新作の準備 | えほんや通信

えほんや通信

名作童話の電子出版「えほんや」の編集長・原 真喜夫のブログ。こどもの本と教材、雑誌、実用書の編集を手がける編集プロダクション・スキップの代表取締役。アロマテラピーにも目覚める。村上春樹、マーヴィンゲイ、寿司と焼き鳥、日本酒とワイン。

画家さんからラフが上がってくる。

えほん

ここ数日は、ラフアップのラッシュ状態だ。

この、鉛筆で描かれた下絵を見る
この瞬間が何ともいえない喜びを感じる。

「えほんや」では、これまでの編集の常識を破って
絵を先行してもらっている。
文章は後づけだ。

まず、ボクが原作を読み込む。

グリムやアンデルセンなどは、元になる翻訳が
きっちりしているのだけれど、
日本の昔話だと、もとが口伝えだから、
再話した人、出版社、本の著者さんや監修者さんによって
結構いろいろなバージョンが存在する。

だから、読み込む段階が肝だ。
本読みのプロでありたい、と切実に思う。

どこを活かして、どこを切るか。
ボクの意見も伝えるけれど、基本は
画家さんが描きたい絵を描きたいように描いてもらう。

展開のポイントや、
「こんなアプローチもありますよね」
といった、相談に徹する。

数週間後、ラフが届く。
ミニラフで場面展開を作ってくる方、
原寸で直接描かれる方、
画家さんによるけれど…

ともかくこの瞬間が、もっとも興奮する。

自分が本読みとして、頭の中に紡いでいた物語が
画家さんの筆によって、絵本として動き出す直前。

「おお、こう来たか。」
「なるほど、こっちをふくらませたんだ。」
「うわ~、このアングル、まいった!」
「早くこの表情を彩色画で見たい!」
等々…。

社内でも声があがる。
「可愛いい!」
「あ、さすがですね~」

子どもの本の編集者としてはまだまだ駆け出しの
我が社の社員も、日に日にレベルアップして行くのが
手に取るようにわかる。

文字のスペースを置いてみる。
展開のリズムをiPadで見てみる。

とはいえ、絵本を何冊も出されている画家さんなら
その辺の緩急はプロフェッショナルの技だ。

電子のえほんの点数を1つずつ重ねて行くごとに
もっと面白くて、もっともっと多くの人に読まれる
電子書籍にしなければ、と思いを新たにする。

さ、もうすぐ「えほんや」スタートから1年だ!