$映★画太郎の MOVIE CRADLE


監督:ダン・スキャンロン、声の出演:ビリー・クリスタルジョン・グッドマンほか、ピクサーのアニメーション映画『モンスターズ・ユニバーシティ』。



小学校の社会見学で「モンスターズ社(インク)」をおとずれたマイケル・ワゾウスキ(マイク)は、将来そこで働くことを夢みて勉強に励み、やがて「モンスターズ大学(ユニバーシティ)」の「怖がらせ学部」に入学する。そこでジェームズ・P・サリバン(サリー)やランドール・ボッグスたちと出会うが、“伝説の怖がらせ屋”ディーン・ハードスクラブル学長から「あなたは怖くない。怖がらせ学部にはふさわしくない」と言われてしまう。


日本では2002年公開の『モンスターズ・インク』の続篇。

なによりもまず、前作がもう10年以上前の作品だったことに驚く。

『モンスターズ・インク』は劇場公開当時に観たけど、おそらくそれ以来観かえしてなかったのでストーリーは忘れていて、おぼえてるのは人間のちいさな女の子“ブー”が出てきたことと、ものすごい数のドアがひしめく工場での追っかけっこがあったことぐらい。




でもたまたま観かえしてないだけで、「面白かった」という記憶はありました。

先日TVでやってたので11年ぶりに鑑賞。

$映★画太郎の MOVIE CRADLE


いやぁ、ブーが可愛かったですねー(^o^)

『ユニバーシティ』のほかの人の感想を読んだら「サリーの性格が『インク』と違いすぎててノれなかった」とか「悪くはないが『インク』が良すぎた」など、前作に思い入れがあるらしい人たちのなかには不満を述べてるかたがたもいて、僕はほとんど忘れてるぐらいだから前作とくらべてどうこうはないんだけど、ちょっと不安もあったんですよね。

ピクサーのアニメ映画に対しては以前はほぼ全幅の信頼をおいていたんですが(これまでの作品を全部観たわけじゃないけど)、昨年の『メリダとおそろしの森』で「…あれ?う~ん…」となってしまって、天下のピクサーといえどもすべての作品が傑作というわけではないんだな、と。

でもTVで『インク』観たら面白かったんで、やっぱり新作も観たいと思って。

で、平日のレイトに行ってきたんですが。

まわりカップルばっかり^_^;

まぁ、当然っちゃ当然なんだが。

みなさん、ただ単に映画観にきたっていうよりは、きっと『モンスターズ・インク』やピクサー映画のファンの人たちなんだろうなぁ。

観終わったあと、会場から出るときにあるカップルのカレシの方が「…面白かったなぁ」ってつぶやいて、カノジョも「ウン(^・^)」ってうなずいてた。

この感想がすべてを語っているのではないでしょうか(^o^)

面白かったですよ。僕は好きです。

なので、興味をもたれたかたはぜひ劇場へどうぞ。

以下、『モンスターズ・ユニバーシティ』と『モンスターズ・インク』、「トイ・ストーリー」シリーズや『シュガー・ラッシュ』のネタバレがありますので、まだごらんになっていないかたはご注意を。



同時上映はサシュカ・ウンゼルト監督の短篇『ブルー・アンブレラ』。




街の雑踏のなかで出会った青色と赤色の雨傘が、風や車の往来に阻まれながらもふたたびめぐりあう。

まるで実写のような街の映像。

これがぜんぶCGで描かれていることが驚きだが、『モンスターズ・ユニバーシティ』でもやはり大学の建物やバスなど、実写さながらのCG映像がみられる。

10年以上前の『モンスターズ・インク』の時点でじゅうぶん緻密に描かれているのだが、それがよりリアリスティックに進化している。

雨どいやゴミ箱、建物の窓の模様などがまるで笑っているように見える、というのはふだん生活していてふと思い浮かぶことで、作り手のそのへんの観察眼が素晴らしい。

物語自体は『シュガー・ラッシュ』の同時上映『紙ひこうき』とほとんどおなじで、つまり街なかで出会った異性のことを忘れられない主人公が意を決してその“永遠の恋人”と再会を果たす、というもの。

