第13回:大手企業に転職して気づいた『組織の病』ー 変革はなぜ難しいのか
こんにちは。前回は、外資系企業で学んだ「グローバル人材」の本当の意味についてお話ししました。
今回は、外資系企業から大手日系企業に転職して、最も衝撃を受けた「組織の病」について書きたいと思います。なぜ、誰もが「変えなければ」と思っているのに、組織は変わらないのか。この3年間で見えてきたことをお話しします。
「変革を期待されて」入社した
40代前半、私は大手日系企業に転職しました。
面接で役員がこう言いました。
「我が社には、外資系企業での経験を持つ人材が必要だ。古い体質を変えてほしい。あなたの経験を活かして、組織に新しい風を吹き込んでほしい」
私も意気込んでいました。
外資系企業で学んだ効率的な仕事の進め方、グローバルスタンダードの手法、スピード感のある意思決定。
これらを持ち込めば、きっと組織は良くなる。そう信じていました。
入社初日の違和感
しかし、入社初日から違和感を覚えました。
朝8時に出社すると、既に多くの社員が席に座っていました。
でも、仕事をしているようには見えませんでした。
- 新聞を読んでいる人
- ネットサーフィンをしている人
- 誰かが来るのを待っているような人
そして9時になると、朝礼が始まりました。
30分間、上司の訓示を聞く。内容は、精神論と過去の成功体験の繰り返し。
「我が社の伝統を守り...」
「創業者の精神に立ち返り...」
「もっと気合を入れて...」
外資系企業なら、この30分で重要な意思決定ができたはずです。
最初の提案、そして拒絶
入社1ヶ月後、私は改善提案書を作成しました。
提案内容:
- 週次定例会議の時間を半分に短縮
- 報告書のフォーマット統一と簡素化
- 意思決定プロセスの明確化
- プロジェクト管理ツールの導入
- 1on1ミーティングの実施
外資系企業では当たり前のこれらの施策を、日本語で丁寧に説明した資料を作り、部長に提出しました。
部長の反応
部長は資料を一通り読んだ後、こう言いました。
「うん、良く書けているね。でも...」
「でも」の後に続いたのは、予想外の言葉でした。
「我が社には、我が社のやり方がある。外資のやり方をそのまま持ち込むのは難しい。まずは、この会社の文化を理解することから始めてほしい」
私:「でも、これらは文化ではなく、効率化の手法です。どこでも使えるものだと...」
部長:「君の気持ちは分かる。でも、焦らないでほしい。この会社には、長年培ってきたものがある。それを尊重しながら、少しずつ変えていこう」
結果:提案は棚上げされました。
次々と見えてきた「組織の病」
その後の3年間で、私は大手企業特有の「組織の病」を数多く目の当たりにしました。
病①:「前例主義」という思考停止
「前例がない」という魔法の言葉
何か新しいことを提案すると、必ず返ってくる言葉がありました。
「前例がないんだよね」
- 新しいツールを導入しよう → 前例がない
- 働き方を変えよう → 前例がない
- 意思決定プロセスを変えよう → 前例がない
「前例がない」は、「やらない理由」として機能していました。
「前例がある」ことの価値
逆に、「前例がある」ことは、それだけで正当性を持ちました。
非効率でも、時代遅れでも、「前例がある」なら続けられる。
ある会議で、私はこう聞きました。
「この報告書、誰が読んでいるんですか?」
先輩社員:「さあ...でも、昔からやっているから」
誰も読まない報告書を、「前例があるから」という理由だけで作り続けている。
外資系企業との違い
外資系企業では、「前例がない」ことは、むしろチャンスでした。
ミハエル:「前例がない?素晴らしい。新しい道を作れるということだ」
前例がないからこそ、イノベーションが生まれる。
この考え方の違いが、組織の活力を決めているのだと痛感しました。
病②:「減点主義」という恐怖政治
失敗は許されない
大手企業では、失敗が致命的なダメージになります。
一度失敗すると、その記録は人事ファイルに残り、出世の道が閉ざされる。
だから、誰も挑戦しません。
リスクを取らない文化
ある若手社員が、新しいプロジェクトに挑戦したいと言いました。
先輩社員たちの反応:
「やめておけ。うまくいかなかったら、評価が下がるぞ」
「無難な仕事をしていれば、定年まで安泰だ」
「目立つと、叩かれるぞ」
挑戦しないことが、リスク管理になっている。
外資系企業の「加点主義」
ミハエルはこう言っていました。
「失敗は問題じゃない。挑戦しないことが問題だ」
外資系企業では、挑戦して失敗した人より、何もしなかった人の方が評価が低い。
失敗から学び、次に活かせばいい。
この「加点主義」が、イノベーションを生んでいました。
実際に起きたこと
ある部門で、新規事業の提案がありました。
リスクはあるが、成功すれば大きな利益が見込める内容でした。
