山本七平「聖書の常識」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「神と人間との契約、日本人には依然として理解しにくい聖書。理由は、簡単、日本は過去において、聖書もしくは聖書的発想にほとんど接しなかった例外的民族だからである。キリスト教圏、ユダヤ教圏、イスラム教圏はもとより、共産圏もヘブライズムの影響下に成立している。一見聖書には無関係なように見える中国でさえ、太宰春台が「明の万暦年中に、欧羅巴よりマテオ・リッチというものが入朝してきて天主教を説くに、その説程朱の性理学に似て、その精微なること性理学を超えたる故に、性理家の学者、己が道を捨て天主教に受けたる者多し」と指摘しているような共通の基盤ともいえる面があった。」


「旧約聖書から生まれた宗教は、三つある。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教がそれであり、旧約に「タムルード」がプラスされたのがユダヤ教、旧約プラス「新約」がキリスト教、旧約プラス「コーラン」がイスラム教と考えたらよいであろう。」


 今読んでいる「聖書ものがたり」はストーリー仕立てで、わかりやすく読みやすいが、全体が8巻でなかなか全体像が見えず、体系化もされていない。山本自身も本書で「聖書の概要をつかんでもらい、聖書を読むときの参考にしてほしい」という。併用して読むと同時に、あわせて原書でもある旧約聖書と新約聖書も参照してみたい。