ピクサーやディズニーのアニメーションのクリエイターたちは、そんなに「運命の出会い」に憧れてるんですかね(;^_^A

可愛らしかったですが。


さて、先日の『インク』の地上波放映は日本語吹替版で、主役のマイクとサリーを爆笑問題田中裕二ホンジャマカ石塚英彦が担当していました。

僕はながらくマイクの声は声優の三ツ矢雄二がアテてるもんだとばかり思っていたんだけど、それはピクサーでは恒例の予告篇のみでの吹き替えだったようで。

だから僕はたぶん映画館では字幕版を観たんだろうなぁ。

ブーがしゃべるとき、英語の幼児言葉だったような記憶があるので。

そんなわけで、『インク』をTVで観てふつうによかったから吹替版でもかまわなかったんですが、たまたま前作につづいて今回も字幕版で観ることができました。

声の出演は、前作に引きつづきマイクをビリー・クリスタル、サリーをジョン・グッドマンが担当。

『メリダ』や『シュガー・ラッシュ』は吹き替えしかやってなかったのに、今回はなぜなんだろう。別にいいけど。

ピクサーアニメの字幕版を観るのは、かなりひさしぶり。ここ何年かではディズニーの『ラプンツェル』は吹き替えと字幕両方観たけど。

やっぱり選択肢は多いほうがいいな。

ディズニーやピクサーのアニメってキャラクターの台詞と口の動きがシンクロしてるので、原語版で観るとよりほんとにしゃべってる感じがするんだよね。


ところで、『トイ・ストーリー』に次ぐほどの人気作である『モンスターズ・インク』の続篇がこれまで作られなかったことがとても不思議だったんだけど、ひさしぶりにTVで観て納得しました。

『モンスターズ・インク』には、簡単に続篇が作れないある理由があったのだ。

まず、この『ユニバーシティ』を観て思ったのは、意外と高い年齢層向けだなぁということ。

子どもが観ても楽しめるとは思うんだけど、これってモンスター版『アニマル・ハウス』で、つまり“イケてない奴ら”が“イケてる奴ら”を見返そうと奮闘する学園モノなのだ。

学園モノ、といっても恋愛要素はナシ。

もっと言えば、『ソーシャル・ネットワーク』で描かれたようなスクールカーストについての物語なんである。

これはけっこうシビアな世界で、ちっちゃな子どもさんがほんとにこの面白さがわかるかどうかは、ちょっと疑わしい。

先ほど「前作ほど面白くない」と言ってる人がいることを紹介したけれど、まぁそういう人がいるのもわかる気がした。

というのも、今回の映画は主人公たちが悪者と戦う話ではないから。

「トイ・ストーリー」シリーズも『モンスターズ・インク』にも、非常にわかりやすい“悪役”が出てくる。

最初から悪役然として登場する者もいれば、最初は味方のような顔をして出てきて、やがて本性をあらわす者もいる。

いずれにしろ最後に彼ら悪役は主人公たちに倒されて、けっこう容赦ない末路をむかえる。

そういう意味でちっちゃな子にもわかりやすい作りになっている。

でも今回の『ユニバーシティ』に登場してマイクたちと「怖がらせ大会」で順位を競いあうほかの友愛クラブ(フラタニティソロリティ)の学生たちも、マイクやサリーに厳しく接する学長も一方的な“悪者”としては描かれていないし、最後に彼らが退治されるようなこともない。

これは前作『モンスターズ・インク』でマイクやサリーたちと追っかけっこしていたランドール(今回も出てきます)や黒幕だったウォーターヌース社長の描かれ方とはまったく違う。

ようするに勧善懲悪の冒険映画ではないんである。

でもこれはとてもかしこい選択で、なぜなら前作のラストで『モンスターズ・インク』の物語は完結してしまっているから。

観たことがある人にはわかってもらえると思いますが。

『インク』の最後に、マイクやサリーはもう“怖がらせ屋”ではなくなるのだ。

だからもしムリヤリつづきを作ろうとすると、一度終わった話をまたくりかえすことになる。

今回、続篇である『モンスターズ・ユニバーシティ』を、時間を巻きもどしてマイクとサリーの学生時代を舞台にしたのは賢明なやり方だったと思います。

時代をさかのぼったことで怖がらせ屋たちが働く「モンスターズ・インク」は復活して、モンスターが子どもたちを怖がらせてその悲鳴からエネルギーを得るあのシステムがまた描かれることになる。

マイクとサリーはいかにして出会い、「モンスターズ・インク」のスターコンビとなったのか。

今回は前作に出てきた“ブー”のように観客が「カワイイ~!!」となる愛玩的なキャラはいないので、主人公のマイクがその役割を担う。

前作では物語の主軸はサリーとブーのふれあいで、どちらかといえばマイクは三番手のような役柄だったけど、今回はマイクが純然たる主役。前作以上にマイクの多彩な表情がみられる。