会議での議論:
「失敗したら、誰が責任を取るんだ?」
「リスクが高すぎる」
「もっと慎重に検討すべきだ」
結果、提案は却下されました。
そして、その事業は競合他社が始め、大成功を収めました。
病③:「根回し」という時間の浪費
会議前に決まっている
大手企業の会議は、実は「儀式」でした。
本当の意思決定は、会議の前に行われています。
根回しのプロセス
あるプロジェクトの承認を得るため、私はこのプロセスを強いられました。
-
まず、直属の上司に説明(1週間前)
- 資料を作成し、説明
- 修正指示を受ける
-
次に、関連部署の課長に個別説明(5日前)
- 各部署を回って説明
- それぞれの懸念事項を聞く
- 資料を修正
-
部長に事前説明(3日前)
- 再度資料を修正
- 承認を得る
-
役員に根回し(前日)
- 秘書にアポイントを取る
- 簡潔に説明
- 質問に答える
-
そして、会議当日
- 全員が既に内容を知っている会議
- 形式的な承認
- 30分の会議
承認までに3週間、説明を7回繰り返しました。
外資系企業なら30分
外資系企業なら、このプロセスは会議1回で終わります。
- 資料を事前共有(48時間前)
- 会議で議論(30分)
- その場で決定
意思決定に3週間ではなく、2日です。
なぜ根回しが必要なのか
ある先輩社員が教えてくれました。
「会議で初めて聞いた話に反対すると、提案者の顔を潰すことになる。だから、事前に全員の了解を取っておく必要がある」
「和を乱さない」ことが、効率より優先されている。
病④:「年功序列」という能力無視
年齢=地位
大手企業では、年齢と地位がほぼ比例します。
- 30代:一般社員
- 40代:課長クラス
- 50代:部長クラス
能力や成果に関係なく、年齢で決まる。
優秀な若手の限界
私のチームに、非常に優秀な30代の社員がいます。
彼は、外資系企業なら確実にマネージャーになれる能力を持っています。
でも、この会社では「まだ30代だから」という理由で、係長止まりです。
一方、50代の部長の中には、正直、能力に疑問符がつく人もいます。
でも、「長年勤めてきたから」という理由で、その地位にいます。
モチベーションの喪失
優秀な若手社員が、私にこう言いました。
「どれだけ頑張っても、評価は年齢で決まる。だったら、頑張る意味がないですよね」
年功序列が、優秀な人材のモチベーションを奪っている。
外資系企業の実力主義
外資系企業では、年齢は関係ありませんでした。
20代で部門責任者になる人もいれば、50代でも一般社員の人もいる。
すべては、成果と能力で決まります。
この緊張感が、全員を成長させていました。
病⑤:「本社至上主義」という官僚制
すべては本社が決める
大手企業では、すべての決定が本社に集中しています。
現場の判断で決められることは、ほとんどありません。
実際に経験したこと
ある製造拠点で、小さな改善提案がありました。
コストは10万円。効果は年間50万円のコスト削減。
明らかに良い提案でした。
でも、承認プロセスはこうでした。
- 現場から工場長へ稟議
- 工場長から本社の製造部へ
- 本社製造部から経営企画部へ
- 経営企画部から財務部へ
- 財務部から役員会へ
10万円の支出に、6つの承認が必要。
承認が下りたのは、3ヶ月後でした。
現場の無力感
現場の社員が、こう嘆いていました。
「自分たちで何も決められない。すべて本社にお伺いを立てる。これじゃあ、考える必要がない」
中央集権が、現場の思考を停止させている。
外資系企業の権限委譲
外資系企業では、各マネージャーに明確な権限がありました。
予算の範囲内なら、自分の判断で決定できる。
ミハエル:「権限を持つということは、責任を持つということだ。私は君を信頼して権限を委譲する。君は結果で応えてくれ」
この権限委譲が、スピード感のある意思決定を可能にしていました。
病⑥:「会議のための会議」という無限ループ
会議が会議を生む
大手企業では、会議が異常に多いことは以前にも書きました。
でも、さらに深刻なのは、会議が会議を生む無限ループです。
典型的なパターン
月曜日:「来週の会議の議題を決める会議」
水曜日:「会議の資料を検討する会議」
金曜日:「本番の会議」
翌月曜日:「会議の結果を報告する会議」
翌水曜日:「報告を受けた上層部の会議」
1つのテーマで、5回の会議。
会議のための資料作り
そして、これらの会議のために、膨大な資料を作ります。
ある若手社員は、資料作成に週の半分を費やしていました。
彼の仕事は、実質的に「会議資料を作ること」になっていました。
外資系企業の「会議は最小限」
ミハエルの言葉を思い出します。
「会議は、意思決定のためにある。意思決定が必要ないなら、会議は不要だ」
外資系企業では、会議の前に会議をすることなど、考えられませんでした。
なぜ変革は難しいのか?
