人間関係に気を使います。気をつかうということは、それだけ自分を押さえてガマンをすることです。」


「極端な言い方をすれば、人は朝から晩まで、人と人との間に立って、四方八方に気をつかいながら生きているんです。人と人との間にしか生きられないから〈人間〉なんですね。人間、一人では生きられないんです。」


「ひとりになりたい ひとりはさびしい それが人間だと思います。お釈迦様はこの世を忍土と受け止めております。つまり、自分だけ一人、自由気ままに生きる場所ではないというのです。ガマンをしなければ生きてゆけないのが世の中であり、忍土です。我がまま勝手の許されないところ、それが忍土です。」


  娑婆


 娑婆とは忍土


 忍土だから


 たえしのぶところ


 この世は苦娑婆


 楽娑婆とは


 いわない


         みつを


 


 誰だったか、小林秀雄だったか、古典は字体(書)とともに読んでその味わいがわかると言ったが、みつをの詩も同じかもしれない。