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この話ですが、


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政府、少子化対策で新婚世帯に60万円給付 現行額から倍増し条件も緩和(産経)

内閣府は20日、少子化対策の一環として、新婚世帯の家賃や敷金・礼金、引っ越し代など新生活にかかる費用について、来年度から60万円を上限に補助する方針を固めた。現行額から倍増し、対象年齢や年収条件を緩和する。経済的理由で結婚を諦めることがないよう後押しする狙い。

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内閣府の資料を見てみたところ(探しにくいんだよねえ…)、どうやら予算としては3.5億円程度。この記事が報じたのは「支給の対象を広げる」ということであり、予算額を増やすとは書かれていないのですが、まあ素直に倍増だとしましょうか。
すると約7億円か?
給付額の60万円で割ると、1166件です。
30万円なら2300件くらいか。


これ、ニュースにする価値ある?


例のアベノマスクの予算の、いったい何分の一なのかと。カネ持ってる県がその気になれば、単独でもできそうですが…。
もちろん「やらないよりは良い」んですよ。私は反対なんてしてませんので、誤解なきよう。なんか最近こればっかり言ってるなあ。
しかし、経済的な問題で結婚できないと言っている人々に「30万円」「60万円」出したところで、何ほどの価値があるのか微妙です。真に価値があるのは、

①「結婚できない」→「これなら結婚に踏み切れる」

という変化です。これなら素晴らしい。
そしてもちろん、そういう例だってあり得ます。あり得ますが、

②「給付金が無くても結婚はする予定」→「60万円あればなお助かる」

という場合、まあ需要という点ではもちろんプラスですが、政策の本質的な意味からはズレます。①はつまり「60万円があるなら結婚できる(=60万円が無ければ諦める)」ということですが、そんなギリギリの線上にいる人たちがどれほどいるのやら…。
実際にこの制度を利用する人の多くは②ではないかと。結婚自体はもうほとんど決まっているんですよ。その上で、この制度を利用する。
つまり、予算を全額使いきったとしても、それは、

1166件の結婚を創出した

ことにはなりません。
子育ては、高等教育まで考えるなら〇千万円というオーダーの金が必要です。しかも住宅や自動車などと違って「いざとなれば売ればいい」は絶対使えないのだから、一定以上の収入を長期間見込める人でなければ、60万円で結婚に踏み切ることはできないでしょう。
また、仮に踏み切れる人がいたとしても、繰り返しますが予算があまりに少ない。あの「GoTo」だって一国経済にとっては極めて少額ですが、それと比べても五桁少ない(笑)という。

この、誤差以下の予算で「やってる感」を出せれば、政権にとっては安い買い物でしょう。
何度も繰り返して恐縮ですが、私はこの事業自体に反対はしていません。やっていいんです。しかし、経済回復、出生数回復などマクロの問題を解決するのに、これで一歩でも進んだとか、政治はよくやっているとか、そういう評価は簡単には下せないということです。

政策の中身を見るのは当然大事なことですが、予算規模も同じくらい重要です。両方そろわないと意味はありません。



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