3年間、組織を変えようと試みてきました。
小さな成功もありましたが、大きな壁に何度もぶつかりました。
そして、気づいたことがあります。
理由①:「変化」自体が脅威
現状維持バイアス
人間は、本能的に変化を恐れます。
現状維持バイアスという心理学の概念があります。
変化によって得られる利益よりも、変化によって失うかもしれないものを重視してしまう傾向です。
大手企業の社員の本音
ある40代の社員と飲みに行った時、彼は本音を語ってくれました。
「正直、今のやり方が効率的だとは思っていない。でも、変えるのは面倒だ」
「新しいやり方を覚えるのは大変だし、うまくいかなかったら責任を取らされる」
「今のままなら、あと10年で定年だ。それまで波風立てずに過ごしたい」
変化のコスト > 変化のメリット
こう感じている人が、組織の大半を占めていました。
「失うもの」が見える人たち
さらに深刻なのは、変革によって実際に「失うもの」がある人たちの抵抗です。
- 権限を失う管理職
- 既得権益を失う部署
- 専門性が陳腐化する年配社員
彼らにとって、変革は生存の脅威です。
だから、表立って反対はしないものの、巧妙に抵抗します。
理由②:「成功体験」という呪縛
「過去の成功」への固執
大手企業の多くは、かつて大きな成功を収めた企業です。
そして、その成功体験が、今も組織を支配しています。
ある役員の言葉
経営会議で、私が改善提案をした時のことです。
60代の役員がこう言いました。
「我が社は、このやり方で成長してきた。それを変える必要があるのか?」
「若い人は、すぐに新しいことをやりたがる。でも、伝統と実績を軽視してはいけない」
私:「でも、市場環境は変わっています。競合他社は...」
役員:「我が社には、我が社の強みがある。それを信じて、着実にやっていけば良い」
「過去に成功した方法」が、「未来も成功する方法」だという思い込み。
「ゆでガエル」現象
徐々に環境が変化しているのに、組織はそれに気づかない。
過去の成功体験という温かい水の中で、茹でられていることに気づかないカエルのように。
気づいた時には、手遅れになっている。
理由③:「責任の所在」が不明確
誰が決めるのか分からない
大手企業では、「誰が最終的に決めるのか」が不明確です。
稟議書は何人もの判子を押されて回りますが、誰も「私が決めた」とは言いません。
実際に経験したこと
あるプロジェクトで、重要な判断を迫られた場面がありました。
私:「部長、この件、どう判断しますか?」
部長:「うーん、これは役員の判断だね」
役員:「いや、これは現場の判断だろう。部長に任せる」
部長:「でも、最終的には役員の承認が...」
役員:「承認はするが、提案は現場からだろう」
誰も決めない。決めたくない。
「決めない」ことの安全性
決めなければ、責任を取る必要がない。
問題が起きても、「私は反対だった」「十分に検討していなかった」と言い訳できる。
この「決めない文化」が、組織を停滞させています。
外資系企業の明確な責任
ミハエルはこう言っていました。
「決めることが、マネージャーの仕事だ。決めないマネージャーは、マネージャーではない」
外資系企業では、決定権者が明確でした。
そして、決めた人が責任を取る。
この明確さが、スピーディな意思決定を可能にしていました。
理由④:「同調圧力」という見えない壁
「出る杭は打たれる」
日本社会の同調圧力は、組織内でも強力に機能しています。
変革を提案する人は、「協調性がない」「空気が読めない」と見なされます。
私が経験した圧力
改善提案を続けていた私に、ある先輩がこう忠告してくれました。
「お前、あまり目立たない方がいいぞ」
「『外資出身者は、やり方が違う』って、陰で言われているぞ」
「もっと、周りに合わせた方がいい」
変革を試みる人が、異端者として扱われる。
「みんな同じ」の安心感
日本企業では、「みんな同じ」であることが、安心感を生みます。
同じ時間に出社し、同じように働き、同じように定年を迎える。
この「同じであること」から外れることを、組織は許容しません。
チャレンジする人への冷ややかな視線
新しいことに挑戦する若手社員に対して、先輩たちはこう言います。
「まだ若いから、理想を語れるんだよ」
「そのうち、分かるようになる」
「現実はそんなに甘くない」
