気がついたら、もう節分です。絵日記を描きました。
今日の絵本は
ちびっこちびおに
あまんきみこ 文
わかやまけん 絵
偕成社
物語の名手、あまんきみこさんが文を書いています。
ひがらやまの古い小屋にちびおにがお母さんと住んでいました。
ちびおには、人間の町に行ってみたいと言います。
「だめよ。つかまってしまうから」
とお母さんは止めましたが、ちびおにはどうしても行きたいと言います。
お母さんは考えた末に、ちびおにに帽子を被せてつのを隠し、人間の子どものように服も着せて送り出しました。
ちびおには喜んでふもとの町へ行きました。幼稚園でチャイムが鳴って、みんなについて中に入りました。
「帽子を脱いでいない子だあれ?」
となったその時に、言いつけを破って池に落ちた子がびしょ濡れになって泣いていました。
ちびおにはびしょ濡れの子に帽子も服もあげました。だから鬼の姿がばれてしまいました。
他の子が恐る恐る「どうして来たの?」とたずねます。ちびおにが
「遊びたかったの」
と答えたので、みんなで楽しく遊びました。そして「節分の日は豆をまくから、他の日においで!」
と見送られて、ちびおには裸で、大喜びでひがらやまに帰っていきました。
お母さんの心配もありましたが、案ずるより産むが易し。
ちびおにやお母さんが悪いおにではないように、人間もまた、おにを捕まえる人ばかりではないのです。
特に、子どもは先入観がないのでしょう。
ちびおにが池に落ちた子に服や帽子をあげるのを見て、悪い鬼ではない、と思ったのかもしれません。この点では、幼稚園の先生もいい人でした。
あまんきみこさんの作品を思い出してみると、
『おにたのぼうし』のおにたも気のいいおにでした。
『やまねこおことわり』のヤマネコも、タクシー運転手の松井さんもいい人です。
あまんきみこさんの作品にはいい人、ヒューマニズムに満ちた人や動物やおにが登場します。
『きつねのおきゃくさま』のきつねは、初めは悪巧みを持っていましたが、褒められて感謝されることで、世界一いいきつねになって、うさぎやあひるを守って死んでゆきました。
これらの作品を読むと、善意や感謝のパワーを感じます。
それは本当にあるのだと思います。
明日も良い一日でありますように。