最初に小学生のときのマイクが出てくるんだけど、カワイイ~!!グリーンピースか空豆みたいw

歯に矯正器具つけてるし。

$映★画太郎の MOVIE CRADLE $映★画太郎の MOVIE CRADLE


歯の矯正器具はユニバーシティに入ってからもしてるんだけど、すげぇ長いあいだ歯列矯正してんのね。

怖がらせ屋になるんなら歯並びがよくなっちゃったらかえって逆効果だと思うんだが^_^;


ユニバーシティで、まずマイクがルームメイトになったのは、なんとランドール。

『インク』ではサリーとブーを追いかけまわし、身体を透明にして「一度ぶん殴ってやりたかった」とサリーをドツき回したりマイクを縛りつけて悲鳴吸引機で拷問しようとしていたあのランドールである。

どうやら『インク』のファンにはこのランドールは人気キャラらしくて、先日のTV放映のときもTwitterではランドールが登場してしゃべったり暴れだすと、みなさん大喜びでした。

このユニバーシティ入学当初の彼はビン底眼鏡をかけていて(マイクに「眼鏡とったら?」と言われてとったのであの悪い目つきになったというわけ)、マイクとおなじくガリ勉くんだったようで、性格もおだやかでカップケーキ作ったりしてる。

$映★画太郎の MOVIE CRADLE $映★画太郎の MOVIE CRADLE


そんなランドールがなぜあんなふうになってしまったのかもじょじょに描かれていく。

ちなみに、原語(英語)版のランドールの声はスティーヴ・ブシェミ

アルマゲドン』で「ヒーハー!」とか暴れてて、ブルース・ウィリスたちに縛りつけられてたあのヘンな顔の人です。

$映★画太郎の MOVIE CRADLE


なんかもう、イメージ的にもピッタリだよな。

日本語吹替版でランドールをアテている青山穣は、フジTV版『アルマゲドン』でもブシェミの声を吹き替えてました。


一方で、『インク』では“怖がらせ屋”として実力ナンバーワンでありながら根は心優しい「ニャンニャン(Kitty)」だったサリーは、『ユニバーシティ』では家柄や自分の才能を鼻にかけたヤな奴として登場する。

「サリーの性格が違いすぎる」と苦言を呈していた人は、ここに引っかかったんですね。

でも、サリーが不遜な態度でみんなに接していた理由は終盤になって彼自身の口からマイクに告げられるんだし、やがて“モンスター”として成長して『インク』の彼につながっていくのは観てたらわかると思うんだがな。


僕は、この映画は現在のピクサーの作り手たちの成熟度の高さを如実に示した作品だと思うんですよね。

もちろん「トイ・ストーリー」シリーズも素晴らしい出来なんだけど、さっき書いたようにどうしても物語のなかに主人公たちに退治されるべき“悪者”を必要とした「トイ・ストーリー」シリーズや『モンスターズ・インク』にくらべて、この『ユニバーシティ』はそのような勧善懲悪を超えたところで主人公たちの友情や成長の物語を作り上げたことが特筆すべき点だと思う。


マイクとサリーは花形の「怖がらせ学部」から地味な「悲鳴ボンベ学部」に替えられて、そこで見るからにイケてないメンバーたちが集う友愛クラブ、ウーズマ・カッパ(OK)の一員になる。

$映★画太郎の MOVIE CRADLE


サリーは最初はイケてる友愛クラブ、ロアー・オメガ・ロアー(ROR)の一員だったが、学業成績でマイクに負けつづけたために見放されたのだった。

そしてOKのメンバーたちとともに大会で優勝を目指すことに。

学長との取り決めで、優勝すればマイクとサリーは「怖がらせ学部」に復帰できるが、もし優勝できなければモンスターズ・ユニバーシティを退学になる。

まんま学園ドラマじゃん(;^_^A

なんか、以前観た『グレッグのダメ日記』とか『小悪魔はなぜモテる?!』なんかを思いだした。

中学校や高校どころか、おなじ大学のなかですら完全なる格差社会。

ああいう話がモンスターたちの世界でくりひろげられるわけである。

ほんっとにアメリカの学校ってしんどいとこだな。

アメリカの大学のことなんか知ったこっちゃないけど、でもこれは現在日本でも深刻な問題になっている「いじめ」ともかかわりのあることだ。

「いじめ」が生じる土壌がどういうものなのか、この映画を観ているとよくわかる。

もっとも、モンスターズ・ユニバーシティというのは名門大学なので、そこに入学できた奴らというのはそもそもみんなエリートなわけだから、彼らのあいだでのヒエラルキーってのはあくまでも学校内での序列であって、こいつらは卒業したらみんな一流企業に就職できるけっこうなご身分なんだが(なんか卑屈な気分になってきた…)。

