旧約聖書①『天地創造』
旧約聖書②『エデンの園』
今回もよく知られている話です。
誰でも聞いたことのある名の人物が登場します。
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蛇にそそのかされて禁断の果実を食べてしまい、エデンを追い出されたアダムとエバの生活は激変しました。
彼らは働いて土から糧を得る必要に迫られ、かつては仲間であった野の獣から逃げ、隠れる必要に迫られました。そして神はもはや彼らに直接話をされることは無くなりました。それでも神はアダムとエバを愛し、彼らもまた神を愛していました。
時が経ち、エバは二人の男児を得、カインとアベルと名づけました。彼らは順調に成長し、ある時それぞれが作った祭壇に供え物をします。カインは野原の産物を、アベルは子羊を供えました。
日がたって、カインは地の産物を持ってきて、主に供え物とした。
アベルもまた、その群れのういごと肥えたものとを持ってきた。
主はアベルとその供え物とを顧みられた。しかしカインとその供え物とは顧みられなかったので、カインは大いに憤って、顔を伏せた。(創世記 / 4章3節~5節)
全力で供え物を用意したカインはこれに憤りましたが、神はこのように言われました。
正しい事をしたのなら、顔をあげよ。さもなければ、罪が門口に待ち伏せている。それはあなたを慕うが、それを治めねばならない」(創世記 / 4章3節~5節)
簡単に言うと、
「マズいことしたのなら反省しぃ」
と言われたわけです。
カインの憤怒は大きくなり、ある日、野原でアベルを殺しました。(最初の殺人。)
(ギュスターヴ・ドレ 1866)
これを知った神は大いに嘆き、憤り、カインを追放します。
そしてアベルの血は大地に注がれ、カインを呪うものとなりました。カインは今後、土から何を得ることもできないという罰を受けたのです。
しかし神はカインを見捨てられたわけではなく、カインを殺す者はその7倍の罪を負うとし、さらにカインを識別できる様に標をつけたのです。(創世記 / 4章9節~15節)
その後、カインはノドと呼ばれる地へ去っていきました。
神はカインに話しかけられることは無くなりましたが、決して見捨てられたわけではありませんでした。カインはやがて神により妻を得、町を作り、子孫は増えていくことになります。しかし不幸なことに、カインの一族は神を崇めることはありませんでした。
さて。
これから先は覚える必要も、その意味も全くありませんので、ザッと読んでください。
カインはやがて一人の子を得ます。名をエノクといいました。
エノクにはイラデという子が生まれ、
イラデにはメホヤエルが、
メホヤエルにはメトサエルが、
そしてメトサエルにはレメクという子が生まれました。(創世記 / 4章17節、18節)
このレメクは二人の妻を娶りました。
そのうちの一人アダはヤバルとユバルを産み、ヤバルは家畜を飼う者の先祖となり、ユバルは楽器を扱う者の先祖となりました。
また、もう一人の妻チラはトバルカインとナアマを産みました。トバルカインは鍛冶職人の先祖となりました。
そしてまた別方の家系です、何世紀にもわたり生き続けているアダムとエバはさらに一人の男児をもうけ、セツと名づけました。(創世記 / 5章3節)
セツは成長し、エノスという子が生まれ、
エノスにはカイナンが、
カイナンにはマハラレルは、
マハラレルにはヤレドという子が生まれました。(創世記 / 5章6~15節)
アダムとエバはセツが生まれてから800年後に息を引き取りますが、そのときはすでに子孫の数は膨大なものとなっていました。しかし同時に悪しき心を持った人も増え始めていました。
そんな中、神の心にかなう少数の人々はセツの子孫の中にいました。その一人がヤレドの子エノクで、もう一人はエノクの子メトセラでした。彼らはアダムのように神とともに歩み、神と話すことができました。
メトセラも子をもうけ、レメクという名を付けました。(創世記 / 5章25節)
そして、このレメクが182歳のときに子をもうけます。
「この子こそ、主が地をのろわれたため、骨折り働くわれわれを慰めるもの」と言い、その名をノアと名づけた。(創世記 / 5章29節)
さらにこのノアは500歳になったとき、セム、ハム、ヤペテという3人の子を得ました。
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言うまでもなく、ノアはセツの子孫の中で最も有名な人物です。
ノアが行ったことは映画にもなっていますし、そのずっと後世であるモーセの記述に至るまで、誰でも耳にしたことのある話はまだまだ続きます。
