小室直樹「三島由紀夫が復活する」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「などてすめろぎは人間となりたまひし 戦後日本における天皇制批判の最高峰は、三島由紀夫である。その絶頂をなすのが、「英霊の声」と「豊穣の海」四部作である。」


「戦後における天皇制研究のきわめて優れたものとして、丸山真男教授と彼の門下生によるもの、山本七平によるものがある、これらは、真っ向から天皇制批判というよりも、天皇制の社会科学的分析と呼ばれるべきものである。」


「三島由紀夫は、天皇絶対主義者である。天皇神格論者である。彼が批判の対象としているのは、天皇の人間宣言以後の天皇制であり、新憲法下の天皇制である。また、彼が理想とする天皇像から逸脱した天皇の行為である。」


「しかし三島由紀夫の天皇制批判は、単純で底の浅いものではない。彼の天皇制批判は、天皇制の根底からゆるがすものであり、深刻きわまりないものである。」


 この深刻きわまりないと論じている小室直樹の説明が、この本の第2章「戦後天皇制に挑戦した三島由紀夫」にあるが、「豊穣の海」を引用しつつ、仏教の本質を論じ、三島の天皇制批判に結び付けているが、一読しただけでは理解しがたい。