はじめはまるで勝負にならなかった試合だが、不正をしたクラブの脱落やマイクの指揮でそれぞれの得意技を駆使した作戦によってOKは善戦を見せる。

このあたりがじつに丁寧に描かれていて、たとえばおなじようなダメダメ集団がサッカーの試合で天下を取るチャウ・シンチー監督・主演の『少林サッカー』のあのいいかげんな描写(わざとなのはわかるんですが)にくらべると、マイクたちはもうちょっと説得力のある勝ち進み方をする。

「あなたは怖くない」と言われつづけてきたマイクが、ついにそれをくつがえす!…のか?

最後の競技は『インク』にも登場した、子どもをおどかして悲鳴を上げさせる模擬装置による勝負。

マイクはありったけの迫力で精一杯吠える。

でも、そんな彼はやはりまったく怖くはないのであった。

なのに高得点が出てOKは優勝する。

僕は、じつはこれはマイクの想像なんじゃないか、と途中まで思っていた。

だけどどうやら優勝は現実のようで、OKのメンバーたちはトロフィーをもって喜んでる。

う~ん、「信じれば夢はかなう!」ってことか。

でも怖くなかったよね、マイク。

そう思ってたら、この勝利にはじつは裏があったことが判明する。

マイクのおかげでOKのメンバーたちは全員高得点をあげられるほど実力がついていた。

ただし、マイクを除いては。

そう、マイク一人が「怖くない」のであった。

彼には子どもを怖がらせる才能がなかったのだ。

どんなに頑張ってもマイクがいるかぎり大会での優勝はない。

そのことを危惧したサリーは、競技用の子どもベッドの目盛りを操作してマイクが高得点をあげられるように細工したのだった。

その事実を知ったマイクは、みずからの力を証明するために「モンスターズ・インク」に侵入して、ドアのむこうのホンモノの子どもをおどかそうとする…。


僕はこの展開にかなりグッときたんですよ。

そう、あんなふうに誰もが頑張れば勝てるわけじゃない。

頑張ったのに勝てないことだってある。

僕は中学校で陸上部に所属していたんだけど、3年のあるとき、大会のあとに部員の一人が僕のことを「リレーでせっかくいい順位だったのに、あの人がゴボウ抜きされて負けてしまった」とグチってるのを聴いてしまったのだった。

僕はそれを聴いて、陸上部を辞めようと思った(けっきょく辞めませんでしたが(;^_^A)。

どうでもいい話ですね。


マイクはまさにそういう心境だったんじゃないだろうか。

こんなに努力してきたのに、そもそも自分は存在そのものが怖くない。

マイクはドアのむこうで子どもたちをおどかしてみせるのだが、目を覚ました子どもは悲鳴を上げるどころか「かわいいー」って感じでマイクに近寄ってきたのだった。しかもそこには合宿中の子どもたちが大量にいた!!子どもは猛毒をもっているので触れると大変!!!

助けにきたサリーが見たのは、水辺で呆然と座っているマイクだった。

このマイクの後ろ姿が、やっぱりでっかいグリーンピースか空豆にしか見えないのがwww

このあと、人間の大人たちに追われた彼らは、危機を脱するためにふたりで協力して、子どもどころか大人までをも怖がらせ、悲鳴を上げさせる方法をあみ出す。

僕はこの場面のサリーの咆哮に涙出てきたよ。

勉強熱心で理論は完璧だが、自分自身では人を怖がらせることができないマイク。

エリート一族の出身で才能にあふれているが、じつは臆病な性格で地道な努力が苦手なサリー。

このふたりがタッグを組むことでたがいをおぎない高めあう、最強のコンビがここに誕生した。

今年公開された『シュガー・ラッシュ』でゲームの王国のお姫様だったヴァネロペは、最後に悪者を倒してくれる痛快なスーパーヒロインだったけど、マイクとサリーはヴァネロペみたいに一発逆転の必殺技をもっているわけではない。