挑戦を「若気の至り」として片付ける。
これが、組織の新陳代謝を止めています。
理由⑤:「時間軸」が長すぎる
「長期的に考えよう」という先送り
大手企業では、「長期的視点」が重視されます。
一見、良いことのように思えますが、実際には「今、変えなくていい理由」として使われています。
典型的な会話
私:「この問題、今すぐ対応すべきです」
上司:「焦らないで、長期的に考えよう」
私:「でも、競合他社は既に動いています」
上司:「我が社は100年企業だ。目先の動きに惑わされず、じっくり取り組もう」
「長期的」という言葉が、「何もしない」言い訳になっている。
外資系企業のスピード感
外資系企業では、「今四半期」「今年度」が最重要でした。
3ヶ月後の業績、1年後の目標。
この短いタイムスパンで、常に成果を求められます。
ミハエル:「5年後のことは分からない。でも、今すぐやるべきことは明確だ。それを実行しよう」
このスピード感が、組織を前に進めていました。
私が実践した「小さな変革」
大きな組織を一気に変えることは不可能だと悟りました。
でも、諦めたわけではありません。
自分の影響力が及ぶ範囲で、小さく変革を始めました。
戦略①:自分のチームから変える
組織全体を変えることは無理でも、自分のチームなら変えられる。
私は、担当する20名のチームで、以下のことを実践しました。
実践したこと:
- 週次定例会議を30分に短縮
- 報告書のフォーマットを簡素化
- 1on1ミーティングの実施
- 若手の提案を積極的に採用
- 失敗を責めない文化の醸成
抵抗もあった
もちろん、最初は抵抗もありました。
「今までのやり方を変える必要があるのか」
「他の部署と違うことをするのは問題では」
でも、粘り強く説明し、小さな成功体験を積み重ねることで、徐々に理解者が増えていきました。
1年後の変化
1年後、チームは明らかに変わりました。
変化の指標:
- プロジェクト完了率:60% → 85%
- 残業時間:月平均40時間 → 20時間
- メンバー満足度:社内最下位 → トップ3
- 若手からの提案件数:年2件 → 年20件
数字は嘘をつきません。
他部署からの問い合わせ
すると、他部署のマネージャーから問い合わせが来るようになりました。
「どうやって、チームを変えたんですか?」
「その手法を教えてほしい」
小さな成功が、波紋のように広がり始めました。
戦略②:「実験」として提案する
組織全体のルールを変えようとすると、大きな抵抗に遭います。
そこで、私は「実験」というアプローチを取りました。
提案の仕方:
❌ 「このルールを変更すべきです」
⭕ 「3ヶ月間、試験的にやってみませんか?」
期限を区切り、失敗しても元に戻せることを示すと、承認されやすくなります。
実際の成功例
会議時間の短縮を提案した時:
私:「3ヶ月間の実験として、会議を60分から30分に短縮してみませんか?もし問題があれば、元に戻します」
上司:「3ヶ月だけなら...やってみるか」
結果、会議時間は半減し、決定事項は増えました。
3ヶ月後、誰も元に戻そうとは言いませんでした。
戦略③:データで示す
感情論では、組織は動きません。
データで示すことで、説得力が増します。
私が集めたデータ:
- 会議時間の総計と生産性の相関
- 報告書作成時間とその活用度
- 意思決定にかかる時間と機会損失
- 従業員満足度と離職率の関係
数字で示すと、「何となく」の反論ができなくなります。
戦略④:味方を増やす
一人で戦っても、組織は変わりません。
味方を増やすことが重要です。
味方作りの方法:
- まず、若手社員に働きかける(彼らは変化を求めている)
- 次に、同世代の管理職を説得する
- 理解ある上層部を見つける
- 外部の事例を示す(「他社はこうやっている」)
少しずつですが、変革の輪が広がっていきました。
戦略⑤:忍耐強く、諦めない
最も重要なのは、これです。
諦めないこと。
提案が却下されても、次の機会を狙う。
批判されても、改善を続ける。
抵抗に遭っても、説得を続ける。
すぐには変わらなくても、3年続ければ、確実に変化は起きます。
変革の「芽」は確実に育っている
3年間の試行錯誤を経て、今、確かな手応えを感じています。
若手社員の変化
私のチームの若手社員が、他部署に異動しました。
すると、その異動先でも、彼は学んだ手法を実践し始めました。
