「オルテガ・イ・ガセットというスペインの思想家が「大衆の反逆」という本のなかで、「大衆は自分では何も考えずに、みんなと同じであると感じることで安心する連中」といっている。オルテガが言うには、大衆は、流行しつつある兆候を現実のものとするのが大好きで、どんなときにも関心の対象を無責任にとりかえていく本質をもっている。新しい兆候にとびつき、そして、すぐに心変わりする。この二つの心情が同居している。それが、100万、1000万の単位で一方に靡き、また別方向にいっせいに靡いていくのは、かわいくない。むしろ不気味だ。そこには個々の顔がない。大衆の姿は、投票動向や購買動向や旅行動向の「数」だけであらわれる。けれどもそれなのに、そこには「質」の決定がある。「数が質になる」という決定権を握っている。大衆はそういう怪物です。新しいリヴァイアサンです。ちなみにオルテガは、大衆の「観念は思いつき、信念は思いこみ」という、なかなか穿った意見も述べた。」
「大衆の反逆」かちょっと気になる本だ。