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先日、アメリカ在住の旧くからの知り合い(日本人・女・Aとする・米国人の夫あり)と長話をする機会がありました。
その際、日本の社会保障の手厚さというものを改めて実感しましたね。
この人のダンナを取りあえずBさんとしておきますが、Bさんがケガをしたらしく、病院の世話になるというハメになったそうで。


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(Aさん)
「で、この前の日曜日ににダンナ(Bさん)が怪我したわけよ」

(私)
「どういう怪我?」

(Aさん)
「子供連れて山に遊びに行ったんだけど、沼地みたいなところがあってね。そこで転んだの」

(私)
「あらら・・・で、どうした?」

(Aさん)
「腫れが酷くて『これは普通じゃないな』と思ったんだけど、その日はテーピングと冷やすのを繰り返した」

(私)
「ふむ。翌日から仕事だし大変やったな」

(Aさん)
「職場には、休む場合は12時間以内に連絡しなきゃならないっていうルールがあるから、仕方なしに出勤することにしたんだけどね」

(私)
「え? 行けたの?」

(Aさん)
「大変だったんだってば。松葉杖をお隣さんから借りてさぁ。それで定時出勤よ」

(私)
「いやいや、すぐ医者行けばええがな」

(Aさん)
「こっちは、よほどのことが無い限り、朝8時半以降でないと病院は電話にすら出ないの」

(私)
え、まじで? それは、キミが住んでいる、そこのド田舎だけなのではないかね・・・」

(Aさん)
「(怒)どこも似たようなもんじゃないの?」

(私)
「うーん。それからどうした」

(Aさん)
「勤務先から病院の予約して、午後2時半で取れた。で、"Foot Clinic"っていうところに行った」

(私)
「なんか脚専門っぽい名称やな。そういうの、あんまりこっちでは聞かんな・・・」

(Aさん)
「でね、こっちにはPCPっていう制度(?)があんのよ。"Primary Care Physician"。保険会社が認めた主治医のところに最初に診察に行って、そこで主治医が各専門医を紹介するわけ」

(私)
「エエェ~ メンドクセェ・・・(;´Д`) じゃあ、その次の段階はどこの専門医でも紹介してくれるわけ?」

(Aさん)
「No! 専門医も保険会社が指定した医者でないとダメ。うち、誰も大きな怪我したことないからよく知らなかった。というかダンナも知らなかったしwww」

(私)
「アメリカも厳格な契約社会だからなぁ。保険の約款ちゃんと読まない方が悪いってことになるんだろうなぁ・・・・・・え? 待てよ、じゃあその初診の"Foot clinic"の費用は? 保険適用は?」

(Aさん)
あるわけないじゃん。自費。

(私)
「そうなるのな orz」

(Aさん)
「それでも全くの無保険よりは遥かにマシなんだけどね。で、保険適用外とはいえ、痛みも酷いから"とりあえずX線撮ってくれ"って頼んだんだけど、」

(私)
「どっか折れてた?」

(Aさん)
「腓骨骨折だった。それでね、ギプスも自費だと300ドルもかかるのよこれが」

(私)
「ザッと2万4000円か・・・ まぁねぇ。こっちなら1万円しないくらいかなぁ」

(Aさん)
「それで、テーピングだけにしてもらった。診察料、X線、それからテーピングで250ドルだって!」

(私)
「カネやな。世の中カネという臭いがするな」

(Aさん)
「それで帰ってから保険会社が認定してる医者をネットでずっと探したんだけど、午後5時を過ぎたらどこも電話に出ないから、明日ってことにした」

(私)
「エェ~ いや、よう知らんけど、救急的なところってないのかね・・・ しかしまぁそれはそれでカネ取られるのか」

(Aさん)
「救急は後で出てくるんだけどね。で、次の日の朝、大体の目星を付けておいた病院に電話したんだけど、家から近いところが2カ所あったのよ」

(私)
「ほう。まぁ、それは一応良かったな」

(Aさん)
「でも、診察はだいたい2週間後って」

(私)
「何がやねん。骨が先にくっつくわハゲが。」

(Aさん)
「急ぐなら10日後くらいで何とか、だってさ。だから骨折だって言ってんのに!!」

(私)
「アカンでぇ~ これはアカンでぇ~」

(Aさん)
「それで、お隣さんに相談したら、"こういう時はER(救急)に行ったら主治医の診察を飛ばして専門医にかかれるよ"って教えてくれた」

(私)
「なるほど、そこでERが出てくるわけだな」

(Aさん)
「でも所詮はERで、骨折してるのにやっぱり応急処置しかしてもらえないのよ。そこでテーピングし直して、また150ドル取られた。でも無保険だったら1000ドルくらい取られるんだって。後で送られてきた明細で分かったんだけど」