1on1ミーティング、効率的な会議運営、データに基づく提案。
変革の種が、組織に撒かれ始めています。
経営層の気づき
最近、経営会議に呼ばれました。
役員がこう言いました。
「君のチームの生産性が、社内で突出して高い。何をやっているのか、全社に展開できないか?」
数字が、経営層を動かし始めています。
社外からの評価
取引先から、こんなコメントをもらいました。
「御社の○○チーム(私のチーム)は、他のチームと明らかに違う。レスポンスが早く、意思決定がスピーディだ」
外部からの評価が、社内での説得力を増しています。
それでも、変革は遅い
正直に言えば、変化のスピードは遅いです。
外資系企業なら3ヶ月で実現できることが、大手企業では3年かかります。
時に、イライラします。
時に、諦めたくなります。
でも、それでも続けています。
なぜか?
なぜ変革を続けるのか
理由①:次の世代のために
私の下には、優秀な若手社員がたくさんいます。
彼らが、無駄な会議や非効率な仕事に時間を奪われ、
才能を発揮できずに、モチベーションを失っていくのを見るのは辛いです。
次の世代が、もっと働きやすい環境を作りたい。
それが、私の動機です。
理由②:日本企業の未来のために
日本企業は、このままでは世界との競争に勝てません。
意思決定が遅く、変化に対応できず、優秀な人材が流出していく。
でも、日本企業には、素晴らしい技術と人材があります。
組織の仕組みさえ変われば、まだまだ戦える。
そう信じています。
理由③:自分自身の成長のために
組織を変えようとすることは、自分自身の成長にもつながります。
抵抗に遭い、批判され、時に孤立する。
この経験が、私を強くしています。
外資系企業では味わえなかった、「日本企業を内側から変える」という挑戦。
これは、私のキャリアにおける最大のチャレンジです。
諦めたら、そこで成長は止まります。
ミハエルからのメッセージ
先日、久しぶりにミハエルと連絡を取りました。
私が大手企業での苦労を話すと、彼はこう言いました。
「ケンジ、君は今、最も難しい仕事に挑戦している」
「外資系企業で働くのは、ある意味簡単だ。既に効率的なシステムがあるから」
「でも、古い組織を変革するのは、本当に難しい。なぜなら、システムだけでなく、人の心を変える必要があるから」
「でも、それができたら、君は本物のチェンジリーダーだ」
この言葉が、今も私を支えています。
日本企業は変われるのか?
読者の皆さんは、こう思うかもしれません。
「結局、日本企業は変われないんじゃないか?」
私の答えは、「変われる」です。
ただし、条件があります。
条件①:危機感を共有すること
組織が変わるためには、まず危機感の共有が必要です。
「このままではまずい」という認識を、経営層から現場まで共有する。
数字で示す。事実で示す。競合との差を示す。
抽象的な危機感ではなく、具体的な危機感を。
条件②:小さな成功体験を積むこと
一気に変えようとしても、失敗します。
まず、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。
「変えたら、良くなった」という実感。
これが、次の変革への推進力になります。
条件③:リーダーのコミットメント
経営層の本気のコミットメントが必要です。
口だけではなく、行動で示す。
「変革を支援する」と言いながら、実際には抵抗する。
こんなリーダーシップでは、組織は変わりません。
条件④:忍耐力
そして、最も重要なのは、忍耐力です。
組織の変革には、時間がかかります。
1年では変わりません。3年続けて、やっと芽が出ます。
5年続けて、文化が変わります。
この長期戦に耐える忍耐力が必要です。
今、大手企業で働く人へのメッセージ
このブログを読んでいる人の中には、大手企業で同じような葛藤を抱えている人もいると思います。
あなたは一人ではない
非効率な仕事、無駄な会議、変わらない組織。
イライラし、諦めたくなる気持ち、よく分かります。
でも、あなたは一人ではありません。
同じように感じている人が、たくさんいます。
小さなことから始めよう
組織全体を変えることは難しいです。
でも、自分の周りの小さなことなら、変えられます。
- 自分のチームの会議を効率化する
- 若手の話を聞く時間を作る
