スティーヴ・コックス監督によるアードマンのストップモーション・アニメーション映画『ひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!』。

 

クリスマスの屋外マーケットで自作の飲料水を売ろうと出かけた牧場主のトラックの荷台にクリスマスプレゼント用の箱に入った子羊のティミーも乗ってしまい、サンタクロースの仮装をした牧場主によって本物のプレゼントと間違えられて子どもにもらわれていってしまう。ショーンやビッツァーと羊たちは、ティミーを奪還するために奮闘する。

 

クレイアニメ「ひつじのショーン」15周年ということで、メイン作品の『ひつじのショーン クリスマスの冒険 劇場公開版』の前にTVシリーズ第2シーズンから「だんろの前で」「ある雪の日」「メリークリスマス!」の3エピソードを上映。

 

僕は普段ストップモーション・アニメを特に熱心に観ているわけではなくて、世間で結構評価の高い作品も未鑑賞であることが少なくないんですが、この「ひつじのショーン」の劇場版はこれまでの2本を公開時に映画館で観ていて、何年かに一度の恒例行事として今回も劇場へ。

 

 

 

 

今回の作品は上映時間を全部合わせても1時間ちょっと(『クリスマスの冒険』が52分。Netflix配信ヴァージョンは30分)。

 

 

 

これまでの『映画 ひつじのショーン』は90分あったからそれに比べると短めですが、うっかり劇場パンフレットの有無を確認せずに帰っちゃったので詳しい事情はわからないけれど、Netflix配信版に手を加えて15周年記念で特別に劇場公開したのかな。

 

上映期間も12月16日(金)~29日(木)の2週間限定だし。

 

今後、劇場公開ヴァージョンが配信される予定があるのか、ソフトになるのかどうかも知りませんが、短篇もクリスマスにちなんだエピソードを集めてあるので、この時期に観てみると楽しいと思いますよ(^o^)

 

わずか1時間ちょいなランニングタイムだから、何か他の映画のついでにご覧になってみてはいかがでしょうか。

 

僕が観た上映館では客席に子羊のティミーのように小さな男の子とご両親、若いカップル、それからハゲたお爺さんがいました。ハゲたお爺さんはどんな映画にでもいるな。

 

僕は「ひつじのショーン」の熱烈なファンというわけではないし、TVシリーズも以前NHKで朝に放送されてたのを観た程度なんですが、どうして自分がこの作品に魅せられるのかといったら、多分、子どもの頃にTVで観ていた「トムとジェリー」を彷彿とさせるところがあるからではないかと。

 

「トムとジェリー」は“ザ・アメリカン”な作品なのに対して「ひつじのショーン」は英国産だし、僕が観ていた「トムとジェリー」って1940~60年代に作られたもので、非常に暴力的だったし(だからこそ面白かったんですが)現在では放送やソフト化が不可能な差別的な表現も多かった。

 

「ひつじのショーン」って、そういうかつての「トムジェリ」の問題点をクリアさせてドタバタギャグを成立させてるんですよ。

 

誰かを一方的な悪役に仕立てたり見下したりバカにして笑いを取るのではなくて(まぁ、微妙に憎まれ役は存在するが)、純粋に登場キャラクターたちの「動き」の面白さで見せていく。昔の「トムとジェリー」からスラップスティック・コメディの要素だけを抜き出したような。

 

今回「だんろの前で」のエピソードで、牧場主が部屋の中で飼っている猫のピッツリーが完全なる憎まれ役として出ていて最終的にショーンら羊たちにしてやられる。彼はどうやらシリーズ初期のキャラクターらしくて第3シーズン以降は登場していないそうなんだけど、同じく“やられ役”の3匹のブタたちはレギュラーとして活躍しているのだから、ピッツリーもまた再登場してほしいなぁ。そんで犬のビッツァーともいい感じで仲が良くなったりまた意地悪したりを続けてほしい。

 

 

 

猫と犬の場合、猫が悪者扱いされることが多いような気がするんですが、可愛くて穏やかな性格のネコちゃんだっているし、犬と猫が大の仲良しの場合だってある。

 

「犬は忠実」「猫は狡賢い」みたいなステレオタイプからぜひ自由になってほしいな。

 

…ってゆーか、牧場主、飼い犬が風邪引いたら呑気に暖炉の前に寝かせておかないで急いで動物病院に連れていきなさいよ^_^;

 

 

 

 

観てからもう何日か経ったので、どのエピソードがどんな内容だったのか忘れかけてますが、雪景色の中でおなじみのキャラクターたちがワイワイと楽しげに遊んでる様子は観ていてほんとになごむんですよね。

 

独身の牧場主が幼い頃のクリスマスを思い出してちょっとしんみりしちゃう場面なんか、めっちゃ身につまされましたが(;^_^A いや、でも彼はいつも愉快な動物たちに囲まれてるからねぇ。本人は気づいてないけど(笑)

 

カーリングのストーンみたいに廻りながら氷の上を滑っていくティミーが可愛い(^o^) ティミーって赤ちゃんなのか幼児なのかよくわかんないよね。たまにおしゃぶりくわえてるけど、結構一人で出歩くし。一応、ショーンはティミーのお守り役ということなんだな。

 

 

 

 

 

 

『クリスマスの冒険』では、クリスマスプレゼントのぬいぐるみと間違えられて持っていかれてしまったティミーの救出作戦が描かれるんだけど、ショーンたちによるいつものドタバタが繰り広げられる中で、動画投稿に夢中になってて我が子をほったらかしにしている両親とオモチャに囲まれてはいるけれど寂しい男の子のお話で、孤独だった彼はショーンたちと出会って賑やかなひとときを過ごせたおかげで両親との関係を回復できた。

 

 

 

 

 

架空のキャラクターたちが現実の子どもたちを励まし、生きていくためにほんのちょっと力添えをしてくれる。

 

アニメなどの創作物が持っている力、それらが果たす役割について語っているように思えたのです。ドタバタ劇で笑わせながら大切なことを伝えてくれている。

 

牧場主が作った謎の炭酸飲料(笑)がクライマックスで大活躍するところとか、ほんとに「トムとジェリー」みたいなノリなんだけど、「ひつじのショーン」は「トムジェリ」にも時々あった最後に少しホロリとさせるところが好きなんだよなぁ。

 

クリスマスまであとわずかですし29日で上映が終了してしまいますが、小さな子どもさんでも楽しめる内容だから、ぜひご家族でご覧になっていただきたいです♪

 

 

 

 

同じアードマン・アニメーションズの『ウォレスとグルミット』(1989)(短篇3本)が「午前十時の映画祭12」で16日から上映されてますが、そちらも観にいきたいと思っています。

 

 

 

 

 

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