(私)
「カネがあれば何でもできるが、カネが無ければ死ねいうことですな」

(Aさん)
「ああ、そういうことなんじゃない?」

(私)
「アッサリ肯定されると困るんだけど・・・」

(Aさん)
「そんでERから専門医を紹介してもらって、予約を入れてもらったんだけど、やっぱり『明日にしてくれ』だって」

(私)
「それ腰痛かなんかと勘違いしてない? ハゲなのか?ハゲあがってんのか?

(Aさん)
「ハゲって何? ・・・で、次の日の午前10時にやっと専門医のとこに行った」

(私)
「うむ。ここでようやく日本と同程度の状況になりましたな。ハゲは気にしないでくれたまえ」

(Aさん)
「と思ったら病院から電話があって、緊急の手術が入ったから明日にしてくれって。この時はさすがに笑えてきた」

(私)
「もう別の病院!!別の病院!!」

(Aさん)
「ダメだって。そういうルールは無いの。で、次の日にやっとギプスをしてくれた。ただギプスするのに4日もかかったわけ。こっちでは、おちおち怪我なんかしてらんないよ」

(私)
「怪我そのものより、むしろ病院の手続きだけでブルーなるわ!!病院の手続きするくらいなら保険なんか要らんみたいな本末転倒の混乱に陥るわ!!」

(Aさん)
「だから?なのか知らないけど、こっちの市販の薬ってやけに効き目が強いよ。例えば痛み止めとか咳止めなんかもかなり強いから、皆そういうので誤魔化して、病院に行かなくて済むようにしてんじゃない?」

(私)
「日本の寿命が世界トップクラスなのが分かる気がしたw」

(Aさん)
「アメリカって世界最高の医療技術持ってんじゃないの? 誰がそれに与れるの? 何のための技術? ・・・って思うけどね」

(私)
「まさに社会主義者が資本主義に対して怪気炎を吐く時に出てくるセリフだな・・・。結局、医療技術=資本主義的カネ儲けという部分が大きいんでしょうね」

(Aさん)
「あと、だいぶ前だけど、ダンナの仕事が変わって保険会社も変わったとき、子供の耳の手術の経過を見るだけなのに一度PCPのルールが適用されたことがあった」

(私)
「え? え? どういうこと?」

(Aさん)
「ただの手術の経過観察なのに、改めて新しい保険会社の主治医に診てもらって、そこから耳鼻科を紹介してもらうってこと」

(私)
「・・・がっ!!・・・ぎっ!!・・・ぐっ!!」

(Aさん)
結局同じ病院に行って、同じ医者に診てもらったけどねw カルテも同じの使ってるし」

(私)
「グガアァ ヌンドクセェ!!!!」


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最近は東南アジア各国などで老後を暮らす人々を紹介しては、さも「バラ色である」かのように言っていますが、人生で一番苦しみを味わう時はいつかといったら基本的には病気・怪我の時です。それも高齢になればなるほど病院の世話になる可能性は高くなり、また当然ながら症状も重くなりがちだし、完治までの時間も長くなります。

そういうところで、現地の人々と「本当に苦しいとき」にまで連携できるような人間関係を構築できる程度の社会性を持った人ならまぁ良いのかもしれませんが、「痛い」とコールすれば多くの場合は嫌な顔一つせずに飛んできてくれる日本の病院、そして何よりも言葉が通じるということのメリットを投げ捨ててまで「広い家と家政婦付き」に飛びつくことの意味を慎重に考えるべきでしょう。
何も考えずに「妻と2人だけでのんびりと」などという理想の暮らしが破綻する最たる理由である「傷病」を直視せずして安定した老後はありません。

上記のアメリカの話はほんの一例ですが、日本の医療は若干「過保護ではないか」とすら言える状況も散見されます。私の自宅の近所にある耳鼻科もジイさんバアさんが毎朝7時過ぎに大量に来てはNHKを見ながら井戸端会議をやっていますし、「本当に治療の必要があるのか」という場合も恐らく相当程度あるでしょう。



日本、医療の満足度15% 22カ国で最低レベル
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010041501000688.html

日米中など先進、新興22カ国を対象にした医療制度に関する満足度調査で、手ごろで良質な医療を受けられると答えた日本人は15%にとどまり、22カ国中最低レベルであることが15日分かった。

