
翌24日。ルナは、とても前日に死にかけたとは思えないほど、元気を取り戻してくれた。
前日、病院で受けた点滴がよほどきいたのか、ルナは、二日ぶりで自力で立ちあがろうとするくらい、奇跡の回復ぶりを見せてくれた。

初めてあてたおむつは、きれいなままだった。
おむつを外し、下半身を支えてやると、テラスから裏庭まで自力で歩いていき、二日ぶりに排尿もすることができた。(ただ、排尿後は、力が抜け、その場に崩れ落ちてしまった)

台風一過の爽やかな日、午前中はテラスでルナと一緒に陽光を浴びながら過ごした。

自宅には点滴台はないため、脚立を利用して、初めての点滴も行った。
前日に説明をきちんと聞いてきたはずなのに、いざとなるとわからない点もあり、試行錯誤を繰り返し乍らも、なんとか無事すませることができた。
翌25日、このまま、29日の次男一家の訪問まで、持ちこたえてくれるのではと、期待をいだかせるほど、ルナの具合は回復した。
たとえ一時たりとも、安楽死を検討したことを、心から申し訳なく思った。

次男には、次のメールを送った。


昨日・今日の調子だと、ルナ、もつかもしれない。
でも、空港まで同行させるのは無理。
月曜は、○○(娘)に仕事を休んでルナの面倒を見て貰い、私一人で迎えに行く予定



翌26日には、次のメールを送った。
ルナは、本当によく頑張っている。
火曜に獣医診せたときには、その場で安楽死させてよい、というくらいだったのに、意識が戻って、お手洗いにいきたいときは、自力では立てないくせに、一生懸命立ち上がろうとする。
点滴以外にも、経口補水液を自力で飲んでくれる。
ごくごく僅かだけれど、ソーセージやチーズなど、口にすることもある。
ただ、鼻血は、やばいレベルで、だだ漏れ。
ペットシーツも、キッチンペーパーも、次から次へと血に染まる状況。



それに夜は、呼吸がよほど苦しいのか、眠れずに、ぜいぜい、はあはあしている
時間がとても長い。
そんなルナの姿を見ると、呼吸できずに苦しむくらいなら、安楽死は選択肢かと
も思っている。
何度も○○(娘)とも話しあったのだけれど、
今は、点滴を継続して、○○(次男一家)が到着するまでは、安楽死させず、本人の生命力にまかせようと、思っている。
(獣医は、月曜まではもたないだろうと、言っていたけれど。)
ルナが頑張れたら、○○(次男)が着いてから、場合によっては、みんなで見守りな
がら安楽死させようと....
それについて、意見を聞かせて欲しい。







翌27日も、ルナは、経口補水液だけではなく、食事も気が向くものはなんとか食べてくれた。
娘がネットで検索して、よいと思われるもの全てを買ってきては与えていた。
カステラ、ブドウ糖、ツナ缶、犬用チーズ、キャットフード、メロン、はちみつ …
それにまぎれて、止血剤やステロイド剤の経口摂取にも成功した。
外に排泄にいくときも、下半身を支えてやれば、自力で歩いていけるところまで回復した。
ただ、頑固な鼻出血だけは、何をやっても止まらなかった。
血管凝縮剤をうまく注入できると、しばらくの間はおさまるが、またすぐ出てきて、常に鼻をぬぐってやり、ペットシーツを交換してやらなければならなかった。
夜になると、いよいよ鼻出血は量を増していった。
翌28日正午過ぎ、息子たちにメールを送った。
ルナ、また危ないかも...
昨夜から、鼻出血がひどくなりました。
血液凝固剤を注入しても、何をしても、だだ漏れです。
もう後は、本人の体力次第だと思います。
意識レベルも徐々に低下しています。
また、これまでのように奇跡の回復力を見せてくれればよいのだけれど....
夜、いつものように外に出たがったルナを連れ出して排尿させたあと、家の中に戻ったとき、突然、ルナの全身が震えだした。
大学病院の医師に言われていた、脳性痙攣を疑ったが、いわゆるてんかんの症状とは明らかに違うように思われた。
ルナの全身を抱きしめてやったら、しばらくして震えはおさまった。
いずれにせよ、かなりの量の出血が続いている。貧血を起こしているのは間違いはなかった。
そしてそれが命取りになるだろうこともわかっていた。
私は、Facebook もやっている。
遠く離れた地に住むルナをよく知る友人・家族に、ルナの様子を逐一報告していた。
その日も、心配してくれるコメントを寄せてくれた親戚に、次のように返信した。
「ルナ、本当に頑張っています。本人の意識がはっきりしていることが、私たちにとっても救いです。でも、今夜は山かもしれない.... 昨夜から鼻出血が止まりません。少し前に初めて、ごく短時間でおさまったとはいえ、全身の痙攣もおきました。明日、○○一家が着くため、なんとか、がんばって欲しいのですが....」