また、カインとアベルは非常に有名ですが、セツはカインとアベルの弟だということになります。彼らは二人兄弟だとばかり思っていましたが違うんですね。
さて。
いくつかの箇所で、話が破綻しているように思われます。笑
私は専門家でも何でもありませんし、聖書に詳しいわけでもありませんが、世界にはアダム、エバ、カイン、アベルの4人しか人類がいないはずだったのに、カインはノドの地でいきなり妻を娶りました。不思議ですねェ。その「妻」って誰やねんと思いますね。これは非常に謎な「第五の人物」です。
私も最初は、
「神はあくまでもイスラエルの祖先を創ったのであって、他の民族はまた別なのかな?」
とも思ったりしたのですが、そうではありません。やはり元をたどれば全ての民族はアダムとエバに行き着きます。そもそも神は天地を創造したわけですから、天地が無い状態で他の民族がすでに生まれていたというのも不自然です。
うーん謎だ。
もちろん、この辺りは色々な解釈があるのかもしれません。しかし聖書そのものはもちろんのこと、これを物語風にした本でも何の記述もありませんので、聖書という超古典の不合理な部分の一つなのでしょうか。
個人的な考えとしては、アダムとエバの間に生まれた子はカインとアベルだけでなく、非常にたくさんいたのではないかと思います。その中の誰か、またはそれらの子孫(カインにとっては姪などに当たる)を妻にしたのではないかと。
聖書には「二人兄弟だった」なんて記述も特にありませんし、それなら不自然というほどでもありません。
ちなみに、
アダムがセツを生んで後、生きた年は八百年であって、ほかに男子と女子を生んだ。(創世記 / 5章4節)
という記述があります。
この辺を見ても、「その他大勢」というのは省略されても不思議ではないなと思いますね。
そして、カインは神に追放された時、誰かに殺されることを恐れていた様子がうかがえます。(創世記 / 4章14節)
それを見ても、この主要な4人以外にもたくさんの人がすでにいた・・・という解釈になるのでしょう。
というか、最初は年齢が800歳とか900歳なんてザラに出てきますし、あまり細かいことを考えても仕方がないような気もしますw
あとは近親相姦の問題とかですね。(^^;
そういう倫理観を古典に持ち出すのもヤボですが。(まぁ遺伝子欠損も無かったろうから問題無いのか?)
旧約聖書②『エデンの園』
今回もよく知られている話です。
誰でも聞いたことのある名の人物が登場します。
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蛇にそそのかされて禁断の果実を食べてしまい、エデンを追い出されたアダムとエバの生活は激変しました。
彼らは働いて土から糧を得る必要に迫られ、かつては仲間であった野の獣から逃げ、隠れる必要に迫られました。そして神はもはや彼らに直接話をされることは無くなりました。それでも神はアダムとエバを愛し、彼らもまた神を愛していました。
時が経ち、エバは二人の男児を得、カインとアベルと名づけました。彼らは順調に成長し、ある時それぞれが作った祭壇に供え物をします。カインは野原の産物を、アベルは子羊を供えました。
日がたって、カインは地の産物を持ってきて、主に供え物とした。
アベルもまた、その群れのういごと肥えたものとを持ってきた。
主はアベルとその供え物とを顧みられた。しかしカインとその供え物とは顧みられなかったので、カインは大いに憤って、顔を伏せた。(創世記 / 4章3節~5節)
全力で供え物を用意したカインはこれに憤りましたが、神はこのように言われました。
正しい事をしたのなら、顔をあげよ。さもなければ、罪が門口に待ち伏せている。それはあなたを慕うが、それを治めねばならない」(創世記 / 4章3節~5節)
簡単に言うと、
「マズいことしたのなら反省しぃ」
と言われたわけです。
カインの憤怒は大きくなり、ある日、野原でアベルを殺しました。(最初の殺人。)
(ギュスターヴ・ドレ 1866)
これを知った神は大いに嘆き、憤り、カインを追放します。
そしてアベルの血は大地に注がれ、カインを呪うものとなりました。カインは今後、土から何を得ることもできないという罰を受けたのです。
しかし神はカインを見捨てられたわけではなく、カインを殺す者はその7倍の罪を負うとし、さらにカインを識別できる様に標をつけたのです。(創世記 / 4章9節~15節)
その後、カインはノドと呼ばれる地へ去っていきました。