まぁこれはこれで一つの調査であり事実ですが、そのまんま単純に鵜呑みにして「日本の医療は最低レベル」などとホザく腐れドアホどもがいるのには心底辟易します。
そういう連中は、まず調査の方法自体を全く考慮していません。これは回答者自身の国の医療について「満足かどうか」を聞いたものであり、「他の国に比べてどうか」という質問ではありません。
日本人はどこまでも医療環境の快適さに貪欲であり、痛いのを治してもらえるのは当然だ、苦しさから解放されるのは患者の権利だと極めて強く考えていることが分かります。
そして重要なことには、医療関係者の多くもそうした国民性にマッチした精神を持っているということです。「たらい回し」の話などでよく医療界は叩かれます。確かに改善の余地もあるでしょう。しかし受け入れる側の劣悪な状況を考慮した報道というのはまずほとんど聞かれない。

そういう国民性の違いを考慮せずに同じ計測値、同じパーセンテージで評価し「日本は世界最低」と言われてもお前の頭が世界最低ではないのかと言わざるを得ません。


そもそも医療の目的は何ですか。


当たり前のことですが、医療とは、怪我を治し、病気を治し、「健康」や「長生き」に資し、国民が安心して毎日の生活をおくれるようにすることです。
決して、国民が「うちの国の医療は満足だ」と考えることが目的ではありません。

例えば冒頭の会話のようにギプスをするにも4日かかり、皆保険も無いような国で、上記の調査では満足度51%という結果が出ているのです。日本の軽く3倍以上が「満足」なのです。

上記の会話をご覧いただければ分かるとおり、アメリカは「カネさえあればどうとでもなる」ことが多いと言えます。しかし、


「満足でない49%の米国人」のうち、風邪すら治療できない人々がどれだけ多いと思っているのか。

「満足でない85%の日本人」のうち、金が払えなくて病気を自力で治している連中なんてどれだけいるのか。



こんな調査で「アメリカの医療は日本の3~4倍も満足度が高い」「日本の医療は全く駄目」「ほら見ろ、また救急車のたらい回しだ」などと判断するようでは終わっています。(←頭が)



WHOによる、「OECDの健康達成度総合評価」
http://www.minnanoshika.net/wiki/index.php?plugin=attach&pcmd=open&file=%B9%F1%CC%B1%B0%E5%CE%C5%C8%F1.pdf&refer=%BB%F5%B2%CA%B0%E5%CE%C5%A4%CE%CC%E4%C2%EA%C5%C0

はい、日本は191ヵ国中で1位です。
評価の基準は、


①「健康寿命」 単なる寿命ではなく、健康でいられる期間

②「健康寿命の地域格差」 ある特定の地域は不健康、などということがあってはならない

③「患者の自主決定権や、治療満足度」 患者は自分で治療方法等を選択できる

④「地域や人種などによる差別の程度」 医療が人を選別しない

⑤「医療費負担の公平性」 国民が同じ国民のために公平に負担している



です。
上にも書きましたが、医療のそもそもの目的は①~⑤に凝縮されています。これが191ヵ国中1位である日本の医療は、まさに世界最高峰ということになります。
最初に紹介した調査(日本人の医療不満足85%)などは③の一部分のみを調査した結果です。その国の医療レベルを計るにあたっては何の意味もありません。

また、それだけのことを実現しているからにはさぞかし金がかかっているのだろうと思われるでしょうが、医療費対GDP比はOECD30ヵ国中17位です。その点、ダントツで金を使っているアメリカ(1位)の総合達成度は191ヵ国中15位となっています。
これは日本の医師が少なく、あまり医療界は環境に恵まれていないことにもつながっています。

日本の医療関係者がどれだけ苦労しているのかも理解せずに、


日本、医療の満足度15% 22カ国で最低レベル
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010041501000688.html

↑↑↑

こういう数字だけを端的・単純に見て


「タライマワシ~ イリョウカゴ~ ケンイシュギ~」


などとネンブツのように唱えるなゴミども。
広島市長の「被爆援護には感謝を」という発言でも強く感じましたが、日本人は感謝というものを忘れて権利主張ばかり一人前になってきています。何も、現状からの改善を目指すなとは言っていません。ただ、国民の一人として感謝すべきは感謝しようと言っているのです。

というか共同通信も、もう少し註釈を入れるなりすりゃぁいいものを・・・。



各個人個人が満足かどうかは別として、
日本国の医療に少なくとも自分は感謝したい!!
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