彼らは優秀な頭脳や才能をもってはいるが、絶対的なヒーローではない。

けっきょく、大会で不正をしたこと、モンスターズ・インクに忍びこんで大切なドアを破壊したことなどの理由でマイクとサリーは退学処分となる。

このときの学長(声:ヘレン・ミレン)の描写がまたいい。

$映★画太郎の MOVIE CRADLE


この人、ってかモンスターは、分不相応な夢を追うマイクに対して現実の厳しさを教え、今回の件に関しても例外的な措置はとらずにルールにのっとってふたりを放校にする。

「わたしにできるのは、あなたがたの幸運を祈ることだけです」と言って。

それでも、マイクとサリーはこの学長を確実に「変えた」のだ。

彼女はみずから述べたように、これからは学生たちに対して考え方や接し方を以前とは違ったものにしていくのだろう。

これは悪玉をぶちのめしてめでたしめでたし、という展開とは大きく異なる。

逆にいえばマイクとサリーはこういう経験を数多く経てきたからこそ、その後の『モンスターズ・インク』ではああやって心置きなく「勧善懲悪」を演じられたというふうにもとれる。

ふたりはエスカレーター式のエリートコースに乗って順風満帆に出世してきたのではない。

ユニバーシティを退学後、出世とは無縁とおもわれていた郵便係になって、そこでトップを目指して二人三脚で各部門を転々とわたり歩いてついに「モンスターズ・インク」最強の“怖がらせ屋”コンビにまで登りつめた叩き上げの苦労人なのだ。

映画の最後にトントン拍子で駆け上がっていく様子は、「けっきょくエリートなんじゃねーか」とおもわずにはいられないが、重要なのはあのふたりがともにそれぞれ「挫折」を味わったのだということ。

それがわかればいいではないか。

『インク』のラストでドアのむこうに追放されたランドールも、最初から悪者だったわけではない。

しかし、イケてる奴らとツルむことこそがステータス、という価値観を信じこんだがゆえに、彼はその後とことんライヴァルを憎み、容赦なく相手を痛めつけることができるモンスターになってしまった。

その顛末は『モンスターズ・インク』で描かれている。

$映★画太郎の MOVIE CRADLE $映★画太郎の MOVIE CRADLE


これはもっとも理想的な“プリークエル(前日譚)”といえるんではないか。

$映★画太郎の MOVIE CRADLE


『インク』ではヒマラヤに追放されてサリーにアイスを勧めてたイエティ(雪男)も再登場。

$映★画太郎の MOVIE CRADLE


NGシーンでもしつこく出てたあの事務のババァ(ロズ)も最後に出てきます。

$映★画太郎の MOVIE CRADLE


『モンスターズ・インク』を観てからこの映画を観るもよし、この映画を観てから『モンスターズ・インク』を観るもよし。

ともかく2作つづけて観ると感動倍増。

たしかに1作目あっての2作目だと思うけど、これは続篇としてはかなり質の高い作品なんじゃないでしょうか。

けっこう身につまされながらも、最後にはやっぱりグッときちゃう、そんな映画でしたよ。

どうやら一時期ピクサー映画では恒例だったエンドクレジットでのNGシーンはネタが尽きたのか子どもたちにウケなくなっちゃったからなのか最近はやってないようですが、個人的にはオマケとして好きだったんでまたいつか復活させてほしいな。



追記:

その後、8/3に吹き替えで2回目の鑑賞。

1回目も2回目も2Dで観たけど、じゅうぶん楽しめました。

観たのがどちらも夜だったからというのもあって、夏休みシーズンではあるけれど客席には子どもたちはいなくて若いカップルがほとんど。

子どもでも大丈夫だけど、やっぱりこれは学生生活を経験した人たちにこそより深く理解できる作品なんだろうなぁ。

予告篇が流れてたディズニーの最新作『プレーンズ』も、この『ユニバーシティ』と似たようなテーマっぽい。

こちらも楽しみです(※結局いまだに観てない^_^;)。


関連記事
『2分の1の魔法』
『シュガー・ラッシュ:オンライン』と『モンスターズ・ユニバーシティ』
『インサイド・ヘッド』



モンスターズ・ユニバーシティ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド...

¥3,888
Amazon.co.jp

モンスターズ・インク [DVD]/ビリー・クリスタル,ジョン・グッドマン,ジェームズ・コバーン

¥1,890
Amazon.co.jp

トイ・ストーリー DVD・トリロジー・セット (期間限定)/ディズニー

¥5,250
Amazon.co.jp



にほんブログ村 映画ブログへ にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