- 無駄な報告書を一つ減らす
- 新しい提案を一つしてみる
小さな一歩が、大きな変化の始まりです。
諦めないでほしい
すぐには変わらないかもしれません。
批判されるかもしれません。
孤独を感じるかもしれません。
でも、諦めないでください。
あなたの行動が、必ず誰かに影響を与えています。
データを味方にしよう
感情論では勝てません。
データを集めて、数字で示しましょう。
「こうした方が効率的だと思う」ではなく、
「データによると、この方法で30%効率が上がります」と。
数字は、最強の説得材料です。
味方を見つけよう
一人で戦わないでください。
同じ思いを持つ仲間を見つけましょう。
若手社員、同世代の管理職、理解ある上司。
どこかに必ず、味方はいます。
そして、自分を成長させよう
組織を変える過程で、あなた自身も成長します。
- 説得力
- 忍耐力
- データ分析力
- リーダーシップ
これらのスキルは、どこに行っても役立ちます。
組織変革は、最高の自己成長の機会です。
外資系企業から転職を考えている人へ
外資系企業から日本の大手企業への転職を考えている人もいるでしょう。
私の経験から、正直にお伝えします。
覚悟してほしいこと
日本の大手企業は、外資系企業とは全く違います。
- 意思決定は遅い
- 会議は多い
- 変化は少ない
- 年功序列が残る
- 効率より和が優先される
このギャップに、最初は必ずイライラします。
でも、やりがいはある
でも、だからこそ、やりがいがあります。
「ないものを作る」挑戦ができます。
外資系企業では、既に効率的なシステムがありました。
それを使うだけです。
でも、日本企業では、そのシステムを作ることができます。
ゼロから作る。これは、クリエイティブな仕事です。
あなたの経験が活きる
外資系企業での経験は、確実に武器になります。
- グローバルスタンダードの知識
- 効率的な仕事の進め方
- データドリブンの意思決定
- スピード感
- 多様性への理解
これらすべてが、日本企業に欠けているものです。
あなたは、それを持っている。
だから、価値を提供できます。
ただし、押し付けないこと
ただし、一つだけ忠告します。
外資のやり方を押し付けないこと。
私も最初は、この失敗をしました。
「外資ではこうだった」と言っても、反発を招くだけです。
代わりに、
「こういうやり方もあります」と提案する。
「試してみませんか?」と誘う。
押し付けるのではなく、選択肢を示す。
このアプローチが、受け入れられやすくなります。
最後に:変革は「点」から「線」へ、そして「面」へ
私一人の力では、大きな組織は変わりません。
でも、私のチームは変わりました。
そして、そのチームから異動した人が、異動先で変革を始めています。
点が線になり、線が面になる。
この波が、いつか組織全体に広がることを信じています。
3年前と今
3年前、私は大手企業に失望していました。
「この組織は変わらない」と。
でも今は、確信しています。
「変わらない」のではなく、「変わるのに時間がかかる」だけだと。
5年後の未来
5年後、この会社がどうなっているか。
完全に変わっているとは思いません。
でも、確実に、今よりは良くなっているはずです。
そして、その変化の一部を、私が作ったと言えるなら。
それが、私の誇りです。
あなたも、変革の一部になりませんか?
このブログを読んでいるあなたも、
どこかの組織で、同じように感じているかもしれません。
「変わらない組織」に、失望しているかもしれません。
でも、諦めないでください。
あなたの小さな行動が、大きな変化の始まりになります。
- 会議の進め方を少し変える
- 若手の提案を一つ採用する
- 無駄な仕事を一つ減らす
- データで改善を示す
これらの小さな行動が、積み重なって、
やがて組織を変える大きな力になります。
次回は、「40代で考える『キャリアの転換点』ー 安定を捨てる決断」について書きたいと思います。
中小企業、外資系企業、大手企業と3つの異なる環境を経験した私が、それぞれの転職の決断をどう下したのか。
40代という年齢で、どんなことを考え、何を優先したのか。
そして今、どう感じているのか。
率直にお話ししたいと思います。
それでは、また次回お会いしましょう。
あなたの小さな一歩が、大きな変革の始まりになりますように。