妙に舌ったらずの看護師である。


予め入院予約していた病院の玄関。
おそらく10年も経たない10階立ての病棟ラウンジに通された。

2週間ぶりにコーヒーを飲んだ。
「コーヒー飲んでいいんだ?…」
インスタントでも美味しかった。

自由のある雰囲気だと思えた!

相変わらず楽観的な僕。
後遺症が残るなんて考えもしなかった。
実際にはこんなに長い道のりになるとは……。



初めての言語訓練(ST)講義。
脳卒中を発生した3週間目ぐらい。

まず最初に教わったのは
自分の名前、住所、年月日を書いた。

その時点では
平仮名も全くわからずのありさま。
本当に「あ」「か」「さ」の3文字
ぐらいしか覚えていませんでした。

文字が踊る。
行ったり来たりで書いた文字が揃わない…。
酔っ払いかよ!

文字の「はらい」が右に行くのか、
左に行くのかわからない。
異次元。
ちんぷんかんぷん……。

バランスよくなんて、とんでもない!

STさんには根気よくやっていただきましたが、無理!?



 

これは
ほぼ退院するまでの
3か月はあまり
変わりませんでした。

ただ、
毎日面会に来てくれる家内に
絵本『しんらんさま』を
何度も何度も読んでもらい、

読めないのに一緒に本を読んでいる
[ふり]を
していました。ハート

実際には耳から入ってくる音を
口にしているだけで、
文字を読んでるわけではなかった。

今思うと
読めるまでの
準備期間だったような
気がします。



 

一般的に
早いうちに
リハビリを
始めることは鉄則と
言われますが、
必ずしもすべてが
そうとは言えません!
微妙です………。

リハビリでの回復は
明らかに100人百様と言われています。

僕の場合、例外かもしれませんが…。
治るスピードもそれぞれなのかと思います。

ちなみに、
半年経った頃から
少しだけ読めるようになりました。


次回は
「病棟の先輩たち」