中川建一「聖書ものがたり」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「東京大学名誉教授で経済学者である隅谷三喜男氏は、『近代日本の形成とキリスト教』という著作の中で、日本のキリスト教を社会思想史的に分析し、構成を試みている。」


「彼によれば、日本における近代社会(明治期前半)は、きわめて日本的な形態で形成されることになり、日本のキリスト教会もまたその枠内で形成されたという。すなわち、国家権力への従属が強要された結果、キリスト教会は批判的エネルギーを失うこととなり、ひいては天皇制体制に包摂されるものとなったと主張する。」


「日本においてプロテスタンティズムを受け入れたのは、主に都市部の中産インテリ層であった。彼らは日本という共同体の中では、最も個人主義的な生活態度を持った階級であり、そのことが、彼らが自由に信仰を持てた理由でもあるが、同時にそれは、小市民的な生活の中に安住し、社会に対して積極的に責任を負うことを回避する原因ともなった。日本のキリスト教会の大半が、天皇制体制の再建と擁護のために活動をせざるを得なくなったのも、そこに原因があるという。」


「日本のクリスチャン人口はなぜ少ないのかとの質問を受けて、戸惑うことがよくある。簡単な答えなど存在しないからである。一ついえるのは、初期の教会が宿していたDNAが、今も生き続けているということである。そのDNAの解明なくしては、次世代の教会成長はまず望めないであろう。」


 ウィキペディアによると、中国は人口の約10%の約1億3000万人、隣の韓国では、人口5000万のうち1300万人がキリスト教であるという。日本は、約260万人だそうである。いずれも儒教の影響を受けていた国だと思うが・・・。