10万円の定額給付金について、池上彰さんがおおむね以下のようにお話になりました。

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当然、それだけのお金をどこから持って来るの、ということになれば、もちろん借金で賄うということです。
皆さんに10万円ずつ寄付がされたでしょう。国が借金をして10万円ずつ配っているわけです。ということは、いずれ返さなきゃいけない。
よく考えると、将来からの前借りなんです。皆さん方がこれから一所懸命稼いで税金を納めて、借金を返済してください、という話です。

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池上さんの頭のなかには「"労働力"が湧いてくる泉」みたいなものがあるのでしょう。
政府が配るカネは、その泉の中の小びと?みたいなのから借りてくるのです。借金ですね。
そしてそれを使うと、小びとがわらわら出てきて、食べ物をつくったり、建物をたてたり、教育をしたり、医療を施したり、まあ色々してくれるという。

でも小びとらは、その代金をキッチリ請求してくる。もちろん国民は政府から受け取ったカネを払います。しかしそれは、もともとは政府が小びとの国から借りたカネですから、いつかは返さなければならない。
だから、国民は税金を納めて、政府はそれをもって小びとの国に返済すると。

そういう話なら理解できるのですが。
これで合ってますかね、池上さん。

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親がカネを借りたまま死んだとします。
そして、子はそれを相続し、借金を背負ったとします。
子は、借金の返済が必要です。―――(A)

子にとってみれば「ただ働き」ということになります。
だって、自分は何もしてもらっていないのだから。

単純に考えて、世代を超えた借金の返済とは、後の世代にとっての「ただ働き」を意味します。
では、この定額給付金12兆円(B)という借金は(そのとおり借金であるのは確かです)、我々の子の世代が12兆円の「ただ働き」をしなければならないこと、を意味するのでしょうか。
つまりこの12兆円はすでに使われ(実際に使われた額は遥かに少ないでしょうが)、すなわち、カネを使うことによって得る利益をすでに実現―――たとえばどんちゃん騒ぎや高級車の乗り潰しなど―――し、残ったのは借金だけ、ということになるのでしょうか。


な り ま せ ん 。


その、どんちゃん騒ぎ、高級車の乗り潰し、などを実現するために、

誰がはたらき、そして誰が代金を手にしたのか

という問題です。
働き、代金を手にしたのは小びとではないのですよ、池上さん。おなじ日本国民です。(A)の借金と(B)の借金は、まったく意味が異なるのです。
その、おなじ日本国民は、現に「カネを払ってもらえるなら働くよ」と言っています。ならば、働いてもらえばいと思いますよ。
私は、経済的にまずい状況においては、そして日本のような条件を備えているのであれば、ひとびとが一生懸命に働いたほうが絶対に事態は好転すると確信しています。

でないと、

「そんなどんちゃん騒ぎは、ちょっとウチでは無理。材料もないし料理人もいないし」

「高級車?ないよ。外国で買ってくれ」


という国になります。
ひとびとが働かない、とは、そういうことです。
それが、毎度毎度おなじことを言いますが、後世への最低最悪のツケなのではありませんか。