神はカインに話しかけられることは無くなりましたが、決して見捨てられたわけではありませんでした。カインはやがて神により妻を得、町を作り、子孫は増えていくことになります。しかし不幸なことに、カインの一族は神を崇めることはありませんでした。
さて。
これから先は覚える必要も、その意味も全くありませんので、ザッと読んでください。
カインはやがて一人の子を得ます。名をエノクといいました。
エノクにはイラデという子が生まれ、
イラデにはメホヤエルが、
メホヤエルにはメトサエルが、
そしてメトサエルにはレメクという子が生まれました。(創世記 / 4章17節、18節)
このレメクは二人の妻を娶りました。
そのうちの一人アダはヤバルとユバルを産み、ヤバルは家畜を飼う者の先祖となり、ユバルは楽器を扱う者の先祖となりました。
また、もう一人の妻チラはトバルカインとナアマを産みました。トバルカインは鍛冶職人の先祖となりました。
そしてまた別方の家系です、何世紀にもわたり生き続けているアダムとエバはさらに一人の男児をもうけ、セツと名づけました。(創世記 / 5章3節)
セツは成長し、エノスという子が生まれ、
エノスにはカイナンが、
カイナンにはマハラレルは、
マハラレルにはヤレドという子が生まれました。(創世記 / 5章6~15節)
アダムとエバはセツが生まれてから800年後に息を引き取りますが、そのときはすでに子孫の数は膨大なものとなっていました。しかし同時に悪しき心を持った人も増え始めていました。
そんな中、神の心にかなう少数の人々はセツの子孫の中にいました。その一人がヤレドの子エノクで、もう一人はエノクの子メトセラでした。彼らはアダムのように神とともに歩み、神と話すことができました。
メトセラも子をもうけ、レメクという名を付けました。(創世記 / 5章25節)
そして、このレメクが182歳のときに子をもうけます。
「この子こそ、主が地をのろわれたため、骨折り働くわれわれを慰めるもの」と言い、その名をノアと名づけた。(創世記 / 5章29節)
さらにこのノアは500歳になったとき、セム、ハム、ヤペテという3人の子を得ました。
------
言うまでもなく、ノアはセツの子孫の中で最も有名な人物です。
ノアが行ったことは映画にもなっていますし、そのずっと後世であるモーセの記述に至るまで、誰でも耳にしたことのある話はまだまだ続きます。
また、カインとアベルは非常に有名ですが、セツはカインとアベルの弟だということになります。彼らは二人兄弟だとばかり思っていましたが違うんですね。
さて。
いくつかの箇所で、話が破綻しているように思われます。笑
私は専門家でも何でもありませんし、聖書に詳しいわけでもありませんが、世界にはアダム、エバ、カイン、アベルの4人しか人類がいないはずだったのに、カインはノドの地でいきなり妻を娶りました。不思議ですねェ。その「妻」って誰やねんと思いますね。これは非常に謎な「第五の人物」です。
私も最初は、
「神はあくまでもイスラエルの祖先を創ったのであって、他の民族はまた別なのかな?」
とも思ったりしたのですが、そうではありません。やはり元をたどれば全ての民族はアダムとエバに行き着きます。そもそも神は天地を創造したわけですから、天地が無い状態で他の民族がすでに生まれていたというのも不自然です。
うーん謎だ。
もちろん、この辺りは色々な解釈があるのかもしれません。しかし聖書そのものはもちろんのこと、これを物語風にした本でも何の記述もありませんので、聖書という超古典の不合理な部分の一つなのでしょうか。
個人的な考えとしては、アダムとエバの間に生まれた子はカインとアベルだけでなく、非常にたくさんいたのではないかと思います。その中の誰か、またはそれらの子孫(カインにとっては姪などに当たる)を妻にしたのではないかと。
聖書には「二人兄弟だった」なんて記述も特にありませんし、それなら不自然というほどでもありません。
ちなみに、
アダムがセツを生んで後、生きた年は八百年であって、ほかに男子と女子を生んだ。(創世記 / 5章4節)
という記述があります。
この辺を見ても、「その他大勢」というのは省略されても不思議ではないなと思いますね。
そして、カインは神に追放された時、誰かに殺されることを恐れていた様子がうかがえます。(創世記 / 4章14節)
それを見ても、この主要な4人以外にもたくさんの人がすでにいた・・・という解釈になるのでしょう。
というか、最初は年齢が800歳とか900歳なんてザラに出てきますし、あまり細かいことを考えても仕方がないような気もしますw
あとは近親相姦の問題とかですね。(^^;
そういう倫理観を古典に持ち出すのもヤボですが。(まぁ遺伝子欠損も無かったろうから問題無いのか?)